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イセマルは男の娘だ。彼は、その言葉の正確な意味を知らない。 だから、彼が自分をそのよ…
イセマルとその兄弟たちは、年かさの少年兵たちから”ねずみ”とあだ名された。 彼らの父…
〈トーキョー・プライズリング〉で、イセマルが最初に与えられた役割はダンスだった。 綺…
イセマルはそれから3度、〈舞台〉に上がり、すべての試合に勝った。 とはいえ、最初の2…
時計の音だけが、やけに大きく聞こえる。 「……まだ?」 待ちきれず、かすかに体を揺ら…
次の瞬間には、相手がすばやく踏み込み、左のジャブを突いた。 イセマルはスウェイで躱す…
そのとき、2人は自宅のリビングにいた。 オノキは安楽椅子に座って新聞を読み、イセマルは、学校で出された水彩画の課題に悪戦苦闘していた。 繰り返し塗りつぶした紙に、ついには穴が開いて、天を仰ぐ。 そこでふと、思いついたように、イセマルが聞いた。 「オノキはなんで、おれを買った?」 彼は、ちょうど救いを求めるのに、きっかけとなる話題を探していた。 それに、オノキは何でもないことのように答える。 「剣闘士にするこどもが、欲しかったからだよ」 「少年兵なら、誰で