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アフガニスタンで食料危機に直面する人々を支える Vol.2

こんにちは🌞ニシザワです👩
先月、わたしたちが実施したアフガニスタンで深刻な食料危機を直面している人々への支援を紹介しました。

CWS Japanは食料危機に直面している脆弱な人々に1人でも多く支援を届けられるように、特に社会経済的に権利を著しく制限されている女性を対象として支援を継続することにしました。



まだ続く深刻な食料危機

アフガニスタンでは、紛争や自然災害(干ばつ、洪水)の影響による農産物の減産や価格高騰に加え、2020年以降は新型コロナウィルス感染症(以下「COVID-19」)の影響が重なり、深刻な食料危機に見舞われています。食糧不安はすでに極限状態に達しており、国連によると、2022年時点でアフガニスタンの人々の実に95%が十分な食事がとれていないことがわかっています[1]。アフガニスタン全国で、2,830万人が人道支援を必要としており、そのなかでも食糧支援のニーズは2,120万人と分析されています[2]。

CWS Japanは前期事業に引き続き、アフガニスタンのナンガルハル県を対象地域としていますが、ナンガルハル県でも状況は深刻です。ナンガルハル県は、各分野のニーズ、深刻度、規模、分や間のニーズの重なりなどの分析の結果、アフガニスタンで支援を必要とする対象者が最も多い地域の3番目に該当します(カブール(450万人)、ヘラート県(200万人)、ナンガルハル県(120万人))[3]。これは、危機的かつ緊急レベルの食糧不安と栄養失調に直面している人々が都市部に集中しているためであるとされています。

また、アフガニスタンは、温室効果ガスの排出量が最も少ない国の一つですが、気候変動に対して最も脆弱な国のトップ10に入っており、その影響は、干ばつの頻度の増加としてすでに顕著になっています[4]。ナンガルハル県でも、気候変動の影響による災害の増加やそれに伴う水不足により、農業や家畜が深刻な影響を受けています。ナンガルハル県は比較的肥沃な土地で、歴史的に農畜産業に従事してきた地域であり、小麦、トウモロコシ、野菜、サトウキビなどが栽培されます。ですが、昨今の気候変動や水不足により、農業セクターの荒廃が進み、失業率と治安の問題にもつながっています。

現地で行った独自のニーズ調査の結果によると、対象地域では、伝統的に家禽かきんの飼育・生産がなされており、貴重な収入源になっていますが、気候変動のせいで食料面や衛生面で十分な環境が整えられず、鶏の餌が枯渇し、鶏が死亡してしまうこともあることが分かりました。当該調査の回答者全員が、対象地域には家禽の検査やワクチン接種を行う人がおらず、無料サービスもなく、治療費よりも高くつくため、容易に病院のサービスを利用できないと回答しました。そのほかの課題としては、家禽の飼料、薬・ワクチン、技術的アドバイス、(えさやり、疾病管理、基本的治療、農場設立の知識)についての研修、技術用具が必要だという声があがりました。

前期事業で行った現金配布の様子 @CWSA

事業概要

アフガニスタンのナンガルハル県の裨益世帯に対して食料へのアクセスが改善されるように緊急的な現金キャッシュ支援を実施します。この活動では、最も脆弱な女性およびその家族が健康的で十分な量の食料を入手できるよう、1回84米ドル相当の現金配布を2回行う計画をしています。

また、現金を受け取った裨益世帯は養鶏支援も受けることで、各世帯の収入の安定・増加を目指します。最も脆弱な女性およびその家族の収入増加のために鶏の現物支給に加え、ワクチンおよび養鶏資材の提供および意識啓発・養鶏研修を実施する予定です。

このようにして、喫緊の食料不足といったニーズに対応するだけでなく、中長期的な食料危機への対応力を向上するための能力強化を目指します。

今後、事業の進捗についてnoteでも報告させて頂きますので、どうぞ、引き続き、皆さまからの温かいご理解とご支援をよろしくお願いいたします。

※CWS Japanに対する寄付は税控除の対象になります。

(文:プログラム・マネージャー/広報 西澤紫乃)


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<参考文献>

[1] UN, Afghanistan: Food insecurity and malnutrition threaten ‘an entire generation’ | UN News, 12 March, 2022, アクセス日2023年4月10日

[2] UNOCHA, Afghanistan Humanitarian Response Plan 2023 (March 2023), 9 Mar 2023, p.169.

[3] UNOCHA, Afghanistan Humanitarian Response Plan 2023 (March 2023), 9 Mar 2023, p.21.

[4] Afghanistan Analysis Network, The Climate Change Crisis in Afghanistan: The catastrophe worsens – what hope for action?, 6 Jun, 2022 アクセス日2023年4月14日


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