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教室と大人世代をつなぐ   Vol.09 「学校にはビジネスが足りない」

探求の成果を見てみた

私は、とある地方の、とある公立高校の探求学習の成果を見せていただいたことがあります。本来なら2022年度から正式に始まる探求学習ですが、その学校では数年前から授業に取り入れていました。探求学習を実施しているのは1年生と2年生です。探求の授業は年間を通じてやっていて、2人から数人でグループをつくり、2学年で100以上の成果がありました。それらはすべて5分程度の動画、パワーポイントを使ったプレゼン形式になっていて、生徒さん自らが発表しています。
1年生は気候変動やエネルギーをテーマにしていますが、2年生はフリーです。自ら見つけたテーマに基づいて発表しています。皆さん、自分の街や、いま世の中にある社会課題を解決するため、こんなことを考えてみた、調べてみた、やってみた、という形になっています。

高校生はビジネスを学んだことがない

その高校がある街ならではのテーマもあれば、う~ん?と思わせるテーマもあったり、この街ならこのテーマもあるはず、と私が思っていたものがほとんどなかったり、目の付け所はいまどきの高校生らしいのかなあ、と思いました。正直、調べたり、やってみたりしたことについては、浅いものが多く、もの足りないのですが、100本のうち10本くらいは拍手してあげたいようなものもありました。
そこで感じたのは、高校生とはいえ、これまでビジネスがどんな仕組みで動いているかをほとんど学んで来なかったんだ、ということです。もちろん取り上げているテーマの中にはビジネスとは無関係のものもたくさんありますが、もし彼ら彼女らに探求学習の途中で、我々ビジネスパーソンがほんの少しでもビジネスの要素を伝えることができたなら、もっと結果に広がりが出たのではないかと思ったのです。ビジネスを教えられてこなかった高校生と企業人との交流の機会があれば、何かおもしろい変化が生まれるのではないかと。
高校生たちがテーマとして取り上げることの多い社会課題の解決も、いまではソーシャルビジネスという目線で解決策を模索することが主流になりつつあります。課題を解決することが個人的なメリットにつながるだけでなく、企業活動に貢献するような仕組みを考えることもいまの流れです。そういった事例を見せるだけでも、きっと違う答えを見つけ出してくれるのではと思うのです。

ちょっとだけ入れ知恵したい!けど

前回、このコラムでお話しした高校生の探求学習の成果をその街の人とも共有していくことが実現すれば、高校生と街の人が「ビジネス」という軸でつながります。ビジネスでのつながりはこれまでなかったことではないでしょうか?
ここで、絶対、気をつけてほしいことがあります。ここまでの話は高校生たちの活動に、街の大人世代たちが助言をする、という構図ではありますが、大人世代が「上から目線」でものを言うようになったら元も子もなくなるということです。おそらくあっという間に交流そのものがなくなるでしょう。
それを理解できる大人がどれだけあなたの街にいますか?もし10人いれば、あなたの街はもっとステキな街になっていくことができると思います。


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