見出し画像

点検整備は使用者の義務です

自動車は日々の生活と社会・経済活動に欠くことのできない。
しかし車の点検は・・・、運転をする前に点検をしていないために、ブレーキの利きが悪い、フロントガラスが曇って見にくいことなどが原因で交通事故になることもある。車の点検整備は使用者の義務なのである。


|点検整備の必要性・重要性

自動車は走行距離や時間の経過に伴い使用されている部品の多くが劣化・摩耗し、性能や耐久性は走行距離や時間の経過とともに低下しまるよね。

自動車メーカーでは、このような特性を踏まえ、車のユーザーが適切に保守管理することを前提として自動車を製作しているというのだ。

したがって車の所有者は適宜適切に車の点検整備を行っていくことが必要なのである。
また、車に関する法制度もそのことを踏まえ、整備点検制度や車検制度、定期点検制度などを設けているのだ。
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha/tenkenseibi/images/t3-1/poster.pdf

国土交通省ポスト

|点検整備を怠るとどうなるの?

車の点検や整備を行わないと、走行中に故障したり、排出ガスの増加、燃料の浪費等を招きかねないのだ。

さらには整備不良が原因となる事故を引き起こす可能性が高まり、大変危険なことに至るのだ。
現に整備不良が原因となる交通事故もニュース報道などで聞知することがあるかと思う。

不要なトラブルを防ぎ、自動車を常に良好な状態で使用するためには、ユーザーが責任を持って常日頃から自動車の状態を把握し、適切に維持することが重要なのである。

|点検整備はユーザーの義務

自動車の点検整備の実施については、自動車の使用者の義務であることが道路運送車両法に規定されている。

(使用者の点検及び整備の義務)
第四十七条 自動車の使用者は、自動車の点検をし、及び必要に応じ整備をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持しなければならない。

道路運送車両法第47条

|日常点検と定期点検

法令上、日常点検と定期点検が義務つけられている。

 ➤日常点検整備

日常点検整備は、日頃自動車を使用していく中で、ユーザーの皆さんが自分自身で行うことのできる点検。

筆者撮影

自家用車などの使用者等は、適宜運転者自身が運転席にすわったり、エンジンルームをのぞいたり、自動車の周りを回りながら自動車の状態を見たりすることによって、簡単に実施可能なものになっている。

一方、事業用自動車などの自動車の使用者や安全運転管理者選任事業所等は、自家用車とは違い、一日一回、その運行の前に実施することが求められている。

これはトラックやバス、タクシーなどの自動車は、多くの人や物を運搬し、公共性が高く、その社会的影響の大きさから、より確実な点検を実施することが必要とされるからだ。

(日常点検整備)
第四十七条の二 自動車の使用者は、自動車の走行距離、運行時の状態等から判断した適切な時期に、国土交通省令で定める技術上の基準により、灯火装置の点灯、制動装置の作動その他の日常的に点検すべき事項について、目視等により自動車を点検しなければならない。
2 次条第一項第一号及び第二号に掲げる自動車の使用者又はこれらの自動車を運行する者は、前項の規定にかかわらず、一日一回、その運行の開始前において、同項の規定による点検をしなければならない。
3 自動車の使用者は、前二項の規定による点検の結果、当該自動車が保安基準に適合しなくなるおそれがある状態又は適合しない状態にあるときは、保安基準に適合しなくなるおそれをなくするため、又は保安基準に適合させるために当該自動車について必要な整備をしなければならない。

道路運送車両法第47条

 ➤日常点検の内容

日常点検では以下に掲載した15項目について点検するようにし、もし少しでも「変だな」と感じたら、整備工場などで必ず点検整備を受けることが大切である。

・ブレーキペダル
・駐車ブレーキ
・エンジンのかかり
・エンジンの低速・加速の状態
・ウィンド・ウォッシャの噴射状態
・ワイパーの拭き取りの状態
・ブレーキ液の量
・冷却水の量
・エンジン・オイルの量(汚れ)
・バッテリ液の量
・ウィンド・ウォッシャ液の量
・ランプ類の点灯
・タイヤの空気圧
・タイヤの亀裂・損傷
・タイヤの溝の深さ

