見出し画像

墓地・葬儀に関する手続き_その4 改葬等

私は両親を看取り、喪主としての必要な措置をすでに講じてきた。
そして諸般の事情からこれまでの田舎の共同墓地に眠る先祖代々の霊を菩提寺に移すこととし、これも無事に終了させることができた。

ちなみに改葬とはお墓の移動、引っ越しのことだ。


|「墓じまい」と「改葬」

「墓じまい」とは、墓石を撤去し、墓所を更地にもどして、その使用権を墓地管理者に返還することをいう。

墓に納められている遺骨を勝手に別の場所に納骨したり、廃棄したりすることはできない。
遺骨損壊罪(刑法第190条)などに抵触するおそれがあることは、すでに説明したとおりである。

「改葬」とは、墓じまいと同義に用いられることも多い。
改葬は、現在の墓所から遺骨を取り出して、別の墓所や納骨堂などに納骨することをいい、俗に「お墓の引越し」ともいわれている。

遺骨を別の場所に納骨する際は、現に存在する墓地を所管する市区町村に対して事前に必要な申請書類を提出して「改葬許可証」を取得しなければならない。

その後、墓じまいの儀式(魂抜きの法要)を行い、遺骨を取り出し、墓石を撤去し、墓地の管理者に返却。
その後、あらたに設けた墓や納骨堂などに遺骨を納骨するという流れになるが、前段の手続きや作業が墓じまいと同様であり、墓じまいは改葬の流れの一部としてとらえられている。

|墓じまいや改葬の理由は

私の場合は、田舎に先祖代々の墓地があると、過疎化や少子化などの影響もあり、先々墓地を継承する人がいなくなるおそれや、墓地が遠方で交通の便が悪いなどの理由で維持管理等ができなくなるおそれがあることから、自分の代で寺院の霊園に改装して永代供養をすることにしたのだ。

同じように、「子どもに負担をかけたくない」、「お墓が遠方にありお墓参りが難しい」、「夫婦それぞれの実家のお墓を守るのが大変」など供養に関する価値観の変化から、昨今ではお墓じまいを検討する方が増加しているという。

|改葬数の急増

厚生労働省が2023年10月に公表した「衛生行政報告例」によると、2022年度の全国の改葬件数は過去最高15万1076件であり、2000年度の衛生行政報告例のデータ66,643件と比較すると、20年余りで2.3倍に増加している。
特に下表のように2012年度以降を比較しても約2倍近くに急増しているのだ。

衛生行政報告例(厚生労働省):e-Statより

また、鎌倉新書が行った「第2回改葬・墓じまいに関する実態調査(2020年)」によると、改葬・墓じまい費用は
  「50万円以内」が40.8%
  「51万円以上」が31.6%
ということである。
子細は下のサイトでご確認を。

|永代供養とは

永代供養は、供養料を事前に一括して支払うことで、寺院や霊園などで遺骨を預かり、「永代にわたって」供養してもらえることをいうのだ。

つまり、管理費等を含め一定期間永代供養をしてもらえる契約をすることである。

この種を取り扱う寺院や霊園などは、宗旨・宗派に関係なく利用申込みが可能であることが多く、身内や後継ぎのいない方でも契約することが可能なのだ。

|手続きは

大まかな手続きの流れとしては
① 親族間で相談し同意を得る
② 改葬に必要な手続きや書類を確認する
③ 墓地管理者への改葬の意志を伝える
④ 新しい納骨先を決める
⑤ 墓を移転する場合には新たな墓を準備する
⑥ 改葬許可申請を行い改葬許可証を得する
⑦ 墓石の閉眼供養(魂抜き)、遺骨の取り出しを行う
⑧ 墓石の撤去・解体工事、使用権の返還
⑨ 新しい墓又は納骨堂などに開眼供養(魂入れ)を行い、納骨する
などという流れになる。

開眼法要イメージ:筆者撮影

墓石の撤去や新たな墓地に設置する墓石などについて、石材業者の選定や契約などが必要になったりする。
霊園などによっては指定業者による工事しか認めていないところもあるようなのであらかじめ確認しておくことが大事だ。

いずれにしても、自治体や寺院、霊園、納骨堂などによって若干扱いが異なるので早めに相談し確認しておくことが肝要である。

|改葬許可申請書と改葬許可証

改葬許可申請書は、埋葬している死者ごとに改葬許可申請書を作成する必要がある。

過去帳や位牌、原戸籍などを用いて申請書を作成するのだが、これが結構大変な作業になるのだ。
参考まで下の画像が私が使用した改葬許可申請書である。
なお、自治体の条例により様式等の定めがあるので事前に調べておくとよい。

自分で作成することもできるが、面倒な方は行政書士等に依頼することも可能。もちろん経費は掛かる・・、埋葬してある遺骨の数だけ申請書が必要なので私は自前で作成し経費削減した。

改葬許可証の様式は下の画像のようなものである。

|散骨や樹木葬なども可能

改葬許可申請にあたっては、霊園や納骨堂などへの改葬が一般的だが、散骨、樹木葬、手元供養(自宅で供養)なども可能である。

この取り扱いも自治体により若干異なることから、あらかじめ自治体の担当部署に確認・相談してみるとよい。

|おわりに

4回にわたり墓地・葬儀に関する手続きに関して記載したが、先祖代々の墓地を管理していくことが諸般の事情で困難になってきている現状を踏まえると、改葬等墓地の在り方を見直する時期に来ているのかもしれない。

費用と改葬等にも一定の時間的な余裕が必要なので、必要な方は早めに検討する必要がある。

私も改葬(墓の移転)を済ませたが、掲載したアンケート調査の経費と実際に要した経費は大きく超過してしまった。~~笑


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?