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【キナリ杯】「ちょっと試してみる」を続けたら、好きなことが見つかったし楽しかった

「メルカリでいらないものが簡単に売れて超便利だよ。」

何年か前に会社の先輩からと言われた。当時、僕はまだメルカリを使ったことはなかった。

「メルカリやってみれば?」

先輩から勧められたが、難しそうだったので僕はメルカリを試してみようとも思わなかった。


数ヶ月後、着なくなった服や靴が邪魔になってきた。捨てるのもったいないので、試しにメルカリに出品してみた。

出品のしやすさ、購入者とのメッセージのやり取り、購入から商品発送までの流れ、どれを取っても使いやすく、使っている側の負荷が最小限に抑えられていた。

シンプルにいうとメルカリめっちゃ便利


「これからはメルカリでなんでも売れる。メルカリ最高。」



革新的なサービスに僕は感動した。



よく考えるとメルカリは今やユーザー数2000万人を超えるサービスだ。使いにくいわけはない。「僕の能力ではメルカリを使うことができません」という方が難しいのだ。

「自分は新しいことを『できない』って言いがちだけど、やらないだけなのかもしれない」とこの時に思った。

1 新しいことを始めたいけど行動できない

昔から「これ」という趣味がないことが悩みだった。

社会人になってフットサルが好きでよくやっていた。楽しかったけど、高校生の時にサッカー部だったので自分の中で新しさはあまりなかった。

「何か新しいことをやりたい」と僕は心の隅で思っていた。

友人のMに誘われてダンスの体験教室に行ってみた。ダンスレッスンは楽しかったけど僕は続けなかった。

一方、Mはダンス教室に通い始めた。あれから数年、彼は今ではプロかと思うくらいキレのあるダンスを披露し、バトルを勝ち抜くレベルになった。

メキメキと上達し楽しそうにダンスをするMがうらやましかった。自分も何か新しいことを始めたかった。

でも、何かやろうとするたびに「センスがない」「今更やって何になるのか」とやらない理由ばかり出てきて、何も行動せずに時間だけが過ぎていった。

2 ソーシャルアパートメントへの引越し

新しいことをなかなか実行できない僕が変わるきっかけになったのは、100人以上が住む大型のソーシャルアパートメントという物件引っ越したことだ。
引越した理由は友達が増えそうだと思ったから。社会人になって新しい出会いってなかなかない。

この家に入居したばかりの時、衝撃を受けたことがある。

僕が共用スペースで、TVer(過去のTV番組を視聴できるサービス)でTVドラマを観ていた時に住人から話かけられた。彼とはその時に初めて話した。

「それ何ですか?興味あります!」

剥き出しの興味にぶん殴られた気分だった。僕は興味を持ったことに対してこんなにストレートに表現することを知らなかった。

「楽しそう」と思っても自分の興味や関心をあまり発信をしなくなっていた。友達からのリアクションが薄い時のことが不安だったから。

そうすると気づかないうちに興味を持つ力も弱くなっていき、好奇心はどんどん衰えていったように思う。
だから「興味あります」という彼のどストレートな表現には胸を打たれた。

「TVerっていうんですよ」と伝えると、彼はiPadでTVerを視聴し始めた。

*

彼だけじゃない。この家には多くの個性豊かで好奇心旺盛な人達が住んでいた。

・自室で防音室を作り歌を録音する人
・話で人を泣かせるプレゼンの魔術師
・トライアスロンにハマるダンスの上手いフォトグラファー
・ギターとフルートとピアノを弾くアメリカの音大出身のタイ人
・豊富なキャンプ道具とアウトドア知識を持ちどんな壁でも登る会社役員

他にも数えきれない個性的な人達がいた。


そして、この家では人数の多さ武器にした様々な企画が開催された。


50人で地引網を引き、バスをチャーターして夏フェスに行き、夏は屋上で毎週のようにBBQをし、「さる小」という廃校になった小学校に90人以上で宿泊し、毎年開催されるクリスマスパーティーには100人以上が参加した。
(今はウイルスのせいで対面のイベントは一切開催してないけど)

