配属ガチャとキャリアについて考えてみる
こんにちは、ゆーき(@cyuki_14)です!
この記事は「HR Community ひつじんじ Advent Calendar 2024」の23日目の記事です。
自己紹介
本題に入る前に軽く自己紹介をします。
普段はIT企業で人事の仕事をしています。キャリアコンサルタントの資格を持っています。転職経験は1回で、前職は建設業界にいました。
今でこそ人事の仕事が大好きな私ですが、最初から人事がやりかったわけではありません。当時この言葉はなかったですが、いわゆる”配属ガチャ”で人事になりました。新卒当時やりたかったのは、経理系の仕事で、簿記などいくつか資格を取って周囲にもアピールしていました。その甲斐あってか、数年人事を経験した後、希望の部署に異動することができました。しかし、いざ異動してみると、仕事自体は面白かったのですが、人事の仕事の方がもっと面白かったと思う日々が続き、だんだんと人事に戻りたい気持ちが強くなっていきました。異動したばかりで、自分で希望した手前、なかなか戻りたいとも言えず、結局会社の外に目を向けるようになり、今の会社とご縁があって現在に至ります。今回はそんな私が、配属ガチャとキャリアについて、私見をまとめてみました。
配属ガチャとwillハラとキャリア自律と…
キャリア(中途)採用では、職種別採用が一般的ですが、新卒でも配属ガチャが若手の早期離職に繋がらないようにと、総合職として入社後に配属を決めるのではなく、入社前に職種が確約する採用手法も増えてきていますね。やりたいことがある人にとっては職種確約採用は良いことかもしれません。ただ、そうではない人ももちろんいますし、やりたいことを聞かれることが苦痛に感じる人の中からは”willハラスメント”という言葉も聞くようになりました。人事にとっては悩ましいテーマですね。
ただ、「配属ガチャは嫌」という人も、明確にやりたいことがあるわけではなく、実際には「やりたくないことはあるけど、やりたいことははっきりわからない」という人が多数なのでは、と思います。そう考えると、職種確約採用になっても、多くの学生が「やりたいことはなんだろう」と悩んでいるということです。
また、会社に入った後も悩みは終わりません。特に日本企業では定期異動や突然の辞令で、別の部署に行くことは珍しいことではありません。せっかく今の仕事がわかってきたと思っていた矢先に別の部署へ、ということを経験している方も多いのではないでしょうか。会社都合で自分のキャリアが左右されてしまう感覚にモヤモヤしている人もいると思います。
最近では長期雇用を前提とした会社主導のキャリア形成が個人の主体性を奪っていると指摘され、キャリア自律という考え方のもと、社員の意思や希望も重視しながら配属、異動を検討する企業も増えてきています。ただ、ここでもやはり「やりたいこと」を上司や人事から突然聞かれて、上手く答えられないと悩む人は多いそうです。(悩みは尽きないですね…)
ここから先の内容が、こうしたキャリアの悩みを持つ人たちにとって、少しでも考え方のヒントになれば嬉しいです。
「やりたい」と思っていることが「本当にやりたいこと」とは限らない
仕事に限らず、スポーツでも音楽でも趣味でも、やりたいと思って挑戦したけど、実際には続かなかった、という経験はありませんか。
それとは逆に、自分ではやりたいと思ってなかったけど、周囲からの勧められて、やってみたら面白かった、という経験もありませんか。
想像だけで、物事の「やりたい/やりたくない」を判断してしまうと、自分の可能性を閉じてしまうことがあります。実際に経験してみてから判断してみるのがよいでしょう。また、自分が知らない選択肢は選べないので、他の選択肢を知っている周囲の人の助けを借りることも大事です。私も自分の想像だけで「経理がやりたい、向いているはずだ」と思っていましたが、人事と経理を両方できたことで人事の方がやりたいことだったと気づくことができました。思えば、新卒当時私を人事に配属した人は、私の適性を見て経理より人事に向いている、と配属を決めてくれたのかも?と思ったりもします。
未経験のことを「やりたくない」と決めつけない
勝手なイメージだけで、例えば「営業は嫌だ」「接客業は嫌だ」と決めつけたりしていませんか。ただ、そういう人に「その仕事の何が嫌なのか」と聞くと、あまり理由がはっきりしなかったり、他の職種でも当てはまるようなことをあげたりと、思い込みだけで判断していることが多くあります。やりたくないと思っていることがあるなら、なぜやりたくないのか、やりたいことと同様に少しでも経験して確かめてみるのが良いでしょう。自分で経験できないのであれば、その仕事をしている人の話を聞き、疑似体験するのも良いです。そうやって経験してみて、自分の思い込みに気づくことはもちろん大事ですが、それ以上に経験した結果、それでもやっぱりやりたくなかった、と思うのであれば、やりたくない理由がクリアになって説得力が増します。やりたくないことがはっきりすると、それ以外の選択肢の中から選べばよくなるので、今後の意思決定がぐっと楽になります。
