アップハンドルとドロップハンドル
自転車ハンドルの種類
その選び方について少々。大まかには3種類の形状が、アップハンドル、ドロップハンドル、そして一文字ハンドルのバーハンドル(フラットバーにライザーバーも含めて)。それにより乗車姿勢(ポジション)にも変化が。アップハンドルは上半身が起きる、ドロップハンドルは前傾姿勢、そして一文字ハンドルはその中間と仮定。
(わかりやすくしたいので、これ全て端的には。興味の対象は、自転車を活用したその先に何があるのか? であって、要は、自転車オタク的な話は苦手で...)
車種に例えて、実用車(仮にママさん自転車も)はアップハンドル、ロードレーサーはドロップハンドル、それと最近のクロスバイク(コンフォートも)は一文字ハンドルが多いようです。そのようなハンドル形状と車種のマッチングはフレームで決まるとも言える、その要ともなるのが各所の角度に寸法で、根本的な設計思想から異なるのです。フレームの選び方で(そのフレームを選んだ段階で既に)、使うべきハンドルも大まかには決まってくる。
アップハンドルを付けたからといって、フレーム自体がアップハンドル用に設計(ジオメトリーが)されていなければ、それはアップハンドルの自転車とは言い難い。なので例えば、ママさん自転車にドロップハンドルを付ける、その逆、ロードレーサーにアップハンドルは、そのフレーム本来のパフォーマンスは引き出せないでしょう。前回、身長とフレーム寸法の関係に触れました、それは基本としても、さらにそのフレームは如何なる用途に設計されたものかという点にも留意で。
簡単ですが、そんな大前提を踏まえ各ハンドルの話に入ります。
一文字ハンドル(フラットバーとライザーバー)
自然体で立つ、すると手のひらは身体に沿うように内側(身体側)に向く、この、手のひらが身体と平行になる位置関係が自然な状態。そこで一文字のバーハンドル(フラットバー&ライザーバー)ですが、そのグリップ(にぎり)は自転車を真上から見ると、車体フレームに対して直角的に位置します。位置が直角的、それを掴む手のひらも直角的に(本来、180度平行の位置である手のひらを、90度ひねることに)、それは自然な姿勢ではありません。
一文字ハンドルでの想定は例えば走行距離10キロ以内(一般論的に)、それを超える走行には向いてない(経験では、手首が痺れてくる)。そこで、グリップが平行な位置にくるバーエンドバーとされる部品を取り付けることでの回避策(前腕部の負荷軽減)がポピュラーです。しかしバーエンドバーはハンドルバー前方側に取り付けるもの(グリップ位置はハンドル上から、ハンドルの前側に移動)。
その前方に移動した分、簡単には、座ったママより遠くのものを掴むので、より前傾姿勢にも。前傾姿勢となるほどにデメリットが生じるのですが(メリットもあります)、そこはドロップハンドルの話で説明します。バーエンドバーの使用はともかくとして、一文字タイプのバーハンドルでは手首(前腕部)の向きが不自然という点に留意して下さい。
あとこのタイプのハンドルバーでの要注意点は全幅の値。自転車の車幅は最大600mm内との定めが(成人の背肩幅距離を基準としたものと推察されます)。しかし幅600mm超のハンドルバーも販売されており、一般道での使用も見受けられます、それは違法です。近年、自転車の保険加入が義務とされていますが(東京都)、何か起こった際、違法車両には保険が適応されない可能性もあるでしょう。
ドロップハンドルのメリットとデメリット
手のひらが平行になる(グリップ位置が)自然な姿勢での自転車ハンドルには、ドロップハンドルとアップハンドルとが。まずはドロップハンドルから。ドロップハンドルは、いわゆる下ハンを掴むのであれば、自転車を真横から見て、トップチューブよりも下側の位置にグリップが(あくまでも下ハンでは)、前傾姿勢はキツいものに。その姿勢をヨット(船)に例えると帆を下ろした状態、例えば向い風による抵抗の軽減が可能に、空力的に優位。
