柳田真坂樹

Dungeons&Dragons関連の翻訳などを行なっているライターです。

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記事一覧

日本D&D興亡史

 以下の記事はブログメディア、TokyoDevにて公開されている『The rise and fall of D&D in Japan』の元になった原稿です。  日本在住の英語話者向け記事として「日本にお…

柳田真坂樹
1か月前
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D&D和物、キャラクター紹介:はぜ火

はぜ火。世に燻り出でた戦乱の炎 名前:はぜ火(と、のちに呼ばれるようになるもの)  生まれたばかりの火薬の神。内側に炎を宿したつぎはぎだらけの鎧。或いは殻を纏(…

柳田真坂樹
4か月前
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D&D和物【猿の怪】序

 目がさめたのは  ひとの肉を食べたときだった  それまでも、なかまや、木の実や、花や、虫を見ていたけれど  それがいったいなになのか、見ている自分がなになのか。…

柳田真坂樹
4か月前
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D&D和物:準備

サムライ・ファンタジーじゃなくて“和物” “ダンジョンズ&ドラゴンズで日本風の冒険をする”というアプローチはずっと前からあった(1985年にAdvanced Dungeons & Drag…

柳田真坂樹
4か月前
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枝角の記

(以下は昔クリエイターズ・ネットワークの習作企画で書いたもの。とりあえず貼り付けテスト用に冒頭のみ。うまくいったら後日また貼る)  追われている。  踏みおろし…

柳田真坂樹
10年前
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日本D&D興亡史

日本D&D興亡史

 以下の記事はブログメディア、TokyoDevにて公開されている『The rise and fall of D&D in Japan』の元になった原稿です。
 日本在住の英語話者向け記事として「日本におけるD&Dの歴史」をまとめてほしいという依頼を受けたため、刊行されていたり、自分が立場上知り得た情報に基づいて日本のD&Dの歴史と展開を追いました。
 英語版の記事は、編集部の協力により、この記事か

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D&D和物、キャラクター紹介:はぜ火

D&D和物、キャラクター紹介:はぜ火

はぜ火。世に燻り出でた戦乱の炎

名前:はぜ火(と、のちに呼ばれるようになるもの)
 生まれたばかりの火薬の神。内側に炎を宿したつぎはぎだらけの鎧。或いは殻を纏(まと)った炎。
種族:ウォーフォージド
クラス:ウォーロック(地獄;書の契約)。
PL:チョモラン(https://twitter.com/huusen_uri、マンガ家)

 D&D日本公式でキャラクターイラストを描いているチョモラ

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D&D和物【猿の怪】序

D&D和物【猿の怪】序

 目がさめたのは
 ひとの肉を食べたときだった

 それまでも、なかまや、木の実や、花や、虫を見ていたけれど
 それがいったいなになのか、見ている自分がなになのか。
 それがわかって目の前が――ぱあ、と開けたのは あの時だった。

 林の中にぼかんと開けた、日の光があたたかな空き地だった。
 まだ湯気を立てている柔らかな胆にぞぶりと歯を立てて。血肉の甘さにほうと空を仰いだのだった。
 おれを生んだ

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D&D和物:準備

D&D和物:準備

サムライ・ファンタジーじゃなくて“和物” “ダンジョンズ&ドラゴンズで日本風の冒険をする”というアプローチはずっと前からあった(1985年にAdvanced Dungeons & Dragonsの『Oriental Adventure』がでている)。

 例によってボンクラだった自分も、中学校の赤箱青箱で遊んでた頃から何らかの形でキャンペーンにはサムライやニンジャ、カタナを出していた。
 ただ、ウ

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枝角の記

(以下は昔クリエイターズ・ネットワークの習作企画で書いたもの。とりあえず貼り付けテスト用に冒頭のみ。うまくいったら後日また貼る)

 追われている。

 踏みおろしかけた蹄を持ち上げたまま、“枝角(えだづの)”は凍りついたように動きをとめた。

 限りない緊張が、機能としての怯えが大角鹿の身体に一瞬で満ちる。

 踏みわけた雪殻がきしむ。そのかすかな響きすら、追跡者に聞きつけられるかもしれなかった

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