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【行政】国家公務員の給与事情

1.概要

 本記事では、国家公務員の給与事情ついて解説する。

2.給与事情

 国家公務員の給与は職種の別(行政、教育、公安等)のほか、人事院が公表している俸給表の通り、号俸と職務の級に応じて非常に細かく規定されている。要するに、ベース給=f(職種,号俸,職務の級)という関数で決まるわけである。
 また、採用区分の観点で言えば、そもそも国家公務員はキャリア官僚(総合職)とノンキャリア(一般職、一部専門職)に分かれるが、それらの給与水準は採用区分に応じて初任給の時点から異なってくる。
 では、出世の早いキャリア官僚ならばノンキャリアに比べて相当給与が良いかというと、意外とそうでもない。特に、初任給については、大卒の総合職と一般職であれば、5,000円程度の差に過ぎない。
 その後の給与については、省庁によってはキャリア官僚の方がノンキャリアよりも平均残業時間が相当長い場合があるので、モデル年収はキャリア官僚の方が高く見えるかもしれないが、基本給で見れば給与差は意外と知れている。
 では、キャリア官僚の収入は民間水準と比較して高いといえるのだろうか。どのような業界と比較するかにもよるが、例えばキャリア官僚を多く輩出している大学の主要民間就職先である都市銀行と比較すれば、下表のとおり、各年齢において数百万円のビハインドが推定される。

ヒアリングに基づく推定年収(万円)

 また、国家公務員のトップたる次官級でも年収は2,300万円~3,000万円のレンジであり、都市銀行の役員クラスの年収レンジである2,500万円~10,000万円と比べてもかなり見劣りする。
 それでは、難関試験を突破してまでキャリア官僚になる旨味はないのかというと実はそうでもない。
 通常、キャリア官僚であればほとんど横並びで本省課長級までは昇格できるが、それ以上出世できなくなった時点で基本的に関係機関に天下りとなる。もちろん用意される天下りポストの善し悪しは、その時点での職位に依存することになるが、それなりの職位にいれば、その収入は公務員在籍時をはるかに上回ることになりうる。
 課長級であれば天下り先は小規模な出先機関の長として、年収2,000万円にも満たないケースも多いが、それでも公務員時代に比べれば相当良い水準であるし、更には出先機関において2度目の退職金が出るケースもある。
 そして、天下り先次第では大手日系企業における生涯収入をはるかに上回ることができるという夢もあるし、そのためにもできるだけ公務員時代に高い地位に就いておく必要があるため、キャリア官僚は激しい出世競争をしている(側面もある)のである。
 尚、ごく稀ではあるが、ノンキャリアでも本省課長級まで昇格した場合には早期の退職となり、天下りするケースもみられる。
 但し、近年は天下りに対する世間の風当たりが強く、再就職規制も厳しいため、昔に比べて天下りの旨味は薄くなっているそうだ。薄給の現役時代を頑張っても天下りが期待できないのであれば、ますます公務員の不人気が加速するだろう。足許、既に国家公務員総合職試験の大学別合格者数で見ても、上位国立大学が占める割合が低下する一方、中堅私立大学からの合格が増加していることから、頑張って勉強した割に旨味が無いのなら、最初から民間企業に行った方がよいと考える者も増えているのかもしれない。
 公務員は何かと風当たりが強いが、あまりにも冷遇し過ぎると人材確保が困難になる時代が到来することになりかねない。

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