<2019年のクリスマスパーティーの写真>

常に大小様々な企画が進行しているので誘いや募集も頻繁にある。

「筋トレして夏に海で写真撮影会したいんだけどやらない?」
「ホワイトデーのイベントでダンスやらない?」
「ミュージカルの出演者を探します。誰かやらない?」
「クリスマスパーティでドラムやらない?」
「ネギ好きの人達でネギ料理作らない?」
「トライアスロンに出ない?」

僕は呼びかけられる様々な誘いに興味のままに乗っかっていった。


引っ越してから数年が経ち、気づけば腹筋は割れ、ダンスのステップを覚え、演技がちょっとうまくなり、ドラムで8ビートを刻み、大量のネギを刻み、トライアスロンを完走していた。

3 新しいことに対するハードルが低くなった

色々なことに取り組むうちに、僕は気になることがあるとちょっと試してみるようになっていた。

「家にスマホを置いてホテルに泊まって1日過ごす」というデジタルデトックスの方法を友達から聞けば、翌日スマホを部屋に置き30分散歩をしてみた。

友達の言うとおり頭がギュンギュン回りだし、スマホから開放された気分になった。


やってみたい楽器の体験レッスンを片っ端から受けてみようと思い、ドラム、サックス、トランペット、ピアノの体験教室に行った。

ちょっと試して違うと思ったら他のことを試してみる。
面白いと思うものがあれば続けてみる。

そうやって気になることをちょっとずつ試していった。

4 うまくいかなかったこと

うまくいかなかったことや苦手なこともたくさんある。

ウクレレを買ったけどあまり面白いと思わず続かなかった。弦が4本しかないのが寂いと思ったからだ。

エンジニアになるために7年間務めた会社を辞め、やる気満々でプログラミングスクールに通った。
プログラミングがわからなくなり途中で挫折し、転職して営業に戻った。


泳ぎも苦手だ。小学生の時から「できない」と思っていたがやっぱり苦手だった。

トライアスロンのスイムの順位は完走者1039人中で1000位代だった。

アクアスロン(1.5km泳いで 10km走る)という競技では、スイムはダントツの最下位だった。泳ぎ終わって陸に上がった時、周りに他の参加者が誰もいなくて寂しかった。

大会運営の人たちが設備の片付けをするために、僕が泳ぎ終わるのをずっと待っていて気まずかった。

<アクアスロンの時の写真。最下位なので周りに競技者が1人もいない>
*Photo by 戸谷信博

5 好きになったこと

色々と試してみて、これからも続けていきたいと思っていることが2つある。

1つは楽器を弾くこと

シェアハウスのクリスマスパーティーで星野源さんの「恋」のドラムを叩いたことが楽器を始めるきっかけだった。

「ドラムなら楽譜を読めなくてもなんとかなりそう」という気持ちだったけど、ドラムにも楽譜があって焦った。

「恋」は曲のスピードが速くて練習しても7割〜8割くらいのスピードでしか叩けなかった。
でも、寝て起きたら手首が「クニュ」ってなるコツを掴んで早く叩けるようになっていた。

