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エンドラインからの景色 vol.41 B.LEAGUE 第6節 熊本ヴォルターズvs愛媛オレンジバイキングス GAME2

 エンドラインからは選手たちの熱く激しいプレーや、そこからしか見えない表情がある。ダブドリ編集部が撮影した中から厳選し、写真とともにゲームを振り返っていく。vol.41では、11月5日に行われたB.LEAGUE 第6節 熊本ヴォルターズ vs 愛媛オレンジバイキングスのGAME2をピックアップ。最後に両チームのヘッドコーチ、選手の会見を掲載。(写真・文 = 宮本將廣)

現在、熊本を率いる遠山HC
過去に熊本を率いた保田HCは現在、愛媛のHC

愛媛、保田ヘッドコーチ会見

宮本 後半のカムバックが素晴らしいゲームでした。特に3クォーターはすごくいい入りをして、早々に相手にタイムアウトを取らせることがでました。しかし、途中の2.3ポゼッションで1on1に偏ってしまって、少し流れを失いました。遂行力の差が出てしまう理由をもう少し噛み砕いて伺いたいです。
保田 何よりもボールを動かすことが大切だと考えています。ボールを動かすことによって人が動く。その中でコツコツとセパレーションを作っていく。そのセパレーションを作るためにしっかりとスクリーンをヒットする、させるという部分が差として出ていると考えています。自分のバスケットボールはしっかりと24秒を使って、ズレを大きくしていったところをアタックしていくロングセットのオフェンスをベースとしています。その中でオフェンスがオーガナイズされていない時に1on1になりがちで、あとはジャッジに対して選手たちが少しムキになってしまったところもあったと思います。実際にタッカー選手もオフェンスチャージングを取られてムキになっていると感じたので、少しベンチに下げました。試合前に伝えてたこと、そしてベンチから見えていることを信頼してもらって、自分自身をコントロールしてほしいという話をしました。
宮本 24秒を使ってオフェンスを構築していく中で、おそらく熊本さんのディフェンスをスカウティングした上で、そのカウンターなども用意していると思います。試合の終盤でそれを表現できる場面が増えましたが、チームとして目指していくバスケは終盤の形をイメージすればいいのでしょうか?
保田 そうですね。後半にハーフコートセットが効き始めた理由の1つとして、ゾーンディフェンスでスティールが増えたことで、トランジションオフェンスとセットオフェンスの両面をうまく作り出せたことが要因だと考えています。極論ですが、40分のすべてがセットオフェンスになってしまうと、相手もスカウティングをしてくるので、対応が楽になってしまう。その中でトランジションが増えてくればピックアップが難しくなり、いい形でハーフコートセットにも入ることができます。後半はそのバランスが良かったことで、相手のプレッシャーが少し下がった印象を受けました。あとは自分のゲームの運び方として、前半でロスター登録の12名全員を使っています。それはこの試合だけでなく、これまでの全試合でもそうなんですが、やはり前半は相手もフレッシュでアクティブにプレーしてきます。そこに対して、ロングセットのオフェンスで様々な対応をさせる、そこに今日の後半のようなトランジションをうまく絡める。ディフェンスでもゾーンなどを絡めて相手に頭を使わせる。そうすることで自分たちは後半に仕掛けるだけの足を残すことができます。さらにはその試合でいい動きをした選手が後半のプレータイムを掴んでいく。今シーズンこのチームを率いる中でそのようなゲームの運び方のイメージを持っています。今日のゲームは前半で22点差がついてしまいましたが、13点ぐらいのビハインドであれば、巻き返せるイメージを持つことができています。それはチームで共有できているので、早く勝利という形に結びつけたいと思っています。
宮本 そのような考えをお持ちなのであれば、鍵を握るのはバックアップのガード陣になると思うのですが、齋藤アシスタントコーチも奥田選手にかなり声をかけていました。彼がより速くボールプッシュをすれば、スタートの古野選手とコントラストが作れると思います。そのあたりもコーチ陣で共有してガードをうまく使い分けていくイメージですか?
保田 そうですね。リクルートの段階でもそのような使い分けはイメージしていて、タッカー選手も3番目、4番目のポイントガードというイメージで捉えています。スタート向きの選手とかスタートで出るべき選手はいると思っていて、それぞれにキャラクターがあると考えています。そういうものをベースにチームを使っているのですが、今シーズンは古野選手がすごくディフェンスを意識して取り組んでくれています。キャラクターに加えて、そういう選手たちの努力は無駄にしたくないので、コーチである僕がしっかりと歩み寄らないといけない。今日の試合では奥田選手や金本選手がしっかりとローテーションを獲得できて、古野選手を2番で起用して、2ガードというオプションが使えるということを示してくれました。負けはしてしまいましたが、今シーズンの僕らにとってすごく大きな意味を持つゲームだったと感じています。