「やりたいこと」がない時は、まず知ることから始めてみる
やりたいことがない時は、いろんな職業を知ることから始めてみましょう。人間、知らないことには興味を持つことはできません。例えば、ドラマや映画、本や漫画など、特定の職業をテーマにしたコンテンツを通じて、仕事を知る機会はありますよね。小さいころに触れたコンテンツをきっかけに将来の夢を持つ人もいますが、それは知ることで興味を持ち、やりたいという気持ちが湧いたからだと思います。私も学生時代、人事という職業は知ってはいたものの、採用の仕事くらいしかイメージすることができず、それ以外の仕事はあまり知らなかったので興味を持てずにいました。ただ、実際に人事の仕事を通じて、採用以外にもたくさんの仕事があることを知り、その領域の広さや奥深さに興味を持ち、いつのまにか人事沼にハマっていました笑 これについても、実際に経験しながらたくさんんの仕事を知ることができればそれに越したことはないですが、時間も機会も限られている中でなかなか難しいとは思います。そんな時は、職業を知ることができるコンテンツは世の中に溢れているので、楽しみながら色んな職業を知って、興味が持てそうな仕事を見つけてみてください。
本当に「やりたいこと」があるなら、周囲に「あなたならできる(はず)」と信じさせることが大事
明確にやりたいことがある人にとっては、配属ガチャはリスクが多くて避けたいものですよね。ただ、配属ガチャとは言っても、本物のガチャ同様にランダムで配属を決めることはまずなく、できるだけ”組織にとっても、個人にとっても良い配属になるように”と、いろんな人たちがたくさん時間を使って検討しているはずです。そうした時に、配属を考える人たちは、個人の希望を考慮しつつも、「できるか/できそうか」どうかを重視して検討していることがほとんどです。
なので、やりたいことがあるなら、それができることを証明するための実績や、実績がなくても、挑戦するためにしっかり準備ができていることを伝えることで、自分が引きたいガチャの確率を上げることができます。もちろん組織なので100%個人の思い通りになることはないですが、起きて欲しい偶然を引き寄せる努力は誰にでもできるはずです。これに近い考え方でキャリア理論の中にも、プランド・ハップンスタンス(キャリアの8割は偶然の出来事によって形成される)という考え方もあるので、ぜひ参考にしてみてください。
人生はガチャだらけ、引いたガチャを正解にしていく
「ガチャ」とはつまり自分ではコントロールできないことを表現した言葉で、そう考えると、配属に限らず、人生はガチャに溢れていますよね。もちろん自分自身でコントロールできることもありますが、コントロールできないことの方が圧倒的に多いです。コントロールできないことにただ悩んでいるだけでは何も解決はしませんよね。そういう時は「①コントロールできない要因を取り除き、コントロールできるようにする」「②コントロールできないことはそういうものだと諦めて、コントロールできることだけに集中する」のいずれかの方法を取るのがよいでしょう。
①は例えば、「いちメンバーのころは予算を自分では決められなかったが、マネジャーになることで部署の予算を検討できるようになる」ことや、「出社しないとできない仕事から、転職して在宅勤務もできるようになること」など、置かれた状況や環境を変えたり、自ら行動したりすることで、今までコントロールできなかったことがコントロールできるようになる」ことがあります。
②は例えば、「特にやりたい仕事がないまま、今の職場に配属されたけど、与えられた仕事を責任持ってやり切る中で、その仕事の面白さに気がつく」ことや、「転勤先で縁もゆかりもない土地で住んでみたが、仕事を通じて地元の人たちと交流し、その場所の魅力に気づいて今では第二の故郷となっている」ことなど、偶然をしっかりと自分の糧にしていくことがあります。
ただ、①はなかなか労力がいることなので、多くの人が実践できるのは②だと思います。みなさんの中にも、ある偶然与えられた機会を前向きに捉えて、自分ができることに集中したことで、いつの間にかその偶然があたかも必然だったのでは、と思えるような感覚を経験したことがある人もいるのでは。ガチャの当たり外れは、時間と共に変化します。最初は外れたと思ってもそこで嘆くのではなく、ぜひ「どうやったら当たりにできるか」を考えて、できることからチャレンジしてみてください。
おわりに
取り止めもない散文的な内容でここまで読んでくれた方がどれくらいいるのかわかりませんが、お付き合いいただきありがとうございます。年末年始はキャリアに悩む方も多く、就職や転職を控えている人たちもいると思いますので、少しでも誰かのお役に立てるものが提供できていたら嬉しい限りです。質問感想は、X(@cyuki_14)でご連絡ください。
良いクリスマスと年末年始をお過ごしください。