できなかったことが突然できるようになるのは感動的だった。
1ヶ月ちょっと練習して本番でも無事にドラムを叩くことができた。

「今度はメロディーを奏でたい」と思い、大好きなマンガ「Blue Giant」の主人公の大も吹いているサックスを買った。

半年後にJazzの”Moanin’”という曲を演奏会で発表した。気分はBlue Giant。
周りからは武田真治と呼ばれたけど。

「Jazzのアドリブをするならコードを覚えることが大事だ」とサックスの先生から教えてもらい、ミニキーボードを買ってコードの練習をした。

「ピアノの音って癒される」と思っていたら、気づけばビックカメラで電子ピアノを購入し、ピアノのレッスンを受けていた。

電子ピアノはメロディー、ベース、コードなど幅広く弾けるところが好きだ。スイッチを一つ押せばすぐに演奏できる手軽さも良い。

その時々で興味をもった楽器をやってきたが、今はピアノに落ち着いている。

6月でピアノを始めてから1年になる。

<電子ピアノ>


好きになことの2つ目は文章を書くこと。最近、好きなことに気がついた。

昔から、仲の良い友達には自分の文章をシェアしていた。
大学生の時はmixiでグループを地元の友達と作り自分の体験を共有していた。

「遊びにいった女の子の走り方が忍者みたいだった」


というようなクダらない内容ばかりだった。それを読みながら友達と一緒に笑うのは楽しかった。


こんな経験があったからか、シェアハウスで仲良くなった外国人の友人達と飲み会をした後には、その日の出来事をメッセージグループに送っていた。

”diary”と言われ少しだけ人気になった。久しぶりに読んだら自分でもちょっと笑った。

<外国人の友人グループに送ったdiary>

今年の4月からはnoteを始めた。
Zoom飲みで話したことをまとめたら、友達に喜んでもらえて嬉しかったので記事を書き続けている。(余談だけどnoteの好きなライターは岡田悠さんだ。もちろん岸田 奈美さんも)

学生の時、音楽も文章を書くことも苦手だった。

音楽の成績は2か1で、音符は読めなかった。
高校生の時に小論文の課題を白紙で提出したら、先生からめちゃくちゃに怒られた。

2つとも「自分にはセンスがない」と初めから諦めて真剣に取り組まなかった。でも、やってみると意外にできるもんだった。

「できない」ではなく「やってない」だけだった。

6 教えてもらえる

新しいことをやって共有すると周りの人が反応して、新たな学びを得ることもある。

最近絵を描くことも試してみた。学生の時に図工や美術も苦手だった。
でも今、絵を描いてみると普段使わない頭の部分を使っているようで気持ちよかった。

図工の先生をやっている友達に、絵の練習をしていることを連絡してみた。

「じゃあ画材の使い方を教えるよ」とamazonで買った画材の使い方や絵の書き方をZoomで教えてくれた。神なの?

彼女の授業はわかりやすくハイクオリティで知らなかったことをたくさん学ぶことができた。

<Zoomで絵の授業をしてくれた>

コミックライターをしている友達にも絵を見せてみた。彼も絵の描き方を教えてくれた。
あと、彼が練習しているというアニメ風の絵を、机の上にあった紙ナプキンに描いてくれた。

彼が初めて紙の上に描くアニメ風の絵だという。何年後かにお宝探偵団に出そうと思っている。

<プロの友達が絵を描いてくれた>

こうやって自分のアウトプットを人に見せて、反応が返ってきて、それがまた自分のインプットになる、という瞬間に僕はとても幸せを感じる。

7 これからもちょっとずつ試していきたい

振り返ってみると数年前からは想像がつかないことを色々と経験することができた。

昔の自分が聞いたらびっくりすると思う。「ピアノやってるの?え、ダンスも?ミュージカル?」

楽しそうなことがあれば、これからも試していきたいと思っている。


今一番にやりたいことは音楽の編集だ。

自分で曲を作ることができたら楽しそうだと思ったからだ。だからMacBook ProとLogic(音楽編集ソフト)を買った。
今月末に届く予定だ。はよこい。


こんな風に色々と試してみると、色々とものが増えてくる。

電子ピアノ、ウクレレ、サックス、電子ドラム、ドラム用のイス、譜面台、サックスと電子ドラムの教本、トライアスロン用のウェットスーツ、スケッチブック、絵の画材、など。

どれも大切なものばかりだ。それぞれに思い出がたくさん詰まっている。

ちょっと部屋が狭くなってきて若干困ってはいるけど。

でも、たとえ部屋にものが多くなったって問題はない。


だって大抵のものは、メルカリに出品したら売ることができるのだから。

キナリ杯を終えて

残念ながら受賞ならず。

でも楽しかった〜。受賞作品はどれも素晴らしい作品ばかりだったので読んでいきたい。

今回、キナリ杯チャレンジというグループを作ってお互いの文章を投稿しあったり、ワイワイ言いながらキナリ杯に応募しました。めちゃくちゃ楽しかった。

メンバーのnoteをまとめたので読んでいただければ嬉しいです。

サポートいただけたら幸いです。