私のパニック発作との付き合い方

10年位前から、たびたびパニック発作に見舞われることがありました。
人それぞれ頻度や強度が違うとは思うのですが、私の場合は「逃げられない状態」を認識したときに、激しい動悸と発汗、ざーっと血の気が引いてそのまま意識がなくなりそうになる感じが起きることがあります。本当に「死んでしまう!」と感じるのです。
そのときは本当に苦しいのですが、自分なりに「あ、ヤバいかも」と思ったらコントロールしていたので、特別に生活に支障が出ることはなく、周りの人は全く気づいていないと思います。
ただ、いろいろな人と話をしていると、同じような状態になるという人もちらほらいらっしゃるので、案外誰にでも起こることなのかもしれません。

初めては突然に

最初にこの状況になったのは、なんと高速道路の運転中でした。
いつも高速道路は運転していたのですが、とある場所からの帰り道、少々疲れもあったのかもしれません。子供を後ろに乗せて運転しているとき、突然心臓がバクバクしてきて、血がサーッと引いていきました。
偶然、近くにPAがあったので、自分の意識を保つために左手で心臓のあたりをドンドンと叩きながら車を停め、しばらく休憩しました。そのあとは怖いので、一番近くの出口から一般道に下りて、ゆっくり帰ってきました。一般道を走っている間は、なんの問題もありませんでした。

「逃げられない状態」と認識したら発動

私の勤務地は自宅から遠くて、電車で1時間半~2時間程度かかるところにありました。ところが通勤時間帯だけ、東京までほぼノンストップで行ける通勤快速が出ていて、それに乗れば大幅に移動時間を短縮できるのです。
何も意識せず乗り込んだときは平気なのですが、いつも車内アナウンスで「この電車に乗ったら、途中駅に”止まることができません”」と、親切にお知らせしてくれるんです。
”止まることができない”と聞いてしまったら最後。あの時の「死にそう」な感じが蘇ってきて、心臓バクバク、大量発汗、血の気がサーッと引き、もうそこに倒れこむ寸前となってしまうようになりました。

どうやら、自分がいま逃げられない状態だと認識すると、とたんに不安が襲ってきて発作が起きるけれども、全く同じ場面でも自分が逃げられない状態だと認識していなければ何も起こらないようです。
なので、どうしてもその電車に乗らないと間に合わないというようなときには、パッと乗って、あとは耳をふさいで自分の世界に入る! そんなことをやってました。

ただ、何度も「逃げられない状況にいることを認識する」⇒「死にそうになる」を繰り返しているうちに、高速道路、通勤快速だけにとどまらず、飛行機、病院のMRI検査、歯医者、混雑している狭い店・・・と、あらゆる場所で発作を起こすようになってしまっていました。

メンタルクリニックで相談した

自分がうっかり「逃げられない」と思わないように気を付けてはいても、日常生活において、結構逃げられない状況に置かれることはあるし、周りの言葉などから不安に引っ張られることもあります。
そこで、すぐに近くのメンタルクリニックに行って相談しました。
いろいろ話をした結果、先生は
お守りとして薬を出すからね。何かあったときに2錠まで飲んでもいいけど、1錠を半分にしてもいい。それで様子を見てみましょう」
「それから、死にそうと思っても、死ぬことはないからね。苦しくなっても、あんまり深呼吸し過ぎないでね」
と言いました。

そんなわけで、いまも「お守り(薬)」を持ち歩いて、本当にダメなときだけ使うことにしています。うっかり間違った思考が発動して、「ヤバそう!」ってなったときには、ポイッと1錠飲む。そうすると、しばらくして落ち着いてきます。
「お守りがある」ということで安心できるのか、実際に薬を使うことは殆どありませんでした。一番最初のひどいときでも年に10錠は使わなかったな。
最近はほとんど使っていません。

同じような経験をされている人の中には、あまりメンタルクリニックに行きたがらない、薬を使いたくないという方もいらっしゃるのですけれども、私は、辛いときには無理せず相談するほうがいいのではないかなって思います。

克服するのは簡単ではない

パニックの克服体験の本が出ていたりして、私もまさに苦しかったときに読もうと試みたのですが、その状況をイメージするだけで、「・・・死ぬ!」って思ってしまうので、簡単に克服することは難しいなと感じています。

ただ、自分自身を振り返れば、ストレスから解放され、落ち着いて自分と向き合える状況になったときにはじめて、「逃げられない状態にいる自分」を冷静に見ることができるようになり、思考を修正できるゆとりができてきたような気がします。
いきなりこの状況だけを改善しようとするのではなく、少し時間はかかるけれども、まずはリラックス、ストレスからの解放、というのが必要なのかもしれません。

周りの人は冷静に見守って

それから、周りが過剰に心配したり、騒ぎ過ぎないほうがいいように思います。なぜなら、周りが心配することで、なんでもない場所だったのが、急に不安な場所になってくるからです。
例えば「これからあなたは狭い場所に入って、しばらく出られなくなりますが・・・大丈夫ですか? 気分が悪くなるなら教えてください」と何度も聞かれると、もしかしたらまたあの発作がでちゃうかも・・・?と、本当に具合が悪くなってきます。
身近にそういう発作を起こしやすい人がいて心配される方もいらっしゃるかと思いますが、周りの方は、慌てず騒がず冷静に見守ることで、本人も落ち着けると思います。

ゆっくり、無理をしないで付き合う

私の場合は、自分の生活を変えたことで、自分を見つめ直すゆとりができてきました。
さらに
・NLPのアンカリングという技法を使って、自分の中で「これをすればリラックスできる」というアンカーを作る
「これは私が落ち着く香り」というアロマ精油をひとつ持っておく
というような「おまじない」「お守りパート2」を作ってます。

それらが功を奏したのか、いまはほとんど発作が起きなくなっています。
また少しずつではありますが、今までならNGだった場所がいつの間にか平気になっているという経験が増えてきました。
もしまた発作が起きることがあったとしても、そしたら対処すればいいだけ。そう思ったら、あまり気にならないようになりました。
ゆっくり、無理をしない生活を送りながら、広い心で付き合っていこうかなと思います。


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