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クラウドサイン プロダクトデザインチーム横越 遥香「わたしの未来と、信じられる今日。」#CloudSign_Astronauts

クラウドサインを創っている社員を、クラウドサイン責任者・橘がインタビューする企画「Astronauts(アストロノーツ)」。第10回目はクラウドサインのプロダクトデザインチームの横越遥香さんをインタビュー。

営業から始まったキャリア、デザイナーへの転身

橘:横越さんは新卒で入社した会社では営業として配属された後、プロダクトデザイナーにキャリアを転身した珍しい経歴を持っていますね。

横越:そうなんです。社員50名未満のベンチャー企業に入社しました。そんなフェーズの企業でしたのでプロジェクト単位で営業やマーケティング、デザイナーなど色々な職種の人と近場で働けると考えて選択しました。

橘:その中で初めに営業に配属されたのはどんな理由だったのですか。

横越:そこは単純な理由で、配属上の理由で営業になりました。

元々ウェブサービスに携わりたいと考えてはいましたが、社会人として早く一人前になれる営業職にも関心はありました。

橘:営業時代はどのような苦労があったのですか?

横越:配属されたメディア媒体のプロジェクトチームには営業職は私しかいませんでした。

ベンチャー企業だったということもあるのですが、配属して3ヶ月くらいで営業職の先輩が部署異動となったことや、2020年にコロナウイルスが蔓延してから如実にクライアントの予算が失われ、単価を下げてでも受注更新していただくかなどの判断が求められる日々でした。

その中でデザイナーへの転身をよぎったのは、本質的課題の解決に心から向き合いたかったことが強かったのです。

橘:どのような意味ですか。

横越:営業職もやり甲斐は勿論あるのですが、クライアントに対して本質的課題を見つけ、その製品自体をデザインすることに仕事としての意味を見出し始めたのです。

そのためキャリアの初めにクライアントと話す機会のある営業職で始められたのは良い経験でしたが、本当の価値、課題を見つける仕事に意味を感じ始めたのです。

橘:葛藤からすぐに、デザイナー職種への転身ができるものなのですか。デザインスキルなど、特別なスキルのようにも感じます。

横越:余り不安感はありませんでした。葛藤した後にはマーケティング職にも興味を持ち、Excelやスプレッドシートで関数を用いた分析なども講座で学習したこともありましたし、Ruby言語でのエンジニアリングも一定コーディングの学習をしたこともありました。

関心のある分野を見つけたらそこに必要なスキルは後からでも習得可能だと思っています。デザイン領域でキャリアを築いていきたいと伝え、半年くらい経ってデザイナーへの転身が叶いました。

橘:そうしてデザイナーへの転身が叶った。新卒からウェブサービスへの道を決めたのはどんな考えからなんですか?横越さんは幼少期から高学歴で、同期は大企業への入社が多かったのでは。

横越:はい。同期のほとんどは大企業への道を選び、ベンチャー企業への新卒入社は私くらいでした。

原体験ではないのですが、大学時代にイギリス北部にあるリーズに留学していた経験が大きいと振り返ります。月並みですが海外に出ると自分は何者でもないと痛感する日々でした。

何者でもない自分は自ら何かを獲得し、掴み取らなければ存在を示せない場所でした。英語で授業を受け、初めは少ししか理解できなかったので図書館で課題をとくといった日々でした。

そんな中、グローバルで普及しているウェブサービスは言語の壁を超えて普及して、感動しました。当時で言えばFacebook、Uberといったサービスです。そのような経験から、ウェブサービスに関心を寄せ、今尚その想いは継続しているのです。

橘:横越さんから底から出る強さを感じますが、生き方と言葉と表情が一貫しているように感じます。デザイナーになってからは業務は順調にいきましたか。

横越:ウェブサイトのデザイン自体は順調だったと感じます。

フロントエンドの実装も担当範囲だったため、HTMLやCSSを書く時間が増え、デザインそれ自体よりコーディングの時間が想定より多かったように感じます。言語もデザイナーになる配属前に学習済みでしたので特段支障はありませんでした。

モノづくり文化とクラウドサインの製品余白

橘:クラウドサインには2022年8月に入社されましたね。

順調にキャリアの道筋が見つかったようにも思えましたが、そんな中なぜクラウドサインだったのか1周回って興味出てきました。

横越:クラウドサインに入社した理由は、きちんとモノづくりが出来ると考えたからです。

一般論ですがデザイナーという職業は制作の方針が決定されていて、そのデザイン制作を行うような社内下請けのような職種になるようなこともあります。象徴的なのはデザイナーがマーケティング部署内に存在することもあります。

その点クラウドサインはデザイナーとして組織立っていて、デザイナーがモノづくりの主体者でした。まさにデザイナーとして生きていこうと思えたからこそ、クラウドサインは魅力的でした。

橘:面接の中でモノづくりができる会社を見極めるのは難しいのでは。

横越:組織図を見ていたのもそうですが、チーフデザイナーである佐伯さんの質問の角度でわかりました。特に自分自身大切にしているのが「全員参加型の広義のデザイン」が出来るかです。

デザイン思考と最近では関心が高まっていますが、会社全体でデザインを作っていこうという重要性が理解されているかが重要です。入社後もそのギャップはなく、透明性高くクラウドサインは運営されていると感じています。

橘:入社後のギャップはありましたか?

横越:入社前から開発の多くの割合は新規機能で、残りが改善系と聞いていました。

入社時には新規機のプロジェクトレーンが既に一定進んでいる段階でレーンに所属したことになったため、顧客が製品利用に迷わないように文章などのブラッシュアップから入りました。文言のこだわりをレビューをもらいながら磨いています。

今後はプロダクトマネジメントチームと共に、新規機能の立ち上げから入り、仕様策定から入れることを楽しみにしています。

入社前とのギャップは、クラウドサインという製品への解像度です。

橘:というと?

