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~特別縁故者への財産分与について~

━ 特別縁故者への財産分与のお手続き ━

【はじめに】

身近な人が亡くなった場合(今回、お亡くなりになった人を被相続人と記載させていただきます。)、ご遺族のかたはまずはご親族へのご連絡をされ、そのあとすぐにご葬儀のお打ち合わせ、また役所への死亡届の提出、そしてご葬儀が終わった後は、年金関係のお手続き、公共料金の名義の変更等、各種届出などを経たうえで、被相続人が残した遺言書がない場合、法定相続人全員で被相続人の財産について、遺産分割の協議(話し合い)を行い、不動産の名義変更や、預貯金解約などを行うのが一般的です。

しかしながら実際には、被相続人に相続人(法定相続人)のあることが明らかでないケースや、相続人の有無が不明であるケースも存在します。
 
例えば、被相続人に、配偶者及びお子様がいらっしゃらなく、ご両親は既に他界されており、被相続人に他にご兄弟がいない場合があります。
 
上記のようなケースで、相続人が不存在である場合のお話を今回はさせていただきたいと思います。
 
被相続人にご家族がいなく、身の回りのお世話をされていた方が法定相続人に該当しない場合には、身の回のお世話をしていたかたが実際には被相続人の財産管理を行っていた場合であっても、残された遺言書がない場合、お世話された方は単独で預貯金解約や不動産名義変更をすることはできません。
 
この場合、相続人を捜索するお手続きが必要であるとともに、相続人が現れるまで相続財産を管理し、もし相続人が現れなければ相続財産を精算する必要が出てきます。
 
この、「相続人の捜索」のお手続きと、「相続財産の精算」という2つの目的を並行してするお手続きが「相続人不存在」のお手続きの制度です。
 

~相続財産管理人選任申立てについて~

相続人の存在、不存在が明らかでないときは(相続人全員が相続放棄をして、結果として相続する者がいなくなった場合も含まれる。)、家庭裁判所に利害関係人(受遺者、相続債権者、相続債務者、各種担保権者、特別縁故者、被相続人から物権を取得し対抗要件具備者、被相続人に対して求償権を有する被相続人の債務の保証人等)や検察官から相続財産管理人の選任の申し立てをし、相続財産管理人が選任されたことを知らせるための公告、その後2か月を経て、相続債権者・受遺者に対する債権申出公告、その後2か月を経て、相続財産管理人の申立てにより相続人捜索の公告、その後6か月を経て相続人捜索の公告期間内に、相続人である権利を主張する者がなく失権した場合において相当と認めるときは、相続人捜索の公告期間満了後3か月以内に申立てされた、特別縁故者への財産分与が行われ、財産分与が行われなかった場合、もしくは特別縁故者への財産分与はされたがなお残余財産があった場合、その残余財産は国庫に帰属します。

~特別縁故者に対する相続財産分与の申立てについて~

相続人の存否が不明の場合に、家庭裁判所より選任された上記の相続財産管理人が被相続人(亡くなった方)の債務を支払うなどして精算を行った後、家庭裁判所の相続人を捜索するため公告で定められた期間内に相続人である権利を主張する者がなかった場合、に家庭裁判所は相当と認めるときは、被相続人と特別の縁故のあった者から、相続人捜索の公告期間満了後3か月以内の請求によって、その者に、清算後残った相続財産の全部又は一部を与えることができます。
 
特別縁故者に対する相続財産分与の申立人としては、以下の方々に認められています。
 
※申立てをすれば必ず特別縁故者への財産分与が認められるのではなく、裁判所の判断によるのですが、判例等により過去認められたのは以下の方とされています。

①    被相続人と生計を同じくしていた者

内縁配偶者、事実上の養子、伯叔父母、継親子・嫡母庶子、亡長男の妻、未認知の非嫡出子、亡継子の子、親族関係のない生計同一人

②    被相続人の療養看護に努めた者


③   その他被相続人と特別の縁故があった者

親族関係者、非親族関係者、地方公共団体、学校法人、宗教法人、社会福祉法人、権利能力なき社団、
と規定され、申立期間は、相続人捜索公告期間満了後3か月以内と定められています。

(終わりに)

今回ご説明した事項については、あくまで裁判所手続きの一般的なご説明となります。
 
当事務所では、日々多くの相続手続きをお任せいただいております。
上記の特別縁故者による財産分与についてのご相談、又は他の相続手続きでお困りの際には、お気軽にご相談ください。
 
司法書士法人第一事務所 
司法書士 宮森智子 札幌司法書士会所属 登録番号 札幌第761号
          簡裁訴訟代理等関係業務認定番号第1243001号

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