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秋田ノーザンハピネッツを語り明かした夜(前編)

4月16日、17日に宮本は秋田に飛んだ。現地を取材し、game1終了後に「焼肉レストラン大昌園」さんにて、ヴィレッジヴァンガード秋田オーパ店のウエダ店長と終わったばかりの試合を振り返った。焼肉の美味しさと共にヒートアップした秋田ノーザンハピネッツトークを特別公開する。前編では、今季躍進するポイントガード・長谷川暢選手について語った。

焼肉レストラン 大昌園さんの外観

どんなにバスケットボールが進化してもポイントガードで勝敗が決まる

宮本 惜しくもこのゲーム(4月16日vs三河game1)は負けてしまいましたが、ポイントガードの戦いはブースター的にはやっぱり胸熱ですよね?
ウエダ 長谷川暢と細谷将司(シーホース三河/19-20, 20-21シーズンは秋田でプレー)のマッチアップは単純に嬉しい。でも、「大丈夫か?暢ちゃん、ボール持つの長くない?」とは正直なところ思った(笑)。
宮本 絶対に負けたくないんだなって感じでしたよね(笑)。
ウエダ それはそうやで!
宮本 「細谷さん、今、秋田のポイントガードは僕ですよ」みたいな感じありましたよね。
ウエダ わかる! マーシー(細谷将司)は「こいよ、こいよ!」って感じで、暢ちゃんの「やってますよ、僕」みたいな感じは本当に胸熱やったわ(笑)。
宮本 このゲーム、長谷川暢選手は15得点2アシスト2スティールでした。日本人選手では1番の活躍だったと思います。試合後の会見で長谷川選手が「勝たせられなかったのはガードの僕の責任です」と言っていましたね。
ウエダ 最後まで望みがあって、絶対勝つぞって思ってたけど、ちょっと届かへんかったな。
宮本 今シーズンの長谷川暢選手はどうですか?
ウエダ 今シーズンの暢ちゃんは覚悟を決めた姿をしているよね。去年は正直若い子のうちの1人みたいな感じで、試合を見る中ではあまり印象に残ってなかったけど、今シーズンはスタメンになってステップアップしてきている感じがすごくある。あとはチームが勝った時に「この試合は暢ちゃんやったな」っていうのが欲しい気持ちかな。
宮本 そうですね。おそらく彼も今日の試合でそれを見せたかったと思います。もしも秋田が勝っていたら、「今日は長谷川暢で勝ったよね」ってなる試合だったと思います。でも、やっぱりまだね……まだ足りないものがあるっていうのは、試合後の会見を聞く限り本人も感じているのかなとは思いました。
ウエダ そうやね。でも、本当に頑張ってる。もうちょっとや!
宮本 ハハハ。ガードの重要性の話をすると、この試合、長谷川選手が対峙した三河の細谷選手はすごくよかったというわけではない。最初に3ポイントを決めましたけど、試合を通して普通というか……。
ウエダ いつも通りな感じよね。
宮本 そう。はじけた感じはないけど、そつなくこなした。逆に怪我から復帰した柏木真介選手(シーホース三河)は15分の出場でしたけど、ボールを落ち着かせて、うまく周りを生かしながら、要所で自身も得点を決めて試合の流れを作りました。
ウエダ そうなんですよ。だから印象が強いもんね。
宮本 そこがね……ポイントガードなんですよ。
ウエダ いやー、本当にそう感じたわ。
宮本 実際、長谷川暢選手ともそこについて話したことがあって、やっぱりどんなにバスケットボールが進化してもポイントガードで勝敗が決まるところはあるよねって。

秋田#21 長谷川暢選手と三河#4 細谷将司選手のマッチアップ(写真=宮本將廣)

ウエダ 私はバスケのことはよくわからないから、なんて言ったらいいか分からないけど、暢ちゃんのプレーはめちゃくちゃグッとくる。11月、12月くらいやったかな? そこから伸びた感じがあるな。
宮本 そうですね。11月の天皇杯で何かを掴んだ感じがありました。今日のゲームで印象的だったことは長谷川選手と前田顕蔵HCのコミュニケーションが多かったことですね。
ウエダ あ、わかる。最後も走って聞きに行ってたからな。
宮本 今までだったら古川選手とか中山選手が呼ばれて、指示がありました。そこもちょっとずつ変わってきたのかなって感じましたね。そういえば、秋田に来る前に彼に一通連絡を入れたんです。僕の高校の先輩に右代啓祐選手という陸上の十種競技でリオ五輪に出場した方がいるんですが、右代選手がInstagramにアップした「意識して動くことも大切だけど、時には無意識になって本能のままに動くことも大切。」という投稿を彼に送ったんです。
ウエダ なんか、すごくいい言葉。
宮本 なんでそれを送ったかというと、彼は本当に色々考えていると思うんですよ。チームを勝たせるためにこうしたい、自分もこれができないといけないって。
ウエダ いや、本当そうよね。
宮本 でも、いろいろ考えを巡らせる中で最後は自分らしさってなんなのかというところに僕は行き着くと思うんです。その中で「長谷川暢で勝った」という試合が生まれるとしたらどんな試合かなって考えたら、きっと一番長谷川暢らしいプレーをした時だと思うんです。
ウエダ うんうん。
宮本 今はきっと色々考えてやっているから、らしさがちょっと出てない感じの時もある。だけど、チームから求められていることはできはじめている。間違いなく最低ラインが上がっているんです。僕はそんな感じがしていて、だからこそ彼に秋田という場所で自分らしいプレーをしてほしいなって思ったんです。