熊本、遠山ヘッドコーチ会見

宮本 私の印象論ですが、トランジションディフェンスにおいてネガティブなことが多かった気がします。それはオフェンスの終わり方、タグアップができていないのか、シュート時のフロアバランスが悪いから切り替えのところでイニシアチブを取られているのか。ヘッドコーチとしてはどのように感じられましたか?
遠山 今おっしゃっていただいたことがすべてあると思っています。なので、正直結構難しい問題なんですよね。タグアップをしたいのでもうちょっとクラッシュして欲しいんですけど、今日の2クォーターもクラッシュがすごく雑でした。あとはトップフィルをしないで中まで行っちゃって走られるケースがあって、まだまだ練習が足りていないなと感じています。オフェンスの終わり方からディフェンスに移行する部分で言えば、今日は2つの要素がありました。1つはワイドオープンが出来すぎて、タグアップが難しいシチュエーションですね。目の前にディフェンスがいればタグアップはもっと簡単なんですけど、完全にディフェンスをブレイクすることに成功して、ワイドオープンができるとタグアップは難しくなります。ガードがビッグマンのところにいっていいのかとか、そういう判断が強いられてしまうのですが、今日はそういう機会が多かった。まだまだそのあたりの共通認識を詰めていかなくてはいけません。もう1つは、今日の後半のオフェンスの終わり方が悪かったことです。これはシンプルでオフェンスをしっかりと遂行できれば、タグアップまでが練習通りにいくので、取り組みながら整理しないといけないなと思っています。
宮本 そこに取り組みたいと思っても、この後はアウェイが続くので練習時間が限られてくると思います。中心選手がいない中で、コートにいる誰かがそこのリーダーシップを発揮しないといけない部分もあると感じました。例えば、一回ファールで切って、ハドルを組むとか。選手たちの責任もあると思いますし、遠山ヘッドコーチの責任もあると思います。そこのバランスは今後どのように考えていこうと思っていますか?
遠山 基本的にはコーチである僕がコントロールしてあげたいと考えています。今日に関してはエクストラファールが多くて、ファールで切れないシチュエーションが特に後半多かったので、また違う難しさはありました。ここ2週間ぐらいは水曜ゲームもあって、怪我人もいたので5対5もできない状況でした。あとは疲労を抜くことが1番重要だったので、正直トランジションディフェンスには全然アプローチできなかったので、これからって感じですね。今日の試合に向けて取り組んできたこととしては、古野選手やタッカー選手がメインのプレーメーカーだったので、そこのモメンタムを止めることをトライしたかったんですけど、止め切れなかったのが正直なところですね。彼らにマッチアップするのが長島や山本翔太の時はそんなに問題ないし、ある程度のモメンタムを止めることができた部分があったと思うんですけど、また別のところでゲームを持っていかれた部分がありました。以前福島さんと試合をした時に加藤選手にわーって切られてしまったんですけど、愛媛で言えば奥田選手ですね。脚力的にそういうタイプの選手にマッチアップできる選手が今の熊本にはいないんですね。ここの役目を磯野や本村が担っていて、当たり前ですけど、他の選手が悪いというわけでないです。シンプルにそういう脚力の選手が今の熊本にいないという問題なので、それが今日で言うと奥田選手でした。彼にはタグアップを途中でやめたんですけど、僕もコロコロ変えすぎなのかもしれないし、かと言ってそこまで難しいことではないので遂行しないと……というところもあり、もうちょっと整理が必要かなと感じています。
宮本 そういう意味では、これから対戦するチームはタイプが違ったり、タレントレベルも高かったり、チームとしてのクオリティも高いチームなので、落とし込む情報量が増えてしまうと思うんですけど、そこのバランスはどう取られていくんですか?
遠山 ちょっと絞ろうかなとは考えています。もともとそんなに多くはないんですけど、シンプルなところを2つぐらいをしっかりと遂行できるようにしたいと思っています。それ以上に昨日の4クォーターだったり、今日の2クォーター、3クォーターのように単純にスプリントバックできてないとか、審判に感情を向けてしまうとか、自分自身に矢印が向いていない部分があって、そこはノーエクスキューズでやらなくてはいけないと思っています。

