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ウルトラマン第37話「小さな英雄」が大好きです

昨日、Youtubeのウルトラマン公式チャンネルにこんな動画が上がっていました。

「さあ、空想を楽しもう。」というキャッチコピーから始まる、初代ウルトラマンのPVです。一分五十秒ほどの映像ですが、象徴的なエピソードが紹介されています。

個人的に、一番好きな回

私が初代ウルトラマンで一番好きな回は、このPVでも「信頼」のワードで紹介されている第37話「小さな英雄」です。
幼少期、ウルトラマンの最終回がどうしても観たくてレンタルビデオ店で最終巻(37~39話収録)を親に借りてもらい、それをダビングしてそれこそテープが擦り切れるほど観ていたんですね。そうすると、結果的に最終回より印象に残ったのは37話のほうでした。

ウルトラマンのサブタイトルで、最初に覚えたのもこれでした

放送当時の視聴率は全話中最高の42.8%を記録しており、その側面から見ても最も有名な回といって良いかもしれません。すでに番組は終了に近づいていた訳ですが、人気としては絶頂期だったんですね。

この回のあらすじは…

ある日、銀座のデパートに出現し人々を驚かせたピグモン。科特隊に保護されたピグモンは、何かを必死に伝えようとする。解析されたピグモンの言葉によると、怪獣の酋長ジェロニモンが60匹以上の怪獣を復活させ、科特隊とウルトラマンに復讐するという。直ちに迎撃に出動する科特隊だが、イデの様子がおかしい!?(ツブラヤイマジネーションより引用)

オモチャ売り場で寝ているピグモン。
ある意味大きなオモチャですね

今、ウルトラマンを観たことがない人に初見用エピソードとして薦めるならば間違いなくこの回を挙げます。

・怪獣が人間とコミュニケーションを取り、仲間となる空想性
・ヒーローの存在が人間のモチベーションに影を落とす、というメタ的ドラマ
・複数の怪獣が登場するバラエティ感
・問題が解決し、大団円となるも悲しい別れがあり心に残るドラマ性の高さ


実にこれだけの要素があり、さらには長時間スペシウム掃射など特撮的にも面白い画が観られたりします、隙の無い名エピソードです。
実際に初代ウルトラマン未見の友人とこの回を一緒に観たこともありましたが、とても好印象を持ってもらえたのを覚えています。

イデ隊員という、格好良い三枚目

再生ドラコを完全に消滅させたスパーク8、このサイズで
凄まじい威力ですよね

この回のイデ隊員は、「ウルトラマンがいれば我々科特隊は必要ないのではないか」という存在意義についての悩みを持ちます。特撮に疎い人からよくツッコまれる話ですが、この1作目からすでに物語の中で言われているんですね。
イデ隊員は怪獣を前に戦意を失くし、ウルトラマンに情けなく助けを求めます。ハヤタ隊員は変身しようとしますが、ここで助けるのは違う…とベーターカプセルを下してしまうんですね。そこにピグモンが現れドラコの気を逸らしイデ隊員を救いますが、結果としてピグモンはドラコに潰されて命を落としてしまいます。ハヤタは激昂し、イデを叱りつけます。その台詞は未だに一言一句違わず覚えています。

「イデ!ピグモンでさえ我々人類の平和の為に命を投げ出して戦ってくれたんだぞ!科特隊の一員としてお前は恥ずかしいと思わんのか!!」

ハヤタの平手打ちを喰らったイデは「僕が間違っていた…」と奮起、新兵器でドラコ、さらには怪獣たちの親玉であったジェロニモンまでを倒し、この話は終わります。

まだ子供だった私にも、思い悩むイデ隊員の不甲斐なさと、ピグモンの死をキッカケに立ち上がる熱さは存分に伝わりました。普段はひょうきんでムードメーカーのイデ隊員が一層好きになれる、そんなエピソードだったんですね。ジャミラ回も有名ですが、イデ隊員がシリアスになる回はことごとく名作だったりします。

何故か可愛いピグモン

冷静に見ると元はガラモンで、怖い顔なんです

この回でジェロニモンの計画を人類に先んじて教えてくれた、功労者の再生ピグモン。8話に続く登場で「人間の味方」なのはわかっている訳ですが、ウルトラマンマックスに登場した時など、どんどん愛玩動物化していっているようにマスコット的人気を誇っています。

私は最初、ピグモンが怖かったのを覚えています。何せ見た目はウルトラQのガラモンです。侵略ロボットで不気味な機械音を鳴らしていましたし、停止すると口から謎の液体を流していたりしてお世辞にもチャーミングではありませんでした。ブレーザーでもその液体に「うわっ…」となる描写がありましたね、あくまでも「ガラモン」の話ですが。

しかし見た目は同じながらこの第37話で、命を散らしたピグモンに胸が締め付けられたのも確かです。人間大のサイズで鳴き声も「ファ~ファ~」と可愛らしく、手をプラプラさせる仕草から怖い印象は消えたんですね(実は当時、8話より先にこちらを観ていました)。
沖縄出身の金城哲夫氏は異文化との交流をよく、ウルトラシリーズでも描いていますがこのピグモンも、外見こそガラモンだが中身は別物、人間の味方であるというキャラクターにすることで

「外見で差別してはいけない」

というメッセージを込めたのではないかな…と感じています。
それは、眠る姿、起きた時の欠伸が本当に愛くるしく見えることで幼かった私に伝わったものです。
ピグモンは、可愛い。


あとこの回、ドラコ、テレスドン、ジェロニモンと三体の怪獣が出てくるのですが全て、科特隊が倒しているんですよね。
それでいてウルトラマンはジェロニモンの無重力光線で巻き上げられた隊員達を間一髪で救っていて、しっかりとその超人としての役目を果たしてもいます。しっかり全員で平和をつかみ取った、そんなエピソードになっているのも名作たる所以でしょう。

こんな第37話「小さな英雄」は、これからも推していきたい。
そう思った、空想特撮四方山話でした。

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