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考える場を醸成する、講師の仕事。

講演のご依頼を受けて、スピーチロックの話をしに向かう道すがら。
秋の寒さと冬の寒さが混じった東北道を眺めながら宮城県大崎市へ着き、ナビが示した「大崎市図書館」を見上げると、すで閉鎖されている。

「会場」として考えても少し小さいその建物は、明らかな無表情でこちらを見つめている。改めてナビに新しい住所を打ち込むと、500メートルほどの位置に新しい図書館があるらしい。

到着した図書館はいかにも「今さっき出来た」と言わんばかりのオシャレさと広々した空間が広がっていた。やっぱり図書館はいい。

さて、講演の時間。

参加者は多種多様な種別、業種のいわゆる「専門職」がほとんどだろう。
身体拘束体験の話からスピーチロックを踏まえて少しワークを入れる。

でも、このnoteの本題は講演の中身なんかじゃない。
僕が思った「専門職の態度」と「他者に求めるもの」が今回のテーマになりそうだ。

特に身体拘束のようなテーマはデリケートなようで、参加者によっては刺激的な捉え方をする人もいる。
講師の間では「身体拘束がテーマの依頼はやりたくない」という人もいるくらいにね。

ありがたいことに去年から今まで、いただくテーマの半分以上が身体拘束なので、変に馴染んでしまったところもある。
それでも参加者の様子を見て若干のアレンジはするようにしている。

専門職は「専門」を謳う以上、学び続けること、向上し続けることが必要だと自分は考えているし、専門職の科学的な態度は受け入れて咀嚼するプロセスに支えられているとも思っている。

今回の参加者の方々の多くも、フラットな立ち位置でスムーズに話を受け入れてくれて、「考える場」が醸成されていく。
もちろんそこに場を導くまではこちらが提示するもののクオリティがものを言う。スライドが不足していても、多すぎても、場面転換がズレてしまっても、喋りが拙すぎても、テンションが合わなくても、「場の醸成」を起こすことはできない。

だからその都度本気でもあり、リラックスして臨む。
頑なな態度は会場を壊してしまう。
全てにおいて必要なものは柔軟性なのだろうと思う。

研修でも、講演でももちろん「考える場を醸成する」こと。

自分のプレゼンテーションはあくまでもその手段でしかない。
大学の講義との違いはここが最も大きい。

その場をつくることはどこかでまちづくりにも似ているけれど、まちづくりとコミュニティづくりの違いが垣間見える機会にもなる。

そして帰り道は何も考えない。

#コラム #エッセイ #講師 #講演 #研修 #デザイン

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