熊本、駒沢選手会見

宮本 オープンは作れていて、ショットを決めることもできていますが、どこか判断に迷いを感じるというか……。周りを活かすところと自分でアタックするところで、今日もうまくできたところとターンオーバーになってしまったところがあったと思います。そのあたりのバランスはご自身ではどう考えてますか? 厳しい言い方ですが、これから上位チームと当たる中で、そのターンオーバーが致命的なものになる可能性もゼロではないのかなと思うのですが……。
駒沢 熊本でシーズンを戦ってきたことと、今までの経験で自分は迷ったらダメだなって最近気づきました。自分のアタックはチームにとって必要なものだと自分でも感じているので、空いていたら迷わずにアタック、寄ってきたらパスという判断をもっと明確にできるようにする必要があると感じています。それができれば、今日の試合ももっと上手く運ぶことができたと思うし、自分の得点も増えていくのかなと思っています。
宮本 今日に関しては、ゾーンアタックで少し止まってしまった印象を受けました。
駒沢 そうですね。相手がゾーンで守ってきた時に自分の前がかなり空いてたんですけど、作ろうとしすぎちゃって……。4クォーターはドライブからフローターとかで決め切れたんですけど、最初からもっとそういうアタックをすれば良かったなと感じています。今日は周りを見すぎてしまったところもあるので、自分でアタックすればもっと簡単ゾーンを攻略することができたのかなと思うので、その辺りは次の試合に活かしていきたいと思っています。

熊本、ウットベリー選手会見

宮本 ジャメール選手とは昨シーズンから一緒にプレーをしていて、アーロン選手は今シーズンから一緒にプレーをしています。2人はヨーロッパで素晴らしいキャリアを歩んできて、ウッド選手は日本で素晴らしいキャリアを歩んできました。試合に関しては後半に失速してしまいましたが、ウッド選手は今日も素晴らしいスタッツを残して、プレーもより洗練されたように感じました。今シーズン、彼らと一緒にチームを作っていく中で、自分の新しい可能性などを感じたりしているのでしょうか?
ウッド チームとしてはまだまだこれからの部分があるけど、今言ってくれたジャメールとアーロンとのケミストリーは素晴らしいと感じています。彼らはヨーロッパの高いレベルでキャリアを歩んできました。私は日本のリーグの中で高いレベルでプレーを続けてきました。だからこそ彼らが日本でプレーするにあたり、日本でどのようにプレーするべきかということをしっかりと伝えたんです。ジャメールに関しては、熊本に来る前にも日本でのプレー経験がありましたが、アーロンは今シーズンから日本でプレーをしています。その中でアーロンは日本のバスケットボールにしっかりと適応して、すでに彼の素晴らしさを表現しています。僕らにとって最も大事なことは怪我をしないことですね。おっしゃる通り、彼らと一緒にプレーを続けていけば、私も含めてもっと良くなっていくという手応えを感じています。


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