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庵野さんのウルトラマンタロウ愛に共鳴しました、というお話

庵野秀明セレクションのウルトラマンタロウ上映を今、TOHOシネマズでやっているそうで、先日監督のトークショーの様子がアップされていましたね。

いやホント、庵野監督は私より二回りほど上の世代で昭和ウルトラマンのリアルタイム体験を持つ人生の先輩な訳ですがかなりの親近感を覚えました。

「当時、中学にもなると子供番組は卒業が常だった」
「大人になってタロウの良さに気付いた」
「リブートやユニバースをマーベルより50年早くやっていた」

この辺、ただただ共感しかなかったです。

大人になってわかる「凄さ」とは

三ヶ月前ですが、タロウについて書いた記事があります。

今月25日についに発送されます、ウルトラバッジを予約した際の高揚感で書き綴った拙文ですが、「タロウって面白いんだぞ」って趣旨、それだけの記事ですね(笑)。
庵野さんも仰る「大人になってから解る良さ」とは何なのか、私自身も考えてみたことがあるので少し話してみようと思います。

ウルトラQから始まったウルトラシリーズ、「空想特撮シリーズ」と銘打っていたのは、ウルトラマンのタイトルでお馴染みですね。現実には存在しないものを特撮によって見せる、それが怪奇現象、怪獣、宇宙人…映像表現の歴史は特撮の歴史である、とも言われるようにウルトラシリーズは「想像力の具現化」に挑んできた作品群だと思っています。
評価の高い第一期「Q、マン、セブン」ですが、その根幹に「恐怖」があったと思います。人間、未知の現象や生物には少なからず怖れを抱くもので、それを映像で見せてきたのが第一期といっていいでしょう。何度かセブン記事で書きましたが、セブンの宇宙人は大人になってからでも怖い奴が多いです。

二期に入り、帰ってきたウルトラマンになってからは「怪獣と戦うウルトラマン」の図式が強調され(庵野さんも言っていたマーチャンダイジングの都合も多分にあると思います)、超常現象的なSF回は減りました。代わりに日本の怪談をモチーフにした「怖い回」が出てきたのが二期の特徴ではないかと思います。純粋に作品内の時代設定がそうなのですが近未来を想定されていた初代マン、セブンと違いそのまま昭和40年代が舞台になったのも昭和二期ウルトラの特色で、物語に身近さを感じるものが出てきたんですね。そこに来てタロウは、怪獣自体も身近なものとして描いているような温かみがあり、またタロウも超人ではありながら南光太郎そのままな立ち振る舞いをしたり、特撮シーンにコミカルな要素が入ってきてもいます。初代マンのシーボーズ戦、セブンのにせセブン回のアギラなど、一期にも「コミカルバトル」が無かった訳ではないのですが…さすがに曲に合わせて踊ったり、怪獣にバケツで水をかけたりするのは、タロウだけでしょう。

つまり、一期で作り上げたSF特撮の世界観をある意味壊して、これもまたウルトラマンである、という新機軸を立ち上げ定着させた。全53話とウルトラシリーズでは2番目の話数を以て(1位はコスモスの65話)、この娯楽特撮を描き切ったところが凄いのだと思います。
円谷プロ10周年記念作でもあったタロウ、再度DVD-BOXのブックレットから引用しますが「現代の御伽噺」なんですね。実はこれをやりきっているのは後にも先にもタロウだけではないかと思いますし、そのファンの多さから強い支持を受けている事もわかります。

ウルトラマンタロウは、名作です。

そのルックスやスタイルの良さも、随一のものがあります

そして、とことん異質なエピローグ

そしてタロウといえば、最終回が独特の展開です。「さらばタロウよ!ウルトラの母よ!」というこの回は、光太郎がバッジをウルトラの母に返し、健一少年に勇気を見せるべく生身でバルキー星人と戦い、倒すというものです。バルキー星人&サメクジラとの戦闘では変身しますが、最後の戦いで人間体のままなのはタロウだけだと思います。

これ嘘スチールじゃないかと最終回を見返しましたが、タロウでもちゃんと
バルキー星人と戦ってましたね

次回作レオの没デザインだったというバルキー星人、確かに目を黄色にしてスーツを赤くすればウルトラ戦士になれそうですね。そして光太郎が変身不可になったのを確認してから襲ってくる小物ぶり、自分で壊したタンクから油を浴びてそれが致命傷につながるというマヌケさまで見せますが、それでも生身でこやつを倒した光太郎の凄さが際立つ、最後の戦いです。決着後、身体が燃えている光太郎が見えますが、その迫力は本物です。

ウルトラマンには「一体型」と「本人型」の2種類がいますが、タロウはそこがちょっと曖昧で、一体型のようで本人型なウルトラマンです。この最終回を重んじて、南光太郎を演じた篠田三郎さんはこれ以降、ウルトラシリーズに出演していません。作品、役に対して真摯な役者魂だと思います。
ですが決してタロウに関わらないスタンスな訳ではなく、今でもタロウについてその思いを語ってくれているところがファンにとっては嬉しいですね。

篠田さんは、ある意味理想的なヒーロー俳優といえます

私も子供の頃、ハッキリとタロウの物語が終わったんだなと思わされる最終回でした。子供にもわかりやすく、を貫いた最終回だったといえます。


篠田さんがもうタロウに変身することはないので、代わりに私が月末に届くウルトラバッジで変身するつもりです(笑)。
最近になって息子や因縁のライバルも出てきたタロウですが、世界観を広げていくヒーローなんだなぁと実感させられる、ナンバー6なんですね。

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