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#イボ・アンドリッチ

架橋としての翻訳 イボ・アンドリッチ『イェレナ、いない女 他十三篇』(幻戯書房)

架橋としての翻訳 イボ・アンドリッチ『イェレナ、いない女 他十三篇』(幻戯書房)

 ボスニアに生まれ、東欧諸国を渡り育ち、ユーゴスラビアの最期を見届けることなくこの世を去った作家イボ・アンドリッチ。本書は現在のところ史上唯一となるセルビア・クロアチア語によるノーベル文学賞作家の作品を精選、訳者のひとりである山崎佳代子氏による詳細な解題を付した決定版と言うべき選集である。
 移動する国境線、並存する信仰、人種や文化の不和から生じる紛争、それらを繋ぐ希望の象徴としての〈橋〉。名高き

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