15項目にはないが、運転する前に、サイドミラーの鏡面やフロントガラス内側の曇りや汚れなどもふき取ることも大切である。
<参考>
国土交通省HP →  https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/02maintenance/daily_check.html

|定期点検

定期点検は6か月点検や12か月点検などが義務付けらえており、きちんと定期点検整備を行っている自動車の使用者もいると思う。

新車購入後は一定期間だけ所定の点検整備を実施しているが、いわゆる車検時期の点検しか受けないという人も少なくないようだ。
しかし、自動車を良好な状態に保ち安全に使用するためには法定の定期点検をきちんと実施すべきである。

(定期点検整備)
第四十八条 自動車(小型特殊自動車を除く。以下この項、次条第一項及び第五十四条第四項において同じ。)の使用者は、次の各号に掲げる自動車について、それぞれ当該各号に掲げる期間ごとに、点検の時期及び自動車の種別、用途等に応じ国土交通省令で定める技術上の基準により自動車を点検しなければならない。
 自動車運送事業の用に供する自動車及び車両総重量八トン以上の自家用自動車その他の国土交通省令で定める自家用自動車 三月
 道路運送法第七十八条第二号に規定する自家用有償旅客運送の用に供する自家用自動車(国土交通省令で定めるものを除く。)、同法第八十条第一項の許可を受けて業として有償で貸し渡す自家用自動車その他の国土交通省令で定める自家用自動車(前号に掲げる自家用自動車を除く。) 六月
 前二号に掲げる自動車以外の自動車 一年

 前条第三項の規定は、前項の場合に準用する。この場合において、同条第三項中「前二項」とあるのは、「前項」と読み替えるものとする。

定期点検整備を行っていない車に対しての法的な罰則はない。
しかし、車検の際には2年点検を確実に行った証明となる「点検整備記録簿」の提示が必要となるのだ。

筆者撮影

車に備えられた「整備ノート」や「メンテナンス記録簿」というような冊子があるが、それらが定期点検整備を行った場合に整備の作業内容を記載するもので「点検整備記録簿」となるので、点検整備状況を確認してみるとよい。
なお、定期点検整備時期は以下の表のとおりである。

国土交通省Hpより抜粋

(点検整備記録簿)
第四十九条 自動車の使用者は、点検整備記録簿を当該自動車に備え置き、当該自動車について前条の規定により点検又は整備をしたときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 点検の年月日
二 点検の結果
三 整備の概要
四 整備を完了した年月日
五 その他国土交通省令で定める事項
2 自動車(第五十八条第一項に規定する検査対象外軽自動車及び小型特殊自動車を除く。以下この項において同じ。)の使用者は、当該自動車について特定整備(原動機、動力伝達装置、走行装置、操縦装置、制動装置、緩衝装置、連結装置又は自動運行装置(第四十一条第二項に規定する自動運行装置をいう。第九十九条の三第一項第一号において同じ。)を取り外して行う自動車の整備又は改造その他のこれらの装置の作動に影響を及ぼすおそれがある整備又は改造(同号に掲げる行為を除く。)であつて国土交通省令で定めるものをいう。以下同じ。)をしたときは、遅滞なく、前項の点検整備記録簿に同項第三号から第五号までに掲げる事項を記載しなければならない。ただし、前条第二項において準用する第四十七条の二第三項の規定による必要な整備として当該特定整備をしたとき及び第七十八条第四項に規定する自動車特定整備事業者が当該特定整備を実施したときは、この限りでない。
3 点検整備記録簿の保存期間は、国土交通省令で定める。

|おわりに

点検整備が重要であることは、多くの人が認識しているのではないかと思うが、行っている人も少なくないようだ。

国土交通省が、自動車の不具合に対するユーザーの関心を高め、適切な使用や保守管理及び不具合発生時の適切な対応が促進されることを目的としてJAFの協力のもとで行った自動車の路上故障についての調査によると、故障装置別では電気装置、走行装置、エンジン本体、燃料装置などが多く、故障部位別ではタイヤ、バッテリー、オルタネータ、冷却水及び潤滑油などが多くなっているという。

これらは日常点検、出発前の点検(運行前点検)を行うことで防げる故障である。

昨今タイヤが外れて通行人を死傷させるなどの交通事故の報道で承知している人も多いだろうが、これも日常的な点検整備を行うことで防げたのではともいわれている。

いずれにしても、日常点検、定期点検をきちんと行うことで車の安全な運転につながるので、きちんと行うようにしましょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?