見出し画像

車の貸し借りに注意!

友達同士だと、「ちょっとクルマ貸して!」といわれて、何気なく貸し借りをしていることもあるよね。でもそのことで、友達関係が破局になったり・・・・。
えっ!どういうこと?
ではその理由等をちょっと解説します。


|車を貸与することのリスク

車の貸し借りにおいてはいくつかのリスクが生じます。特に貸主(所有・使用者)は法的に運行供用者としての責任が生じることがあり、万が一の時には借主(運転者)とともに第三者に対する賠償等の責任も負うことになります。
その代表的な理由をあげると

① 交通事故発生のリスク
借主が慣れない車を運転することになることから、交通事故発生のリスクが高まる可能性があること。

② 任意保険の補償に関するリスク
任意保険(自動車保険)の契約上のリスクとして、補償対象年齢等のリスクが生じる可能性がある。

③ 貸与した車の損傷に対するリスク
事故時に貸した自分の車の損傷等に対して相手方から補償されないことがある。

④ 駐車違反等のリスク
放置駐車違反をした場合の違反金未納付等に係る車検時のリスク。

などがあります。
以下順次説明します。

|交通事故のリスク

上記記載のとおり、借主が不慣れな車を運転することにより交通事故を発生させる可能性が高まります。

ATとMTの違い、車両の大きさによる運転席からの視野・視界、ブレーキやアクセル等の遊び感覚などの車の個々の特性の違いにより運転操作や感覚が異なり、結果として事故の危険性が高まります。

まして平素運転していない、もしくはサンディドライバーの場合には一層そのリスクが高まると言えます。

|任意保険の補償に関するリスク

万が一の交通事故の場合には、まず自賠責保険が適用されます。
借りた車の場合にも被害者救済の観点から事故の相手方に対する身体生命に対する補償が原則として過失の有無に関わらずなされるのです。

しかし、自賠責保険(強制保険)では人身事故の場合には入院治療等の治療費としての限度額が120万円と定められています。

したがってこの額を超える場合には、任意保険である自動車保険に加入しているときには、任意保険から被害者の治療費等が支払われることになります。

しかしながら、任意保険(自動車保険)はその契約内容において、補償対象について、運転者について「年齢限定」、「家族限定」、「契約者本人限定」など、補償対象が限定的な契約となっている場合があります。

いわゆるリスク分散型の自動車保険の場合には、掛け金が割安になる分補償の対象なども限定されてしまうので、事故時に補償されないというリスクを生じることがあるので要注意です。

|貸した車の損傷に対する補償のリスク

他人や他の物的損害に対する損害のほか、貸した自分の車の損害が発生しますよね。
車両保険に入っていない場合や入っていても上記のように運転者限定契約となっている場合には車両の損傷に対する自動車保険からの補填はありません。

その場合に借主に財産的余裕があれば賠償してもらえる可能性がありますが、もし賠償能力等がない場合には損害については貸主の自己負担になってしまいます。

|放置駐車違反等の交通違反に対するリスク

意外に知られていないのが、借主の交通違反に対するリスクです。

例えば、借主が運転中に交通違反を行った際に警察の停止命令に従わなかった、自動速度取締装置による速度違反に撮影された・・などの場合、警察から自動車の名義人である貸主に連絡があり、内容によっては出頭を求められたり事情聴取を受けることがあります。

また、借主が放置駐車違反をした場合には、運転者に対して放置駐車違反の責任追及を行うことが出来ない場合などには、使用者(貸主)に対し公安委員会が放置違反金の納付を命ずることになります

また、放置違反金を滞納して公安委員会による督促を受けた者は、車検時に、放置違反金を納付したこと、又は徴収されたことを証する書面を提示しなければ自動車検査証の交付を受けることができません

|その他、運行供用者としてのリスク

借り物の自動車が事故を起こした場合などには、その自動車の所有者に運行供用者責任が生じることになります。これを運行供用者責任といいます。

(自動車損害賠償責任)
第三条 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。(略)

自動車損害賠償保障法3条

この場合の交通事故は、人身事故のみならず物の損壊に対するものも含みます。

また、万が一借主が「ひき逃げ」や「当て逃げ」事故を起こした場合には、貸主(車の所有者)としての責任が問われたり、場合によっては事故の相手方等から損害賠償請求されることがあります。

また、借主が無免許であったり、限定免許であった場合に、道交法上無免許運転者に対する車両貸与罪などで問議される可能性がります。

|おわりに

以上簡単に書きましたが、車を貸した場合には、車の所有者には運行供用責任があること、自動車保険(任意保険)の契約内容によっては保険が使えない(補償されない)などのリスクがあることを多少なりとも理解いただけたでしょうか?

必ずしも車を貸すなとは言わないですが、貸す際には、以上のことを認識したうえで確認すべきことをしっかり確認したうえで、リスクを認識して貸すべきですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?