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日記ふうエッセイ【ひび】

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2023年5月の記事一覧

【日々】やや群青|二〇二三年五月

二〇二三年五月十五日  前日に届いた、こんどのイベントで売るミニ本の出来あがりがよくて、何度も手にとってしまう。装丁がおもっていたよりずっとうまくいった。新潮文庫風のなかみ。  つい遅くまでポケモンで遊ぶ。画面の向こう側にしかいない仲間たちだけれど、確かにいっしょに旅をしている。みんな愛おしい。 二〇二三年五月十六日  元気なみどり、パステルな青、ひざしとそれを受けてひかるせかいの白。さわさわと木々と髪を揺らす風。家の二階ではためく洗濯物たち。なんて気持ちいい。久しぶ

【日々】まだちょっと肌寒い|二〇二三年五月

二〇二三年五月九日  冬ものを仕舞いはじめる。半袖短パンは、とりあえず部屋着だけにしておく。電気ストーブをしまうついでに扇風機をだしたけれど、まだちょっと肌寒いから初登板はすこし先かな。  かいもの帰り、ながくながく細長くのびる自分の影。ちいさなからだをいっぱいに使って、スラリと長くてきれいな白木いろのバットで素振りする野球少年。  月末、尾道にいくことにした。どんなふうにすごそうか。 二〇二三年五月十日  音楽と記憶はよく結びつくというのはさんざん言われているし言

【日々】たまには、顔あげて|二〇二三年五月

二〇二三年五月二日  今月のくらしはここまでのところ、四月のそれとはちがって、日々のひとつひとつを丁寧にさわりながら、落ち着いてすごすことができている気がする。まだ二日目だけれど。心地がいい。メモを整理しながら、自分のなかの違和感をノートに書きつけて眺めてみたら、わからないままにすこし前向きになった。みどり萌える季節、こころもからだも何かをしたがっていることだけはたしか。  雑誌を買いに駅前のくまざわ書店に寄ったら、わたしの愛するものど真ん中な本ばかり並べたフェアを見つけ

【日々】あたらしいふるさと|二〇二三年四月

二〇二三年四月二十三日  駅まで全速前進、急ぎ足。右手から、ゆっくりと自転車で追い越してゆくおばあちゃんのブラウスは花ざかり。紺地に、白や黄色の花びらが散りばめられて可憐に風に揺れる。早足のわたしと、ゆっくりふうふう漕ぐ自転車の距離は、離れゆくのにもすこし時間がかかる。  とくに何か手広く活動しているわけでもないのに、どうして日々余裕がないのだろうとふと考える。ただ最低限はたらいて、寝て、食べているだけなのに。むしろ、やりたかったこと、やろうと思っていたこと、数ヶ月前より