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『ミラベルと魔法だらけの家』レビュー【ネタバレ有り:番外編】今作は『仁義なき戦い 完結編』に通ず⁉

※この記事はネタバレ有りです!ご注意ください!

前回のあの長い記事を読んでくれた皆様、本当にありがとうございます!
大大感謝にございます!

さて、前回のレビューを読んでくれた皆様ならお分かりかと思いますが、そこで僕は今作『ミラベルと魔法だらけの家』を「ついに!ディズニーが魔法というお得意のガジェットを捨て去った物語だ!」と評しました。

この映画の後半で魔法一家のマドリガル家の面々が魔法の力を失ってしまい、それが原因で「魔法だらけの家」が崩壊してしまうという展開があります。

特別な力こそ失ってしまったけれど、それを失ったことによって魔法の力を持たないミラベルと能力者の家族の理解は深まり、町のみんなと力を合わせて、再び家を(今度は土木作業によって)作り直します。

それはつまり、今までディズニーが脈々と紡いできた魔法という伝統を捨て去り、ここから新たな力、いや原点回帰、即ち人間が根源的に本来持つ対話/コミュニケーションという力に立ち返るという(ファンタジー物が嫌いな僕としては)個人的には胸アツ展開があるんですが……。

家の再建設が出来上がるとなんとッ!魔法の力が戻ります!
WTF⁉ いったいどうゆーこと!

魔法の力こそ失ってしまったけれども、それ以上に大切な家族の繋がり、絆!(あんまこの言葉好きじゃないけど)、魔法の力の有無を超えての相互理解が生まれたんじゃねーの⁉

それで「めでたし、めでたし」でよくねッ!?

これじゃあ歴史は繰り返すというか、再び能力者とそうでない者の間に、いずれまた何世代か過ぎたあと亀裂と衝突を生み、悲しみの連鎖がぁぁぁぁッ!!!って感じがするのは僕だけでしょうか?(そうかもしれねぇ感じはしてるケド…)

やはり最後は、魔法カムバックなのですね。
ディズニーがディズニーである以上、それは必定というか、切っても切れないが要素なのでつね(涙)。

要はこの物語は、本筋の問題解決には魔法ではなく、人が本来持っているコミュ力を用いて解決!やっぱ人間は魔法の前に対話が大事!と言う内容にもかかわらず、最後は魔法復活でケリつけるわけです!

これじゃあ!まるで『仁義なき戦い 完結編』の天政会と同じじゃないかッ!
若頭の松村保(たもつ)の、悲痛の叫びが聞こえてきそうだよー!

ミラベルは『仁義なき戦い 完結編』の保の叫びを上げるのかッ!?

僕のYoutubeチャンネルやnote、インスタグラムを見てる方は当然のことと思いますが、基礎教養として深作欣二の『仁義なき戦い』五部作はご覧になっておられることと思います。

のう、ほうじゃろう?

「狙われるモンより」と投げると「狙う(ねろう)もんのほうが強いんじゃ」、「ワシらウマい飯食うて」というと、即「マブいスケ!」というように、コールアンドレスポンスで仁義なき名ゼリフを言い合える仲だと勝手に思っています。

さて、その『仁義なき戦い』なんですが、五作目に完結編というのがありまして、今回のディズニー最新作『ミラベルと魔法だらけの家』を観ていると、わしゃ~どがぁにしてもこの『完結編』のこと思い出してしまうんじゃあ!

いわずもなが『仁義なき戦い』は、実話を基にした戦後広島でのヤクザの抗争劇という視点から、欲と血にまみれた人間の哀しい性を浮き彫りにした傑作なわけですが、その完結編にて主人公である松村保(北大路欣也)という若きヤクザがいます。

彼は戦後から血と血を洗う抗争を続けてきた広島全土のヤクザ組織を、どうにか一つにまとめた天政会(モデルは現存する共政会)の若頭に任命され
、その指揮を任されます。

世間がヤクザに厳しい眼差しを向けるようになった昭和40年代。
組織内に新風を起こし、市民社会に歩み寄っていく新しい任侠団体/政治結社を目指そうと保は奮闘しますが、元々敵対していた複数の組をなかば強制的にまとめたハリボテの組織には変わりなく、次第に内部抗争に発展していきます。

ヤクザ的なイメージを払拭しようと看板すら"政治結社“とした天政会ですが、まとまりのない組織内の状態に、ついに保はぶちギレます。

「なんぼ政治結社じゃあ!言うても、ヤクザはヤクザですけぇのう‼」

これです!この気持ちなんですよ、まさに!今回の『ミラベルと魔法だらけの家』のクライマックスに抱いた思いはッ!

ディズニーのお家芸である魔法とファンタジーという要素を、今作は最終的に人と人の対話で解決し、ついにディズニーは自ら脱ぎ去った!とんでもない決断をした作品や!しゅごい!

と一瞬はなったわけですが……

結局、ヤクザの抗争劇……いやいや!魔法の世界に逆戻りじゃけー!
「なんぼ対話じゃあ!言うて、ディズニーはディズニーですけぇ‼」

完結編の北大路 欣也の演技は、ブチ凄いんじゃけぇの!

ちょっとね、ほんとに最後の最後で魔法が戻るって展開は、どうかと思いました。

ディズニーの宿命といってはそれまでだし、魔法とミュージカルを除いた作品はピクサー作品で~ってことなんでしょうかね?

最後の展開だけが残念だったので、惜しかったですね~。
でも、本当良い作品でしたよ!

皆さん、超オススメですので『仁義なき戦い』五部作を観てから『ミラベルと魔法だらけの家』を鑑賞してくださいね!

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