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【日々】まだちょっと肌寒い|二〇二三年五月




二〇二三年五月九日

 冬ものを仕舞いはじめる。半袖短パンは、とりあえず部屋着だけにしておく。電気ストーブをしまうついでに扇風機をだしたけれど、まだちょっと肌寒いから初登板はすこし先かな。

 かいもの帰り、ながくながく細長くのびる自分の影。ちいさなからだをいっぱいに使って、スラリと長くてきれいな白木いろのバットで素振りする野球少年。


 月末、尾道にいくことにした。どんなふうにすごそうか。




二〇二三年五月十日

 音楽と記憶はよく結びつくというのはさんざん言われているし言ってきたこと。でも何度あじわっても不思議だしたのしい。

 きょうは、四月から五月にかけての、新緑とおひさまの匂い。おだやかに晴れた朝。そんな感じが呼び起こされてきた。ちょうど一年前、一度は折れた心と足でふたたび立ちあがろうとしていたころのきもちが、ほのかに香ってくる。


 家の中はまだひんやりする。きのう長袖長ズボンを仕舞っちゃったことをちょっとだけ悔やむ。




二〇二三年五月十三日

 トイレで個室が空くのを待ちながら、ふと鏡のほうを振り返ったら誰も写っていなかった。わたしが、みえない。わたし、ちゃんと、いる?




二〇二三年五月十四日

 玄関を出た瞬間に雨に降られる。ランチしに行ったお店は思っていたよりラストオーダーが早くて入れずにおわる。お気に入りのサコッシュも、気づかないうちに汚してしまった。なんだかいろんなことがずれてしまっていて、おやすみなのに何も充たされていかない。

 世界を見渡してみても、こころの中をさらってみても、スケッチしたいようなことがすくいとれない。でも、ないなら別にいいか、って気もしてきた。続けたいし続けるつもりだけれど、時にはびろんびろんに緩やかになっちゃっても、まあいいんじゃない。

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