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世界の珍品MSX特集・嘘つきイタリアンMSXほか

ショッカーですら不可能だった世界統一を成し遂げたMSX。世界中で様々なマシンが発売されました。世界中の猛者が集うMSX Resource Centerには色々面白いお話が転がっているのですが、今回はそのいくつかをご紹介します。


カラフルなキーボードが可愛いイタリアンなんちゃってMSX

1⃣嘘つきイタリアンMSX・Philips NMS 800

フィリップス社が何をとち狂ったか発売したマシン。
イタリア限定のMSX1基準のマシンで
「MSX COMPATIBLE・MSX互換機」
と堂々と書かれていますが、公式のロゴはありません。というのも肝心のカートリッジスロットがないんですね。セットになっているデータレコーダーで50個のゲームが入った6本のテープで遊ぶ子供向けMSXのようです。


お菓子の詰め合わせみたいですね。


ゲームやジョイスティックがセットになっているのですぐ遊べます。


問題なのは箱に堂々と「互換 MSX-DOS」と記入されてるんですよ。MSX Resource Centerの同志に
「これは単なる嘘です。このコンピュータにディスクドライブを追加することは不可能だからです。」
と断罪されています。更に起動すると「PHILIPS MSX version 3.0」の怪しげな文字が。そんなの聞いたことないよ🤣


左下に「互換 MSX-DOS」の文字が😁


絶対マイクロソフトに許可取ってない


当時地球上に存在しなかった筈のMSX-BASIC 3.0を搭載

そもそもMSX-BASIC 3.0はMSX2+規格用の物なんです。案の定
「これも嘘です。このマシンは MSX2+ ではありません。」
と怒られてます😁
これが三流メーカーならよくあることなんでしょうが、フィリップス社はオランダの巨大電機メーカーで欧州でのMSX販売最大手なんです。日本ならソニーがパチものMSXを販売したような感じでしょうか。


1982年のDragon32

2⃣イギリス製・香港産・スペイン行き。Dragon MSX-64の悲しい運命

ドラゴンMSXってブルースリーが愛用してそうなモデルですよね😁
製造元のDragon Data社は元々TRS-80カラー コンピュータのクローンであるDragon64というマシンを作っていた英国のメーカーでした。しかし1984年に同じ英国のAcorn BBCやZX Spectrumとの競争に敗れて倒産してしまいます。そこで買収先のEurohard社が次のメインマシンとして考えていたのがMSXだったという展開だったようです。


英国のPCは教育用として発展してきた歴史があるので子供向けの広告が多いです。


RAM64kBで2スロットの標準的MSX1。ファンクションキーが左にあるのが特徴。


香港で製造のシール。Dragon MSX-64はちゃんとMSXの公式ロゴが入ってます。


謎のコナミのカートリッジが。中身は何だろう🤔

Dragon MSX-64は香港のRadofin Electronics社によって製造され、スペイン市場向けに約500台が出荷。ところが結局ユーロハード社の倒産でお蔵入りになってしまいます。そしてその結末は・・・・

「従業員には給料の代わりに Dragon MSX が支給されました。」

いいのかよ!🤣


高級感ある堂々とした広告

3⃣Zemmixの本気?韓国最強MSX・CPC-400S

韓国におけるMSXというとMSX互換のゲーム機Zemmixが有名ですね。任天堂に喧嘩上等の偽マリオ「スーパーボーイ」などあやしいタイトルが多数発売され、2000年代当初ネットで日本にも紹介され話題になりました。
しかしMSXはハングル表示用のSCREEN9が公式にサポートされ、正規品のMSXも多数販売されているんです。その頂点と言えるのがZemmixの販売元の大宇電子の誇るCPC-400Sでした。


何とメガROM採用。この頃の韓国は無法地帯だったのでマリオやダブルドラゴン、新人類など日本でMSXに移植されなかったタイトルが次々と移植されていました。


韓国代表・重量級MSXという感じです。


前田尋之先生の「MSXパーフェクトカタログ」で紹介されています。是非買おう😘

1988年発売のCPC-400SはRAM128kBでFDDを2台搭載という所謂MSX2高級機とも言えるカテゴリーです。更にMSX2のV9938対応ライトペンやスーパーインポーズ機能とデジタル化機能が追加されています。恐らく動画編集用のプロ仕様のマシンで、日本ならソニーの最上位機種HBI-F900や松下FS-5500に匹敵するMSXだと思います。


CPC-300。韓国のMSXも教育用として使用されたケースが多いそうです。

4⃣絶対ゲームはやらせない!教育ママご推薦・韓国CPC-300E

弟分のCPC-300は1987年発売のMSX2。何と教育用のCPC-300Eは生徒がゲームしないように、ご丁寧にもジョイスティック端子が丸ごと排除されています。しかし実際は無駄だったようで、高校時代出会った韓国MSXユーザーはこのマシンでグラディス2をキーボードで軽く2週したと豪語していました。
更にこのモデルは例の教育用ヤマハMSXの後継機種としてロシアに輸出されている実績があるんです。こちらは日本産・韓国経由・ロシア行ですね。


MSXのロゴがカッコいい


CPC-300にはあった筈のジョイスティック端子が・・・


CPC-300Eではカット。さすが解ってらっしゃる😁

僕は暇さえあればMSXの歴史を調べるのが大好きなド変態ですが、未だに新たな歴史に巡り合えることに驚かされます。
2024年はMSX40周年、まだまだMSXの歴史は続いていくことでしょう。


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