長谷川暢のめちゃめちゃすごい進化

ウエダ 最近、バスケって面白いなって思ったことがあって、ヘッドコーチの判断があるわけじゃないですか。でもそれがうまく行かないことももちろんあるわけよね。そこで選手たちが判断をすることもある。そういう不確実なゲームを組み立てているヘッドコーチってすごいと思ったのよ。
宮本 本当にそうですよ。ヘッドコーチが描いている戦術があって、「こういうフィニッシュに持っていこう、なぜならば彼の、例えば古川選手のこのポジションのシュート確率、期待値が……」
ウエダ・宮本 高いからだ!
宮本 そう(笑)。そういう理論が成り立つんですけど、バスケは相手がいる競技なので、相手は当たり前に古川選手を止めに来ますよね。

確率の高い漢・古川孝敏選手(写真=宮本將廣)

ウエダ はいはい。
宮本 例えば、ヘッドコーチが古川選手に3ポイントを打たせようとした。その判断は絶対に正しいじゃないですか。だけど、その瞬間には正しい答えかどうかはわからないっていうのがバスケットボールであり、対人スポーツの競技特性なんですよ。
ウエダ それはすごく思ったわ。やっている本人たちも考えることがあるだろうし、だけどその先を見ている人もいる。色んな人の気持ちがすごく入るスポーツなんだなって。
宮本 本当にその通りです。山ほどある選択肢から1つを選ぶのがどれだけ大変なことかっていうことを考えてみると、また視点が変わると思います。
ウエダ そう考えた時に「今日は長谷川暢だったな」っていう試合を作れっていうのは相当難しい注文をしているんだなって思ったの(笑)。
ウエダ・宮本 ハハハハハ。
ウエダ 「暢ちゃん、やったれ!」って思っているけど、バスケは1人でやるスポーツではないもんなとも思った。
宮本 そこに付け加えると、長谷川暢という選手は個人じゃないと僕は思うんですよ。
ウエダ どういうこと?
宮本 例えば、古川選手に味方がスクリーンをかけてくれます。パスを出してくれます。でもそれは、あのものすごいシュート力があるからじゃないですか。
ウエダ あー、そうやな。
宮本 相手が3ポイントを警戒したら、抜いてからの2ポイントも高確率だし、ゴール下まで行って決めることもできる。ある意味、個の部分でどうにかできるわけですよ。
ウエダ 確かに。
宮本 でも、長谷川暢という選手は誰かの協力が必要な選手だと僕は思っていて、「長谷川暢だよね」っていうゲームを作るには彼にとっての絶対的な相方が誰になるかというのもポイントだと思うんです。
ウエダ うわー、なんかすごいけど、わかるわ!
宮本 それがアレックス・デイビスなのか、コルトン・アイバーソンなのか……。
ウエダ いや、今日さ! いつも他の選手からデイビスちゃんのアリウープはあるんやけど、暢ちゃんのパスからがあったじゃない?
宮本 ありましたね。彼は多分その辺をすごく考えていると思います。
ウエダ むっちゃテンション上がったわ!
宮本 推しラインね(笑)!
ウエダ そう(笑)! うわーって思って!
宮本 例えば、大浦(颯太)選手とかは1人で抜いてアシストができるけど、僕がいうのもおこがましいですけど、長谷川選手はそんなに器用ではない。アタックしてペイントまで、ゴールまで行くことが強みだけど、そこからのパスとかはちょっとうまく行かないこともある。その時にそれをフォローしてダンクしてくれる相方が誰なのか、パスをうまく引き出してくれて、少しずれても決め切ってくれる選手が誰なのか。
ウエダ なるほどな。
宮本 だから「長谷川暢で勝ったゲーム」とか、長谷川暢のチームになっていくことを考えると、彼の絶対的な相方が誰になるのかは1つのポイントだと思います。
ウエダ そうやって言われると確かに暢ちゃんが1人で突っ込んで行ってるイメージはあるけど、誰かを使うっていうイメージはあんまりなかったな。
宮本 だから、今日の長谷川暢選手からデイビス選手のアリウープはさらっとやっていましたけど、実は長谷川暢のめちゃめちゃすごい進化だと僕は思うんですよ。

気迫溢れるディフェンスを見せた長谷川暢選手(写真=宮本將廣)

(後編につづく)

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