見出し画像

「大人たちが見本」と子供たちはいう?

先日近所の小学校低学年くらいの女子二人が、私の家の前の道路をキックボードで行ったり来たり。ちょうど家の前で止まったので女子たちと話をしてみて、「やっぱり親や大人の責任だ!」と強く感じたのでここに記すことに。


|キックボードは・・・

それは「キックボード」という遊具のこと。
電動キックボード等に対しては”X”をはじめ”SNS”、報道、掲示板などいろいろ批判が書かれている。

ほとんどが免許制度をとらず・・・16歳以上は免許不要で運転できること、野放し状態だなど、危険な運転等に対する批判が多い。
たしかにそういう場面も見るが、一応、使用しているのは法律で認められた要件を備えた製品であり人たちであり、もちろん違反行為は厳正に取り締まるべきだ。

しかしどうだろう、電動でないキックボードやスケボーなどについて目線がが及んでいないのではないか。

|小型原付とキックボ-ド等の違い

でも、どうだろう車道を走る電動キックボードは確かに危険性が皆無ではないが、運転しているのは16歳以上で運転することが法律上認められており、万が一の時は責任を問われる人たちだ。

一方、キックボード(足こぎ式)やスケートボードを道路上や歩道で使用しているのは小学校低学年、いや幼稚園児もいるし、その親の年代の成人もいる。
そして法律上これらは「遊具」であり、公道上での運転、使用は禁止されているのだ。

道路交通法第76条第4項第3号は、「交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。」を禁止しており、足こぎ式キックボードで走行することは、ローラー・スケートに「類する行為」に含まれるとされており、条件はあるもののいわゆる公道走行が禁止されている。

つまり両者の違いは「法律で認められているもの」「禁止されているもの」ということだ。

しかし、遊具であり公道使用が禁止されているキックボード等については、警察や学校などでは指導がされていないようだ。

(禁止行為)
第七十六条 1~3は省略
4 何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
一 道路において、酒に酔つて交通の妨害となるような程度にふらつくこと。
二 道路において、交通の妨害となるような方法で寝そべり、すわり、しやがみ、又は立ちどまつていること。
三 交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。

以下省略
(罰則 第一項及び第二項については第百十八条第二項第五号、第百二十三条 第三項については第百十九条第二項第七号、第百二十三条 第四項については第百二十条第一項第十号)

|遊具のキックボード等の使用者の責任

親も子供と一緒にキックボードで走っている姿も時々見かける。
万が一、キックボードで歩行者をはねるなど加害事故が起きた時の責任の所在はどうなるのか理解しているのでしょうか?

筆者撮影

電動キックボード等は一定の要件と損害賠償保険の加入が義務つけられているので法的要件を満たすものは、万が一の加害事故、車との事故の場合でも過失相殺(責任)に応じた損害賠償などの責任を負うことができ、ある程度は被害者への損害賠償が可能である。

一方キックボードやスケボーは、遊具であり公道走行が禁止されており「損害賠償保険の加入義務もない」のだ。

人を負傷させたり車のドアなどに損害を与えた場合には、保険の加入義務がないからといって免責されるわけではなく、民法第709条の「不法行為責任」規定により損害賠償は義務が生じるのだ。

そして、成人が損害を発生させた場合には当然成人が責任を負うことになるが、小学生など未成年者が損害賠償の対象となる事故を起こした場合には・・・・。
もちろん民法第709条による損害賠償義務は、子供の年齢や認識程度により個別に判断されることにはなるが、一応存在することになるが、民法第712条で
 「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったとき」、つまり責任無能力者の場合には、
 「その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」(民法第714条)
ということになる。
その監護義務のある者、つまり親権者等保護者がその損害賠償責任を負うことになるのだ。

(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

(責任能力)
第七百十二条 未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。

第七百十三条 精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。ただし、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは、この限りでない。

(責任無能力者の監督義務者等の責任)
第七百十四条 前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
 監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、前項の責任を負う。

遊具である「キックボード等」は損害賠償保険に加入する義務はないが、日常賠償保険や個人賠償保険に加入することができるので、加入していれば損害賠償の対象として支払われることもある。

|子供たちの言い分

キックボードに乗っていた子供たちと話をした。

子供たちに
これはおもちゃだから、道路上で乗ってはいけないんだよ」
というと
「え~~そうなの。家の人が免許はいらないといっていたし、大人の人も乗っているよ」
という。
「確かに乗っている人もいるし、運転免許はいらない。でも道路で乗ることは禁止されているんだよ。家の庭とか、乗ってもよいという公園くらいしかのれないな~」
というと
「ヘルメットかぶって注意して運転すれば大丈夫だよ!」
と反論された。
「学校で、先生は何か言っていた?
と聞くと、子供たちは
「先生は何も言っていないかった。友達も乗っているから大丈夫」
といい、うさんくさいなというような顔して、力強く路面をけって走って行ってしまった。

筆者撮影

この子供の会話から
遊具という認識がない
「大人ものっているから大丈夫」という認識である。
学校では何も言われていない(指導されていない)。
・家族も「ヘルメットの使用と注意して走ること」と容認しており、親も違法であることを認識していない可能性がある。
などということがわかる。

|親の責任を考えよう

道路交通法第  条の禁止行為を理解していない親たちが、子供の望むままキックボードやスケボーを購入して与えている。

先ほど説明したように、万が一の事故の時は親の責任が追及されることになり損害賠償義務を親が負うことになること、場合によっては道交法違反として問議されることになる可能も払しょくできないことを、子供たちの親は認識していないのだろう。

車の運転免許を持っている親たちだが自らキックボードで公道を走行し、子供たちにも買い与え、一緒に走っている。
少なくとも子供たちに悪影響を与えることになるので、まずは親が交通ルールを順守する姿を見せて欲しいものだ

法令で許可されているものは許可に従いルールを守り適切に使用すべきであり、一方で法律で禁止されていることはしないことだし子供たちにも教えて欲しい。

|おわりに

最近感じたことをちょっと書いてみた。
私は電動キックボードの制度についてそうは思わないが、たとえ悪しき法律規定だったとしてもルールとして一定の要件に従って使用することが前提で許可されている電動キックボード等はルールを確実に守って安全に配慮しつつ運転してもらえばよい。

しかし使用することが禁止されているものは使用しないことがルールなので成年はもちろん子供たちにも使用しないというルールを守って欲しいし、親も認識して欲しいと思っている。
大きな事故が起こる前に・・・・

<参考>
個人賠償保険(日常賠償補償)が付いている自転車保険
「サイクル安心保険」 ↓ 
https://www.jtsa.or.jp/  https://saitama-cycle.com

サイクル安心保険より

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?