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教室と大人世代をつなぐ   Vol.06 テーマをみんなで探す、共有する

人口は減るものと思え!

前回のテーマ選びで地球温暖化問題など壮大なテーマは答えが出しにくいと書きました。それと同じことが人口についてもいえます。いまや全国に地域課題はあふれています。東京を除けば、そのすべての原因は人口減少です。すべての社会課題はここから始まると言ってもいいでしょう。人口減少を少しでも食い止めるため、自分の街に移住者を増やそうと全国の自治体が躍起になっていますが、これではただの取り合いで何の解決策にもなりません。
いまの大人世代は人口が増えていた時代、特にバリバリ働ける若い世代が多かったころの日本を知っているだけに、人口が減るなら増やせばいい、という発想になりがちです。これからは、「生産年齢人口」と呼ばれるバリバリ働ける世代の日本人の「人口は減る」という前提で考えていかなくてはならず、だからこそ高校生世代のこれまでにない考え方に期待したいのです。課題を提示する際には気をつけたいところです。

高校生に解決していただく、という姿勢

市民や行政の皆さんは日々、課題に直面しながら、自ら実践的に対応を重ねています。探求という授業が始まることで、高校生たちも自らが課題と感じたものを見つけ、状況を調べ、解決策を探していくことになります。市民や行政の皆さんのほうが、ふだんから課題に直面している分、対応についても、何歩も先んじているでしょう。
それでも高校生に課題を提示するチャンスがあったとしたら、上から目線でもなく、答えはなるべく言わず、「君たちならどう思う?」と投げかけるようにしてください。大人から探求する高校生に歩み寄る姿勢を見せてほしいのです。高校生たちに解決していただくというのは言い過ぎかもしれませんが、社会課題というのは大人世代だけでは行き詰ってしまいがちです。高校生たちの言動を否定することなく、彼ら彼女ららしいアイデアを引き出す姿勢を持ちたいものです。こうして市民との交流から得たテーマで探求することで、その成果は自然と高校生だけでなく市民も興味を持ってくれるようになります。

横の共有と縦の共有

テーマ探しの段階から市民の皆さんとの交流を重ねていくことで、地に足のついた、地元に特化した社会課題を見つけることができ、成果の共有も進みます。単に授業で考えただけでなく、地元の皆さんと実践できるアイデアになる可能性も高まるでしょう。
ただ高校生は3年で卒業してしまいます。進学や就職などで町を離れる子も少なくありません。せっかくいいアイデアを思いついたのに、自ら実践することなく終わってしまうケースも出てきます。たとえば2年生の成果を新1年生に引き継ぐ、または1こ下の中学生とともに探求するといった年代を超えた共有も、今後は課題になってきます。先輩たちとかぶらないテーマを探すことも大事ですが、同じテーマを違うメンバーで毎年、考えていくことも重要です。

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