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特例有限会社とはなんですか

━ 特例有限会社とはなんでしょうか ━

【はじめに】

平成18年に会社法が施行され、有限会社法が廃止されました。

しかし、それと同時に有限会社も消滅したかというと、そうではなく、株式会社の一種として残されることになりました。

『特例有限会社』と呼ばれています。

平成30年現在で約157万社残っていましたが、徐々に減っています。

■特例有限会社とは

 商号中に「有限会社」という文字を用いる株式会社です。

■特例有限会社の登記事項証明書

 特例有限会社の登記記録(登記簿)は、法務局の職権でつくり直されました。

[旧有限会社の登記記録]
[現行の特例有限会社の登記記録]

■通常の株式会社と違うところ

 特例有限会社にも、会社法の株式会社に関する規定が原則として適用されます。

 しかし、整備法(「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」)の経過措置や特則で、通常の株式会社とは異なるルールが設けられている点もあります。

 有限会社時代よりも厳しい規制にならないようにとの配慮がされています。

▷役員として置くことができるのは

 取締役、代表取締役、監査役です。解散後は清算人、代表清算人、監査役を置くことができます。

▷必ず代表取締役が存在しますか

 必ずいるとは限りません。

 取締役が1名しかいない会社や、取締役は複数いるが、すべての取締役がみな代表権をもつ構成をとる場合(各自代表)は、代表取締役がいません。名刺などに「代表取締役」と書いてあっても、法律上の代表取締役ではありません。

▷取締役会は置けますか

 置けません。

▷監査役は置けますか

 置けます。

 ただし、監査役設置会社である旨の登記はされません。

▷監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定めを登記する必要がありますか

 上記の登記はできません。

 整備法により、特例有限会社の監査役の監査の範囲は、会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるものとみなされており、業務監査権限がないのがデフォルトです。

▷監査役会は置けますか

 置けません。

▷会計参与、会計監査人、監査等委員会、指名委員会等は置けますか

 いずれも置けません。

▷役員に任期はありますか

 ありません。

 ただし、定款に任期の定めを設けた場合には、その定めに従うことになります。

▷従前は「議事録」というと社員総会議事録を作っていましたが、それでいいですか

 株主総会議事録を作ることになります。

▷支店を置いてその登記することはできますか

 できます。

▷支配人を置いた旨の登記はできますか

 できます。

▷新株を発行することはできますか

 できます。

▷資本金の増額や減額はできますか

 いずれもできます。

▷株式公開できますか

 できません。

▷貸借対照表等の公告義務はありますか

 ありません。

 通常の株式会社は、毎年1回、貸借対照表等の計算書類を公告する義務がありますが、特例有限会社にはこの義務がありません。

▷合併はできますか

 合併されることができます。

 他の会社を吸収合併することはできません。

▷会社分割はできますか

 自らが会社分割をする吸収分割や新設分割はすることができます。

 他の会社から分割を受けることはできません。

▷12年くらいの間、なにも会社の登記をしないままにしていると(休眠会社)、法務局の職権で会社の解散登記がされてしまうときいたのですが、特例有限会社でも同じですか

 その心配はありません。特例有限会社にはみなし解散の規定の適用はありません。

▷社名を変更して株式会社にできますか

 できます。

 ただし、例えば「株式会社Aが株式会社Bに商号変更(社名変更)する」ときとは、手続きが少し違ってきます。詳しくは当事務所へご相談下さい。

▷いつかは株式会社に社名変更しようと思っているが、いつまでにしなければできなくなるなどの、期限はありますか

 期限はありません。

▷株式会社に変えたあと、もう一度有限会社に戻せますか

 戻せません。

▷これから新たに有限会社をつくることはできますか

 できません。

■定款について

 「定款が旧有限会社時代のままですが、定款を書き換える手続きをしなければなりませんか」というご相談を、しばしばいただきます。

 必ずしなければならないわけではありません。

 しないままでも、整備法のみなし規定により、旧有限会社の定款をそのまま株式会社のものに読みかえられることになっています。

 ただし、定款の修正をしていない間に、株主又は債権者から定款の閲覧・謄写請求があった場合には、現行定款を開示するだけでは足りません。

 現行定款とともに別紙などを添付して、現行定款に記載が未済みの情報を補充する必要があります。

 別紙には、整備法のみなし規定により定款に定めがあるものとみなされた事項を記載します。

(別紙の例)

 ※他にも整備法第5条第2項・第3項・第4項、第10条、第24条によりみなされている事項があれば、その内容を示す必要があります。

 会社法に則った新定款作成のお手続きをご希望の際は、当事務所へご相談下さい。

【おわりに】

 最後までご覧いただきありがとうございます。

 第一事務所では、不動産登記・会社法人登記などの各種登記手続きや、相続手続き、債務関連のご相談を承っております。

 ご相談がございましたら、お気軽にご連絡くださいませ。

当事務所へのお問い合わせはこちらから👇

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