ところで一般的な成人の頭部は4-6kgだそうで、それは前傾姿勢が増すほどに数倍の値にも、端的にはおよそ27kgとされています。例えば27kgから自重6kgを引くと21kg、それは6歳児(男子)の体重に相当、つまり強い前傾姿勢により子供一人分を背負うことに。それを首と肩で、また背中と腕の筋肉で支えている。そのようにスポーツ系の自転車での前例姿勢は身体に掛かる負荷が大きいのです。
(このデータのエビデンスは兵庫医科大学保健管理センターだより)
もう一点、見逃せないデメリットが。それは前傾が強くなるほど視野は狭くなるという点。自ずと他者(他車両)また障害物などの発見も遅くなり、交通上のリスクが増すことにも。で、ドロップハンドルには上ハンを掴むという乗車姿勢も、前傾であることに変わりはありませんが、下ハンよりも上体が起きることにより首と肩などの負荷は軽減され、視野も広くもなります。でも掴む部位によっては、先に例えた一文字ハンドル同様にグリップ位置は不自然なものに。
(ただ最近は昔とは違うようで、否、最新の車体はさっぱりわからんのですが、乗っている方を観察するに、上ハンも、より自然な体勢で掴めるようにハンドル形状などが進化しているようです)
アップハンドルのメリットとデメリット
最後にアップハンドルは、留意はそのバリエーション、ハの字(仮に45度)に開いたものからコの字状(仮に90度)とグリップ角度は様々。完全なコの字状に近くなるほど身体とは自然な位置関係になります。具体的にはTop画像のハンドルが参考に。この曲り角度はコの字に近いです。このようなバリエーションは他のハンドルにも言えるのですが、特にアップハンドル系のグリップ角度は多種ではないかと。
(アップハンドルとして販売されてるものにはライザーバーに近いものも多い。購入されたママさん自転車にライザーバーかのようなハンドルが最初から付いていて、それでポジションが決まるのであれば、そのフレームのジオメトリーはスポーツ車に近いかもしれません)
アップライトなアップハンドルでは上半身が起きる姿勢であり、それにより首と肩などの負荷は軽減、また視野も相応に確保され交通上のリスクも軽減されるメリットが。実際の乗車姿勢はセッティングの詰め方にもよりますが、私の場合、やや前傾にセット。よくランニングフォームで"やや前傾"と言われますが、その要領です。身体とは直立歩行のみにあるのでなく、やや前傾なランニングフォームのためにもあると言えるのであれば、それも自然な姿ではないでしょうか。
(このエビデンスは生物学者のDennis Brambleまた古人類学者のDaniel Lieberman、そして「Born To Run」で著名なDavid Carrierらによる研究を参照したものです)
デメリットは、先に姿勢をヨット(船)に例えました、その例えでは、アップライトな姿勢は帆を張った状態に、空力的には不利(向い風の影響をモロに受ける)。それとドロップハンドルよりも引きつらいという特性が、簡単端的には上半身も使うという乗り方(一例は、引けるハンドルは登りで優位)。ただドロップほどに効果的ではないとしても、アップハンドルでも多少は引けます(その形状にもよる)。そのように、いずれにもメリット・デメリットはありますが、総体での低リスク(低ストレス)はアップハンドルと言えるでしょう。
(ちなみにアップハンドル車では、私は、いわゆるダンシングはなし。絶えずシッティングです。例えば八王子の和田峠もシッティングで登ります。ランドナーに乗っている方には通じると思うのですが、シッティングでジワリジワリと登る感覚がたまらない、なんと例えるか、車体との一体感が濃厚なのです)
ただし、アップハンドル至上ではありません(贔屓ではあります)、そこは用途に応じて使い分ければ良いのです。しかし例えば一文字ハンドルでは前腕が不自然に、ドロップハンドルでは前傾での負荷増大が、そして視野は狭くもなる。たかだかダイエットとエクササイズでの手軽な自転車活用に(またお気軽サイクリングに)、そこまでのリスクは負えない、そこまでする必要があるのか疑問であるという話なんです。しかも老化により動体視力が低下した高齢者の話です。
第2回[ダイエットは身体に合う自転車のフレームで]
第4回[ママさん自転車でダイエット]
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