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プロットがわかると倍楽しい映画鑑賞

プロット(構成)とは

作品を構成する背景や状況のこと。何となく見るより状況把握ができてより感情移入したり世界に没入できるかも。

ダークナイトってバットマンじゃないの?

ダークナイト、暗黒の騎士。アメリカでバットマンはそんな愛称が付いていたりします。それはカッコつけてそう呼ばれているというよりも、欧米の作品に多い「封建思想」にあったりします。

ちょっと脱線して日米のホラー感の根底にあるもの

日本のホラーと、アメリカのホラー。結構「怖がる」ポイントが違ったりするけどこれは住んでいる土壌に由来するところが大きい。
日本だと暗い夜道を歩いた時に気味の悪いものにゾッとすることが多いけど、アメリカの町外れは想像の5倍は暗い。マジで何も見えないレベル。あとガチで野生動物が出てきたりする。そうすると生命の危機に直結してる怖さが「気味の悪さ」を「物理的な怖さ」が上回る。
だから動物(モンスター的なやつ)がホラーの主役だったり宇宙人が誘拐するような話の方が怖く感じることが多い。最近は日本的ホラーの「違和感」を感じさせるものも受けるようになってきたけどね。

これがいわゆる「プロット(背景)」だったりする。

欧米作品の根底に流れる封建思想って?

簡単に言ってしまうと「良い王様が国や国民のために頑張る話」
ちょっとバカみたいだけどさ日本でいうと暴れん坊将軍とかは封建思想に乗っ取っている珍しい作品。これが日本の作品と結構違うところで、日本的な作品のプロットに多いのは「何者でもない主人公が頑張って成り上がっていったり世界を救ったりする」構図が多い。これは一般人がドラマに感情移入していくときに平凡であることが自己投影に繋がるからだと言われてる。
でも欧米だと「大統領が世界を救いに宇宙船で特攻する」とか「王子様が悪い悪魔を退治しに行く」とか、金持ちや貴族のトップは基本的に「善人」で人生かけて社会に奉仕するのが当然!っていう社会観念が下敷きにある。
だからドラクエだって最初は完全に王様のところの騎士だったり、そもそも王子様が世界を救う話だったりしたのは欧米のRPGを参考にストーリーを作っていたから。

ダークナイトは王子様が世界を救う話

バットマンはゴッサムシティという「国」の王子様。王様ポジションである市長の息子。それが悪い奴らにひどい目にあわされた。その復讐をする「王子様」の物語というプロットで描かれている。だから王子さまは騎士として暗闇に紛れて戦う。だから「ダークナイト」という愛称で呼ばれている。
そしてもうひとつの大切なプロットが「現実社会にスーパーヒーローってこの世に必要なんですかね?」というヒーローアンチテーゼであること。

ヒーローは現実に必要か?

自分の大好きな『ウォッチメン』や『ダークナイト』。これらの作品のいいところは現実の先にあるファンタジーというところ。『ガンダムファースト』や『鉄血のオルフェンズ』もそういうリアルなファンタジー感があって堪らない。
脱線したけど、例えばウルトラマンでもスーパーマンでも良いんだけどヒーローと悪役や怪獣との闘いにスポットが当たって、その他大勢の人生は完全無視のバトルを楽しむだけの話になっている。

これは分かりやすいし子供のころは良いんだけど大人になるとちょっと物足りなくなってしまう。
簡単に壊されたビルや橋はどれだけの人たちの仕事で作られているのか、どんな作物をどんな思いで作っているのか。これらは完全に物語のノイズなので描かれないけど、それが無視されるほどに薄っぺらい話に感じてしまう。

『ウォッチメン』や『ダークナイト』の世界には、警察もいるし司法もある。軍隊だっている。だから本当はお父さん(市長)の復讐は警察に任せればいいのにバットマンは自分の会社の兵器やバトルスーツを駆使して私刑的な復讐を行っていく。冷静に考えるとクレイジーすぎる。
ハッキリ言ってしまうと個人的な正義を執行する犯罪者なわけ。だけどやってることは市民から最初支持されてしまう。これってデスノートのライトと同じ状況かもしれないね。

だからこそライバルとして描かれている『ジョーカー』が魅力的に見えてくるというわけ。ジョーカーはバットマンに対し「お前は好きで悪人ってやつをぶちのめしてるんだろ?法律も無視して自分のルールにだけしたがって、自分のやりたいように。それのどこが、俺とお前は違うんだ?」と。

バットマンはひとつ自分にルールを課している。それは相手を殺さないこと。だからジョーカーに対してはどうしようもできない。殴って更生させることも反省させることもできない。でも殺さないと止められない。
ジョーカーはバットマンの悪の側面の姿だと言われているのはこういう事だったりする。

プロットがわかると見える世界が変わる

バットマンはカッコつけてダークナイトと呼ばれているわけでもないし、何のストーリーもない悪役を必殺技で倒すヒーローでもない。
ダークナイトの物語って実は自身の在り方にずーっと悩み続ける男の話だったりする。そういう視点が広がると映画ってより楽しめるよね。

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