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教室と大人世代をつなぐ   Vol.05 探求学習の成否はテーマで決まる!

探求するにはどうするの?

生徒さんが探求学習を始めるには、まずテーマを決めなくてはなりません。このテーマ選びひとつで、その年の成果が大きく変わってしまいます。探求学習の主旨は、「生徒自らがテーマを決め、調べ、結果を導く」こととはいえ、100%、生徒まかせとはいかないようです。私が高校の先生にうかがった話では、1年間の探求学習のうち1学期はすべてテーマ探しに充てるそうです。それでも多くの生徒はテーマに迷ったり、何も思いつかなかったり、結果を出しやすいというか、もう結果がわかっているようなテーマを選んだりしてしまいます。なかには「探求なんかやっても受験のためにならない。時間のムダ!」と思う生徒さんもいます。こんな状況ですから、かなりのところまで先生が誘導せざるを得ないようです。ただそこで答えを言ってはいけません。うまく生徒に気づかせなければ生徒が自分事と思ってくれません。ほかの教科にはない教えづらさというものがあります。
テーマは、たとえば地球温暖化問題やエネルギー問題などでもいいのですが、あまり壮大なものにしてしまうと答えが見つかりません。このようなテーマにするとしても、地域課題の発見、解決に結びつけさせないと、やはり自分事になりにくいのです。また、これは私の意見ですが、どこかで数字(=エビデンス)の裏付けがないと、机上の空論、思考遊びになりかねません。そのためにはRESAS(地域経済分析システム)や自治体が公表している各種の統計などにも興味を向かせなくてはならないのです。
こういうふうに考えると、正直、先生は大変だと思います。

テーマ選びを手伝えないか?

地域の課題をよく知っている大人世代から、地域課題を探そうとしている高校生たちに、この街にはこんな課題があるよ!ということをうまく伝えられないでしょうか?課題解決のために具体的な活動をされている方がいらっしゃれば、その活動について高校生たちに話す機会などはつくれないでしょうか?学校の先生の代わりに、街の大人世代の方々が課題を提示することで、先生の負担を減らすことができるかもしれません。そして、それ以上に重要なのが、社会に開かれた教育課程にもつながっていくことです。
たとえば、いま全国で「子ども食堂」が増えているといわれています。なぜ食堂に集まる子どもが増えているのか?できることなら食堂で、半日でもボランティアで働いてみるのは探求学習のためだけでなく、後々にも何か残る体験になるでしょう。先生と同じく生徒さんも忙しいですが、街の皆さんがいろんな「体験メニュー」をつくって選べるようにしてあげることも、1つの方法だと思います。生徒さんが街の人といっしょにテーマを決める、これが大事なのです。


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