横越:入社前のクラウドサインのイメージは、クラウド契約製品の完成形に近いのではと勝手にイメージしていました。

クラウド契約の中でクラウドサインは圧倒的なポジショニングで、出来上がりすぎている製品で、モノづくりの主体者としては出来上がりすぎてない方が良いとも考えていました。

しかしながらオファー面談時から、まだまだこれから伸びる市場で、社会にとって必要な機能の余白がまだ多いのだと理解し、入社後もより感じるようになったのです。

具体的には電子契約の締結面のラインナップは揃っていますが、紙の契約も含めた一元管理プラットフォームとしての機能はまだまだ市場余白があり、実装すべき機能が多いと感じています。

橘:デザイナーという職業で辿り着きたい未来の姿はありますか。

横越:まず明確に思うのが、デザイナーという職業は絵を描く仕事ではないと思います。デザイナーという職業の可能性は無限大だと考えています。本質的な課題があり、その課題を解くための設計や違った角度で世の中を見るのがデザイナーだと思いますので、そういう能力や存在で在りたい気持ちが強いです。

橘:クリエイターやアーティストのようなものは目指しませんか?

横越:私はクリエイタータイプではないと感じます。自分自身から生まれる葛藤や悔しさ、怒りや喜びのようなものを世界に伝えたいと思ったことはありません。

何かの社会課題を解決するための手段がデザインであると思うのです。何かで「I(アイ)派」と「We(ウィー)派」というカテゴリーを見たことがありましたが、私は典型的な「We派」です。

橘:横越さんはどんな角度の質問でも、いつも未来に対して強い想いがあるように感じます。

最後に少し「未来」というものについて掘り下げて聞いてみたいです。多くの人は未来が少し不安だったり、希望が持てなくなる瞬間もあるものだと感じます。そんな中、横越さんの言葉には強いものを感じています。

わたしの未来

橘:まず思うのは、スキルの伴わない内に未来を信じることはなぜできたのですか。

転職するときにも、今までの経験が生きるように転職活動をする人も多いです。経験のない職種への挑戦は怖くなかったですか?

横越:不安は感じませんでした。結局なるようにしかならないし、なるようになることもまた同時にあると思います。

確かに言われてみればキャリアを考えることもあったと思いますが、今後の人生は自分自身の力次第でどうにかなると信じています。

橘:横越さん自身はそうでも、友人や同期などの他の人が不安になる気持ちは理解できないですか?

横越:正直言うと、あまり理解できないことが多いです。

その時々で努力をしていき、なりたい未来に近づくようにしていけばいいと考えているからです。仮に社会から必要とされなくなる未来があったとしても、その時に必死になって考え、必要となる努力をまたその時すれば良いと考えてしまいます。

橘:一貫はしていると思いますが、信じられる理由を知りたいです。それが言語化できれば他の悩める多くの人に救いのある言葉になると思います。

横越:多くの人に再現可能な言葉としてはわかりませんが、1つあるのは自分の中に誰かに勝ちたいとかNo.1になりたいという気持ちがないのが大きいのかもしれません。

価値基準が他人や他にあると自分自身の秤で計算することができなくなってしまいます。価値基準が自分自身にあれば、自分が認める努力をできるかの一点のみに集中することができます。

橘:きっとその自らの秤が、他人から課される価値基準よりレベルが高いから成り立っているのだと感じます。

自らの秤のレベルが低ければ自己満足の中で終わってしまいますが、デザイナーになる際にも他人から見ればできない努力が積み重なっている。

横越:未来を想像しても、想像した未来は自分がコントロールできない要素によってやってこないかもしれません。

今の生活にも勿論充実感はありますが、それは5年前の自分が目指してたどころかデザインやってること自体選択肢として考えたこともなかったわけですし、目の前の小さな興味を辿ってきたのが現在の自分です。

わかりもしない未来に何かを悩んだり不安を抱くよりも、今を楽しむことが何より大事で、その瞬間を楽しむことで努力と感じずに、また新しい小さな興味のかけらを見つけられるんじゃないかと。

私は、その未来を信じています。

横越遥香

編集後記

大人になればなるほど、未来が怖くなる。
それもそうだ。大人になるに従い、未来は不自由になっていく。

例えば役職が上がり責任が増え、自身の想いより様々なステークホルダーの利害を一致させる義務が生じる。例えば守るべきものが増え、自身の自由さ以上に大切なものが増えていく。

それを人によっては幸せと呼んだりもするが、未来を自由に描くことはできなくなっていくもの。人は、時とともに事情をまとっていく。

横越さんの未来は自由で溢れている。自身が身軽で事情をまとわないからこそ、エンジニアであっても、営業であっても、デザイナーであっても、その時々の努力を惜しまず、どのような場面、局面でも活躍できる自信に溢れているように見えた。

しかし人は時とともに事情をまとっていく。横越さんもいずれ責任が増え、義務が増えていくだろう。

― そのとき同じようにいられるか?
取材も後半に差し掛かる中、眉間に皺を寄せ、かすれた声で問いかけた。

「未来はわからないですが、難しく考えても、不安を抱いたとしても平等に未来はやってきます。だから未来のその時々の瞬間を、走りながら楽しんでいきたいです。」

少し悩んでから、まだ事情をまとってない未来の眼で真っ直ぐに答えた。言葉よりも表情が物語っていた。其の表情は今の自分にとって甚だしく鮮烈だった。

総合企画・ライター・編集:橘 大地
本企画メインデザイナー・写真撮影:長浜 裕子
テーマソング:東京事変「スーパースター」

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