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SaaS Conference TOKYOより、「3年連続300%増のSaaS企業のHard Things」

こんばんは!dabeper(@dabeper)です。
2018年11月2日に丸の内で開催されたSaaS Conference TOKYOに参加してきました!

BEENEXTの前田ヒロさんが主催されている日本一のSaaSカンファレンス、SaaS好きとしては参加しない手はない!ということでチケットを購入。

終了直後の今、興奮が冷めないうちにレポートを書きたいと思います。

6時間弱に渡る長いカンファレンス、とてもひとnoteに収まりきらないので、このnoteでは株式会社ヤプリの庵原さんと前田ヒロさんのセッション、「3年連続300%増のSaaS企業のHard Things」にフォーカスしました!

3年連続300%増のSaaS企業のHard Things

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登壇者:庵原 保文 株式会社ヤプリ 代表取締役
    前田 ヒロ BEENEXT Managing Partner

(以下、細字は庵原さん、太字は前田さんの発言とします)

今は成長しているヤプリも、昔はハードシングスがありました。PMF達成までどのくらいの時間がかかったのか、それを実感したのはいつだったかを教えたください。

最初の2年は全然ダメでした。PMFを探すのが辛かった。
SaaSというと、バーティカルに行くものと、ホリゾンタルに行くものがあると思いますが、創業期にそんなことを理解していませんでした。どの業界に刺さるかも最初はわからなかったので、難しかった。
ふたつ目に、刺さる企業サイズもわからなかった。わからないこともわからなかった。そもそも起業するときに、当然企業は何も考えずにオンラインセールスしてれば寝てるだけでチャリンチャリン入ってくると思っていました。それが失敗でした。

どの業界がいけるかはどう判断しましたか

とにかくアクティビティを増やしてアクションアクションしていきました。
熱狂する人を探します。
もっちっていう、ゲームの攻略アプリを作ってる人が最初が熱狂してくれて、最初から10個くらいアプリ買ったりしてくれて、これはいけるぞと思えてきた。あとは、ブロガーのイケハヤさんも、素晴らしいと褒めに来てくれた。
問題は、ゲーム攻略アプリってところが市場が2社しかなかった。一個はもっちさんが作った会社でこれはグノシーに買収されて、もう一社は上場したGamewith。やばい。

次は、アプリっていったらファンビジネスだと思って音楽業界に目をつけまた。音楽機能がないとダメだということで、それをつけた。今でも一応ある機能ですが、全然使われてないですね(笑)。
やってみて、音楽業界にはシステムに投資する文化がないということと、
アーティストもそんなにお金払える人がいないことがわかりました。ここにも市場はなかった。

そして最後に当たったのがアパレル業界です。
街で出版社時代の上司にすれ違ったのですが、それがnico and...の代理店の人だった。その人は、クーポン機能があると良いと要望してきました。
これまでゲーム市場と音楽と失敗してて、エンジニアからの経営者の信頼はかなりなくなってきていましたが、最後という感じでクーポン機能を実装しました。
そしたら、そのクーポン機能が初めて当たった。
これが、ずっとお金を払ってくれてて、全然チャーンしない。
これが、アパレルでした。これがPMFまでのストーリーです。

振り返ってみて、どういう判断基準があればもっと早く業界を決められたとかありますか。

業界は正直難しくて、わからないのが正直なところです。
チャーンとかリテンションが大事と言われるが、それは最初のころはものすごく不確実で、例えば顧客が2社で1社チャーンしたらチャーンレート50%になっちゃいますから。
二社に売ったらその市場終わりなのかとか、そういうことも考えておいた方がよかったですね。
クーポン機能があたったときは、その機能はアパレル業界だけじゃなくてリテイル、小売全体ということになって、市場が広がりました。

業界ごとにつけて欲しい機能とかの要望がずれてくると思いますが、どう優先順位つけて答えていきましたか

カスタマイズの要求はどのSaaSにも出てくると思いますが、難しい問題です。
ヤプリの場合は、これからどう開発を進めるかというロードマップを引いています。
お客様からの要望を採用するかどうかは、
・その機能は他の会社も使うものなのか
・ロードマップと近しい機能なのか
・機能にお金を払ってくれるのか
という点で判断して決めています。

ヤプリの展示会であったり顧客獲得のノウハウを教えてください

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まずは、一番下の、展示会でバーっと名刺を交換します。
そこから、カンファレンスに出て、プレゼンをしたりして、コアな出会いを作ってきます。
最終的には、ヤプリサミットを年に2かいやっていてここで顧客をファン化するという感じです。自社イベントに来てもらうことで、自社のファンになってもらうと。

こういうときに出てもらう登壇者は、カンファレンスで声をかけていて、ゲストとして出てください!みたいな感じで来てもらっています。
カンファレンスに関しては、全然自社じゃないところのカンファレンスにも出ています。

出るカンファレンスや展示会はどう絞っていますか

マーケターが来るところを選んで行っています。
最初は社員がリードをとるということをやっていたのですが、それを2日とかやっていたら社員も喉ガラガラになっちゃったりして疲れちゃうので、コンパニオンを雇うことにしました。

ヤプリのセミナーとかもやっているのですが、このセミナーも最初はいかつい営業マンがやっていたのを、プロにやってもらうように変えました。

あと、これは主催者に怒られるかもしれませんが、通路側でセミナーをやると、人が滞留して人が滞留して盛り上がってる感じになります(笑)

