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ごぞんじですか?銃刀法が改正されたこと!

銃刀法が2024年6月に改正施行されたのですが、余り知られていないようなのでちょっと書くことにする。


|改正のポイント

主な改正点は
① 公共の空間における発射罪の対象への拳銃等以外の銃砲等の追加に関する規定
② 拳銃等以外の銃砲等の所持に関する罰則の強化に関する規定
③ 銃砲等の所持のあおり又は唆しに関する罰則の整備に関する規定

に関するもので発射罪の所持罪の適用範囲の拡大と罰則の強化が図られたのだ。

|公共の空間における発射罪の対象への拳銃等以外の銃砲等の追加に関する規定の整備

改正法の第3条の13の規定であり、発射罪の適用範囲の拡大が図られた。
(1) 趣旨
公共の空間における発射罪は、不特定の者にいつ危害を受けるかもしれな
いという不安を感じさせ、公共の静穏を脅かすおそれのある行為を処罰する
ものであるところ、昨今、公共の空間において拳銃等以外の銃砲等が使用さ
れた、あるいは使用されかねなかった事案が発生していることを踏まえれば、こうしたおそれは、殺傷能力を有する銃砲等の発射であれば全て当てはまることから、公共の空間における発射罪の対象への拳銃等以外の銃砲等の追加に関する規定が整備された。

(2) 内容
何人も、法第3条の13各号のいずれかに該当する場合を除いては、道路、
公園、駅、劇場、百貨店その他の不特定若しくは多数の者の用に供される
場所若しくは電車、乗合自動車その他の不特定若しくは多数の者の用に供
される乗物(以下「道路等」という。)に向かって、又は道路等において、
拳銃等に加え、拳銃等以外の銃砲等を発射することを禁止された
(法第3条の13)。

また、その法定刑については、法第31条の11第1項第3号イからハまで
に掲げる場合を除き、拳銃等と同様、無期又は3年以上の有期懲役とし、
法第31条の11第1項第3号イからハまでに掲げる場合については、5年以
下の懲役又は100万円以下の罰金
に処することとなった(法第31条第1項及
び第31条の11第1項第3号)。

|拳銃等以外の銃砲等の所持に関する罰則の強化に関する規定

改正法第 31条の3等の規定であり、拳銃等以外の所持罪の罰則強化を図ったもの。

( 1) 趣旨
 拳銃等以外の銃砲等について、所持罪の法定刑は拳銃等と比較して軽いも のとされてきたが、拳銃等以外の銃砲等であっても、人の生命、身体又は財 産を害する目的で不法所持された場合には、悪用される蓋然性が高く、危害 予防上の観点から対策を行う必要性が高いことから、当該目的で拳銃等以外 の銃砲等を所持した罪の罰則の強化に関する規定が整備された。

(2) 内容
人の生命、身体又は財産を害する目的で法第3条第1項の規定に違反して 拳銃等以外の銃砲等を所持したときは、当該違反行為をした者は、1年以上 10年以下の懲役と規定された。

また、この場合において、拳銃等及び 拳銃等以外の銃砲等の合計数が2以上であるときには、1年以上15年以下の 懲役となった。

|銃砲等の所持のあおり又は唆しに関する罰則の整備(法第32条第7号関係)

インターネット等での悪質情報の対策のため、拳銃等の所持罪に当たる行為等を、公然、あおり・唆したことに対する罰則が整備された。
(1) 趣旨
昨今、インターネット上には、銃砲等に関する情報が氾濫しており、銃砲
等に関する情報を容易に入手し、容易かつ短期間で銃砲等を所持できる状況
となっていることを踏まえ、銃砲等の違法な所持、ひいては違法に所持され
た銃砲等の悪用に至る危険性を高めるような行為自体を処罰する必要がある
ことから、銃砲等の所持のあおり又は唆しに関する罰則の整備に関する規定
が整備された。

(2)内容
法第31条の3の罪に当たる行為を、公然、あおり、又は唆す行為をしたと
は、当該違反行為をした者は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金と規定された。

※「公然」とは、「不特定又は多数人が覚知しうべき状態」をいい、不特定または多数の人が見ることのできるインターネットやSNSも含まれ得る。

➤ 公然、あおり、又は唆す行為とは、たとえば…
○ インターネット上で、拳銃の自作方法を解説した動画を投稿し、不法所持を呼びかける。
○ 不特定または多数の人が見ることのできるSNSで、「拳銃を販売します」などと言い、価格・売主の連絡先を投稿する
などの行為が犯罪に問われる可能性があるといえる。

|銃砲の悪用に関する罰則強化

上記の部分とも重複するが、発射罪や所持罪などの銃砲の悪用に関する罰則が強化された。
その概要は下図のとおり。

警察庁法改正資料より抜粋

|おわりに

以上ざっくりと改正銃刀法の概要について記載した。
多くの方は、銃砲等を所持・使用することはないので、この法律に違反することはないとは思う。
しかし、気を付けなければならないのは、今回の法改正で新設された
・SNSやWebに投稿した動画などが「公然、あおり、又は唆す行為」に抵触する場合があること
銃砲刀剣類などを販売しているホームページなどで「合法」などと書いてあったとしても、実際には禁止対象であるものが多いということ。
などである。

現に、不法所持をしていなかったとしても、禁止となる行為をすれば、犯罪であり、禁止となる行為の受け手が実際に拳銃等の不法所持等に至ったかは犯罪の成否に関係がない。
そして、禁止となる行為が「犯罪だと知らなかった」としても、法律上犯罪になるということであるので要注意だ。

いずれにしても、怪しいと思ったら、必ず最寄りの警察署に相談することが賢明である。

<参考>
警察庁HP:


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