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棚いっぱいの本を

文庫を作りたい、と思ったのはいつ頃からかはっきり覚えていないけれど。

書店や図書館に行くと、そこに集まる知識や情報、閃きと好奇心が一気に押し寄せてくるあの「空気感」がとても好きなのは子どもの頃から変わっていない。

絵本、文庫本、図鑑、教科書、参考書、漫画本。

本が好きだったというよりも「本のある風景」が好きだったのかもしれない。

こどもたちが1冊の絵本を数人で覗き込みながら読むあの光景が、小説に没頭する貴婦人のあの姿が、手に汗握りながら漫画のハイライト頁をめくる少年のあの興奮が、いつの時代も本は人々に潤いと豊かさ、知恵を与えてくれる。

本のある風景を作りたい。
「道端文庫」はそんな単純な欲求から生まれた。

本を読む場所、家の中でも木漏れ日の軒下でも雨の縁側でも、それはどこだっていい。
歩いていて、ふと通りがかった場所に文庫があると、それはほんの少し暮らしに彩りが生まれるんじゃないかと思う。
ちょっと一休みしようか、本を借りて帰ろうか。
本にはコーヒーがつきものだ、紅茶でもいい。
運良くここにはカフェがあって、すぐに飲みたいものが飲める。

カフェが閉まっていたら自分たちでコーヒースタンドをやればいい。
もちろん紅茶も、なんなら日本茶もレモネードも準備する。

本がある場所に人は立ち止まる。
昔読んだ本があれば少し嬉しくなる。
題名に惹かれて表紙をめくる。

パラパラと流し読みをする大人の手先を、読みふける真剣な表情をこどもたちに見せられる場所。

木にくくりつけたスピーカーから流れるごきげんな音楽と緑に囲まれた中にある本の庭。

道端文庫が、ほんの少し、このまちを明るくできれば、楽しい。

#本 #まちづくり #道端文庫 #コトラボ #とは #コラム #エッセイ

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