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受け取った名刺はすぐに分類するということをやっていて、アポ確定とかいろいろ確度に合わせて袋にどんどん入れていって、その次の日からばんばんインサイドセールスするという感じです。
展示会も進化していて、最近はこのような感じです

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プロダクトの説明とか一切書かずに、「yappli」だけ。

費用対効果とか、ROIについてどう考えていますか

イベントで何受注したかとか、費用対効果を見ていく感じですが、最終的にCACで見ているので、LTVに対して3~5倍になってるのか?というところで、全てのCACをひっくるめて(ブレンディットで)考えています。
よっぽど酷くなければCACで考えて、次も展示は継続するという感じです。

オフラインの時間軸はどのような感じですか

一般論では、一日遅くなるごとに架電成功率10%落ちると言われているので、これを意識してすぐ電話することを心がけています。
面白いのは、面白いと言ったらあれですが、あんまり早く電話すると怒られます。「まだイベント参加してるわ!」みたいな(笑)

力を入れてるのは、自社イベントです。
ヤプリナイトっていう、大人な感じのカンファレンスも自社でやっている。
ヤプリサミットも最初は参加者100人とかで、二十人の会社が空気を読まずにサミットとかするのはまずよかったなと。

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サミットの意義は何ですか

カスタマーサクセスの一貫というところと、あとは商談中の会社や新規顧客となる会社とのオフラインでの交流です。

満足度あげる施策とかは

満足度はすごく良くて、新機能とかロードマップを公開すると喜んでもらえる。ロードマップはプロダクトの未来に希望を持ってもらうのが良いと思います。
あとはヤプリを使いこなしてる人をヤプラーと読んで、Tシャツとかプレゼントして一緒に写真撮ったりとかもしています。

カンファレンスに向いてる業界向いてない業界はありますか

ないと思います。どこでもいける。僕自身も会社員時代にそうでしたが、エンタープライズの場合はオンラインでの行動にロックがかかっていたりするのでオフラインでの接触が大事です。

カスタマーサクセスデーを自社で実施していると聞きました

これの目的は、カスタマーサクセスの目的は顧客の成功にコミットするということだと思いますが、この文化を全社の文化にしたいなと思っています。
会社内のどの職種の人も、売って終わりじゃない、効果や成功につなげようということで、全社にカスタマーサクセスの考え方の浸透を促しています。
4つあるバリューの一つに、「カスタマーサクセス」をそのまま入れたりもしています。
今では経理の人とか、広報のひとも自分たちでカスタマーサクセスをやりたいと言い出していて、自主的に本とか読むようになって、顧客のアプリを対象に改善案を提案するコンテストとかが開催されるまでになりました。これは良かったですね。

どのようなトラブルがありましたか

人の面です。組織が30人を超えたときに初期の人がどんどんやめていっちゃってやばかった。人事がいなくて、人のケアができていませんでした。
10人20人の頃から、採用担当者はジョインさせれば良かったと思っています。

プロダクトの方では、急に顧客が増えたことでプッシュ通知がぶっ壊れてしまいました。
守りの開発ができてなかった。去年はスーツで謝りまくってました。
そのあとQAのひととか、サポートの人を入れました。
それで一気に謝る回数減って、今年入ってから1回しか謝ってない。一回謝ったけど(笑)

注意することはありますか

これは創業者に多いと思いますが、自分の得意なことには熱中するが、採用のこととかに目がいかないというのがあると思います。採用の人が入ってから、風船が浮いてたりとか、手紙があったりとかして劇的に良くなりました。
最近はYOP(ヤプリオンボーディングプログラム)をやってる。これはいかにもカスタマーサクセスのようで自社向けのプログラムなのですが、新しく入社した人のオンボーディングのために、経営者と定期的にミーティングできたりする仕組みになっている。YOPの最後に表彰状があったらいいねみたいなのを言ったらすぐやってくれて、良かったです。

初期の頃は新しく人入ってきたら
「机あるから組み立てといて!」
みたいなことを、最初はスタートアップっぽいでしょ!とか思ってやってたけど、これがちゃんと整って良かったです。
やっぱり、社員もカスタマーサクセス、オンボーディングをさせていかないといけない。
あらゆるものがデジタライズできるのがサース。人事の方のサクセスがこれから流行ってくると思いますね。

来年も300パーセント成長を目指したとして、これから解決すべき課題は

0→1は、気合いだと思う。ネットワークとか個人力が大きい。
1→10できたのは、分業化できたからです。
10→100のレベルは未知数だけど、このSaaSの科学をもっと科学しないといけないなと思っています。
セグメント別に分けるのか、企業サイズなのかとか。
さらなる、細分化、科学が求められています。
その分、人材もマネジャーも求められるし、ゲームがもっとハードになるなと思っています。
ARR100から1000に行く会社って、何やってるかわからなかったけど、これからやっていこうというところです。

これで35分。35分短いですね!

いやもっと話したいですね!

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以上が最初のセッションです。
内容がとても濃くて、35分があっという間に過ぎて行きました。

庵原さんももっと話したいとおっしゃっていて、このカンファレンスのスポンサーであるSkyland Venturesの木下さんも以下のようなツイートをされていました。

開催されたらぜひ参加したいですね!

以上でこのレポートを終わります。お読みいただきありがとうございました!

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