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【日々】たまには、顔あげて|二〇二三年五月




二〇二三年五月二日

 今月のくらしはここまでのところ、四月のそれとはちがって、日々のひとつひとつを丁寧にさわりながら、落ち着いてすごすことができている気がする。まだ二日目だけれど。心地がいい。メモを整理しながら、自分のなかの違和感をノートに書きつけて眺めてみたら、わからないままにすこし前向きになった。みどり萌える季節、こころもからだも何かをしたがっていることだけはたしか。

 雑誌を買いに駅前のくまざわ書店に寄ったら、わたしの愛するものど真ん中な本ばかり並べたフェアを見つけてしまう。ほとんど全部欲しいけれど、呻きながらがまんする。ここには置いてあったらうれしいなと思うものがたいてい並んでいるから、好きだ。ドンキの地下なんて立地にあっていい本屋じゃない。

 わたしが仕事に出かけるのはいつもだいたい昼前。そのぶん夜は遅くて、そのせいかさいきん体調がずっと整いきっていないところはある。でもとくにきょうみたいな日には、ちゃんと起きたあたまで、昼前のシンとした、それでいてさわやかな五月晴れのおひさまと風をゆっくり味わいながら歩けるしあわせがありがたい。朝、朦朧とした頭で、道ゆくひとみんな急ぎ足のなかを揉みくちゃになりながら通うことを考えたら、きっと今のほうが豊かなのだろう。




二〇二三年五月四日

 玄関のドアをあけるとすぐ、みどりのにおいとおひさまのかおり。深呼吸の季節。グラウンドからとぶ「三遊間あいてるよー」の声。柔軟剤と汗のにおいがする体操着の群れ。そろそろ、ながめの連休がほしい。





二〇二三年五月五日

 歩き慣れたみちでも、上を見上げてみるとあれ、こんな景色だったんだって気がついたりする。ふだんわたしは、ほんとうに何もみていないんだなとおもう。もったいない。



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