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州民請求「交通シフト・ヘッセン」署名提出までの道のり #7

さて続いて、37度下5時間の署名活動の話。下痢後の体調不完全さもあり、行くの無理かも..と前日にさぐりを入れたところ、行った方がよさそうと心を決め真面目にシフト出勤。どうにか途中脱落はしなかったものの(別に脱落してもいい)、完全に夏バテしてしまい、その翌日から1週間は38度の熱を始めて夏に出すなど散々でした。。

土日は室温32,5度になるアパートからエアコンのあるホテルに避難
月曜日の"冷え込み"と火曜日の"再び上昇"を含めた気温のアップダウンに完全にやられました

現場は土曜日の夕方から日曜日の夜まで行われたオッフェンバッハで最も大きなお祭り。登録団体(Verein)の祭りと銘打っているだけあり、120もの団体が2年ぶりの開催にスタンドを出店。教会関係、市民消防団に平和活動団体など多岐にわたる登録団体が食べ物・飲み物を提供。そしてさすがは人口の65%が移民的背景のある市民であるオッフェンバッハらしく、その場で調理された色んな国の食べ物が販売されていた。

平和イニシアチブのスタンドの人気メニュー、前菜プレート6ユーロには行列が。
ワッフルや揚げ物、グリルなどのスタンドは見ているだけで心配になるほど暑そうだった..

歩き回ることは最小限にするのがベターだが、水分補給はしっかりしなければいけないし、そうするとおトイレにも行きたくなる。この祭りは初めてだったのでちょっと他のスタンドを見たい、というか何か食べて腹ごしらえもしたい。それらのためにちょっと彷徨いては知り合いに会い話したりもしたが、本当に厳しい暑さだった。その前の週末にVCDドイツ交通クラブのスタンドで知りあったヨロレイヒおじさんが環境保護団体BUNDのスタンドにいるのを発見、情報誌やフライヤーなどをセルフサービスで持っていってくれという体裁で省エネ出店していた。キャンピングチェア2台に腰掛け、ストローハットを顔面にかぶせる様子は、出店者というよりは自宅の庭で暑さを凌いでいるようだった。

持ち場のドイツ自転車クラブADFCオッフェンバッハ支部スタンド
日陰はテントで作られていたが、風通しはあまりよくなく..

肝心の署名活動だが、エネルギー消耗を考え長々話さず、聞き手の集中力も要さない簡単で短い言葉で伝えようという設定をこの日は自分にした。その前の週末の自転車メッセと異なり、色んな人がいるのでちょっと署名してくれそうな人を選んだりもした。なにせスタンドの前を通りかかる人全員に声をかけていたら1時間で倒れそうな天候である。自転車のハイシーズンで新しい自転車を買った人もちらほらいるのか、"ADFC"の文字を見てスタンドに近寄る人はADFCが行う防犯登録の質問をする人が多かった。私の14時の到着と同時に数時間行われていた防犯登録は終了したので次のスケジュールをご案内。そして「もう署名しましたか」と訊けばおおよその人は署名してくれた。数は多くはないのだが。

もちろん8月末の署名提出デモについての宣伝も忘れない
できてまもない市の自転車ルートマップや
市の自転車インフラプロジェクトのステッカーなどもラインナップ

人通りは前日土曜日の夜の方が多かったと聞いて納得。14時から19時なんて最も暑い時間帯によく来るなぁと思ってしまう暑さである。暑さに耐えながら歩いているとはっきりわかるちょっと年配の女性が足を止めたと思えば、彼女はADACドイツ自動車クラブとちょっと勘違いをした質問をしてきた。若い男性二人組が妙にステッカーに食いついていたので「署名した?」と話しかけると、ドイツ語話者だが"交通シフト(Verkehrswende)"という言葉は初耳だったようだ。住民投票関連の単語でも二人ともフリーズしてしまい、残念な限りであった。「署名はもうした」という回答が返ってきても、「本当に"交通シフト・ヘッセン"だった?」と念押しで訊くのは意味がある。自転車住民請求オッフェンバッハとは別の州レベルの署名活動だと説明すると、前者に署名してくれた人(見覚えのある顔だったりする)は署名してくれる。草の根の市民活動による効力が気候環境にやさしい交通手段のインフラ整備の後押しに大きいと、直接民主主義の署名活動は立て続くのである。

ふと下をみると署名提出デモフライヤーが重し用のバケツ内で涼んでいた

とある女性は自転車にも乗れば車にも乗るという。自転車交通のための道は分断されているというのが現状だが、自転車レーンが拡大し自動車交通のためのスペースが減るのではという心配から署名を躊躇されていた。こういう時はオランダの例を出すのがいいと思う。人口密度がドイツの街々より高くとも、自転車交通と自動車交通を分離し計画することで、ドイツより自転車交通分担率が3倍近く高い。そんな例を出したら返ってくる言葉がなかったので胸中は不明だが、署名用紙を持って帰ってくれたので、気が向いたら署名してどこかの投函ボックスに投げ入れてくれたらいいなと。署名を迷う人、内容をじっくり読み込みたい人には署名用紙を渡すし、署名した人にも家族・友人・隣人用にともらってくれる人には何部か渡す。というのもA3を半分折、両面印刷(一部カラー)だと自前で印刷は難しいからだ。

ばらしたスタンドは自転車2台で2往復して撤収

最後の2時間はちょっと日差しが落ち着き、風も出てきたので少し楽だった。稼働時間からして効果的な署名集めではなかったが、それは仕方がない。スタンドで新たな人とも知り合えたし、最後は誰かが差し入れに持ってきてくれた自転車モチーフのグミ付きマフィンを食べて、シャワー目掛けてその場を後にした。


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