『東京貧困女子』を読んで
久々に重い本を読んだ。
タイトル通り、東京やその近郊に暮らす、貧困にあえぐ女性を数多く取り上げている本である。
彼女たちの貧困にあえぐ原因はそれぞれである。自身や家族の病気。家庭環境。介護をはじめとする非正規雇用から抜け出せない、いわゆる情報弱者のため、等々…。夫が一流企業や官僚で、幸せそうな家庭を築いていたとしても、そこから「転落」をしていった人も描いており、取り上げている人の幅の広さもこの本の特徴である。
従来のこの手の本では、「どうせ貧困に喘いでいるのは努力をしてこなかった(乃至は常識感覚が欠けているが故の)本人のせい」という糾弾にも捉えられる構成にも陥りがちであった。
然しながら本書においては、そこをも乗り越えた「他人事ではなく自身にも起こりうるリアリティ」を喉元にナイフを突き立てるがごとく描いている。
本書の大宗は事実を描き出している形に徹しているが、その中では日本のセーフティネットの貧弱さ、(あまり人間的な生活も送り難い)最低時給を前提とした制度設計、底辺職としての介護職(やそもそもの介護制度)への批判も、行間にはにじみ出ている。
本書を読むと、おそらく読む人によって出てくる感想は違ってくると思う。
日本の崩壊しかけた社会保障制度を変えるべく、政治家を志したり、運動に身を投じようと思う人、
いやいや、そうはいっても貧困に陥るのはやはり自己責任だよね、と思う人。
私個人としては、やはり自身の身にもいつ降りかかるか分からないという思いが強くなった。
今は私自身正社員についているが、其れがどうなるか分からない状況。
子どもや家庭を持つ責任、影響範囲の広さ。不幸にする人を増やさないためには、子供や家族でさえもリスクファクターになるのではないか。
中々後ろ向きな思いが去来する。
本書を読んでも思ったが、貧困層が貧困層を再生産するような仕組みが、現時点で日本にあることは否めないと思う。
そして貧困層には病気や家族のことで、いつ誰にでも陥る可能性が有ることを教えてくれる。
そういったことに自身がならないため、巻き込まれないために、しっかりと情報を集め、悪い人や情報に騙されず、驕ることなく、生活を質素にしていきたい。
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