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【事例】スポーツで挫折した大学生がスポーツアナリストになるまで

「身長が小さいのになんでバスケットボールしてるの?」

大学3年生の年に一度の台湾遠征で、試合後、台湾のローカルテレビの取材を受けた時に記者に言われた。

矢継ぎ早に「身長が小さくて困ったことは?」「今まで身長が小さくていじめられたことは?」とも聞かれた。

ショックだったのは。
割とセンシティブな話題を振ってくる記者の嬉々とした表情でも。
自分でも自覚している身長の小ささを指摘されたことでも。
自分の興味ややりたい気持ちだけではカレッジスポーツに進めないという文化の違いに対してでもなかった。

っていうかチビチビ言い過ぎやねん、どうしてん。

なにより、その日の試合で2得点1アシスト4ターンオーバー(※ミスのこと)という散々な結果を引っ提げて、「なんの取り柄もないのにそれでもバスケを続けるのか?」と突きつけられているようで怖かった。


運動大好きちびっこ〜人生初の挫折をした大学生


小学校のミニバスはやってなかったし、中学校のバスケ部は弱小だし、高校はいわゆる進学校で、体育館が使えるのは18時まで。
「私も環境さえあればプロ目指せるんちゃうか」と見当違いな夢を抱き進んだ大学バスケの世界。

いや、練習しんどすぎる。

何から何までレベルが違っていた。パスやドリブルの強さも、シュートの精度も、フィジカルの強さも、身長の高さも。
そしてアスリートとしての覚悟も。

全身筋肉痛で、毎日限界を感じて、それでも故郷の大阪を反対を押し切って出て行った憂き目から実家には連絡できなくて、辞めたいとか言い出せなかった。

いや、言い出せなかったというより、選択肢が無かったんだと思う。
若者特有の狭い視野もこの時ばかりは役に立ってくれた、と振り返って思う。

あと、当時大神選手に憧れを持っていて、髪型も寄せていた。
プロになれなくても大神選手みたいなプレーをしてみたい、上手くなりたいってなんやかんや思えていたのも大きかった。

アスリートって偉大だ。

だからどんな選手でも私は様々な困難と葛藤の中戦っているプロのアスリートを、心の底から本当に尊敬しているし、その短くも輝かしい期間がより輝くようにサポートしたいと思っている。


4年間続けられたという事実が背中を押してくれる


大学在学中、バスケ部を辞めようと思ったことなんて2万回以上ある。
でも続けた。周りの人たちのおかげで続けられた。

プレーで貢献できないなら何で貢献できるか、ひたすら考えた。

声を出し続けた。下を向かなかった。

続けるうちに、案外サポートする側も自分に向いてるのではと思った。
チームに貢献したいからとバスケットボールを勉強するようになった。

大学を卒業した後の進路も体育教師しかないと思っていたけど、コーチという可能性があることも知った。


大人の寛大さと優しさに支えられた大学院生


だからちゃんとコーチングを学ぶために大学院に行った。
ちゃんと学べたかは分からないけど、学びは誰かが与えてくれるものじゃなくて、自分で渇望するものなのだということは痛いほど分かった。

分からないことがあると聞きまくった。
大学バスケ部のアシスタントコーチをしていたから、分析のソフトを使い始めたものの、教授や先輩に詳しい人がいなくて、大学の出入り業者さんの連絡先を聞いてショートメールで連絡しまくった。

「福田さん、それ僕も分からないので分かる人紹介しますよ。」

大学院の1年目の終わり頃に修論そっちのけでスクリプトを書いていた頃のことだ。
出入りの業者さんにスポーツアナリストの勉強会があるので来ないかと誘われた。

その勉強会で繋がった人たちの中には、バスケやラグビー、サッカーなどの分析の第一線で活躍されている人たちもいれば、学生でアナリストを本気で目指している人もいる。
おそらく当時は今よりもデータ収集にテクノロジーが導入されていなかったから、データ収集の時点で工数が爆発していただろう。顔がげっそりしていた人もいたから、睡眠時間もろくに取れてなかった人もいたと思う。

そんな中でも学生の身分の私に対して惜しげも無く技術やアナリストとしてあるべき姿を教えてくれた。

「これくらいスクリプト書けるんだったら、代表のU16の合宿一回手伝ってみる?」

めちゃくちゃ嬉しかった。
もしかしたら、ただ人手が足りなかっただけかもしれない。
だけど、自分の興味関心からスタートしているものが、努力次第でそのまま仕事になることがたまらなく嬉しかった。

このバスケットボール女子U16日本代表の大会後、正式に公益財団法人日本バスケットボール協会と個人業務委託契約を結び、バスケットボール女子日本代表専任アナリストになった。


最後に:スポーツには力があると信じている


私自身の「やればできるかも」「挑戦してみよう」「成長したい」はスポーツで作られている。たくさんの「できた」を提供してもらった。

でもそれと同時に、スポーツ業界が抱えている課題にも直面した。

選手のセカンドキャリアやサラリーの問題、夢のある職業なはずなのに優秀な人が新規参入しにくい構造、スポーツビジネスとしての市場成長…

スポーツアナリストが取り組む課題じゃない、なんて言う人もいる。

そんなの関係ない。

スポーツを大好きだと思ってるから良くしたいと思うのは当然のことだ。
そのために行動を起こすのは誰だっていいはずだ。


この誰に向けてかよく分からない文章を書こうと思ったのは、いしかわごうさんのnoteを読んだのがきっかけで。


私はスポーツアナリストではあるけれども、スポーツアナリスト兼スポーツ業界を良くしようと行動を起こそうとしている人です。という所信表明とともに、これからはもう少し頻繁に発信していこうと思ったのでした。


福田有利子

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