内水面漁協の組合員制度はすでに崩壊済み?| つりチケ内水面漁協向けアンケート1

前回の記事で、内水面漁協対象の制度面に関するアンケート結果をアップしましたが、この記事以降は、各質問項目chapter毎に、詳細見て行きたいと思います。

chapter1は、「組合員について」。

■chapter1. 質問項目と回答結果一覧

質問項目は以下の通り。

回答結果は以下の通り

■法通り認定出来る組合員ってそんなにいないんです!?

その中で、一番の回答ポイントは設問1-1かな、と思っています。

組合員資格に該当する組合員の実態

この質問は、行政内部の人には出来ない質問。
何故なら、内水面漁協として成り立つには、都道府県知事の認可が必要で、組合員が20名以上いないといけないため、組合員資格の「水産動植物の採捕、養殖又は増殖をする日数が年間30 日以上」に該当する組合員が実際はその人数いなかったら認可取り消ししないといけないし、それを調査しなかった行政が責められるから。

でも、実際は組合員資格に該当するのがそもそも3割ぐらいが一番多く、それ以上に「未回答」が一番多い。たぶん、これ正直に答えてはいけない、各漁協の回答者皆さまが警戒された結果かと推測(^^;)

その推測も含めると、資格通りに組合員がいないけど、組合員でいてくれないと困るから多くの人(組合員の平均7割程)は書類上や賦課金徴収で組合員になってもらっている、というのが実態に一番近いかと。

この結果は、実態が制度に合っていないし合わせられない状態なのに、無理やり制度に合わせている実態が浮かびます。

行政も制度維持のために実態に目をつぶりたいし、
各地域の内水面漁協も解散すべきではない、という使命感なのか義務感なのかが働いていて、でもどう繕うことも出来ないし維持も出来ないので年平均5件以上ペースで解散・合併、が続いている、というのが実際のところ。

それって、そのまま続けててもこの仕組みに未来無くないですか?

■組合員の概念を拡げるのはどうだろう?

以下設問1-5.ですが、質問意図としては、
・資源管理する主体は必要で、内水面漁業協同組合に担ってもらうことを前提に考える
・その場合に、漁業だけでなく、川の魚資源を使う人と広く解釈し、釣りを中心とした観光やレジャー産業の人(キャンプ場や飲食等)も組合員になってもらえる、という制度にして組合の間口を広げる
という案は半々の結果になりました。

こういうのは、その生の声も重要だと思うので、賛成・反対の生の声もアップしておきます。

賛成派は
・すでに漁業を生業にしていない(実態は内水面全般ほとんど)
・地域に潤いが回る形
と実質的な意味合いを考えてもらっているイメージ。

反対派は、
・組合活動の理解と協力自体が重要
・商売/利益優先が組合内部に入って運営が変質してしまう恐れ
といった内容がありました。

私個人の意見としては、組合活動の理解と協力は、川の魚資源があればこそ自分達にも返ってくる、と考えると組合活動の目的(基本は漁業出来る様に魚資源管理とその環境整備も合わせて実施)と合致すると思います。
また、利益優先かどうか、は、実際今の組合員の中でも、自分の家近くに魚を放流してもらうようにクレーム?入れるような人の話も様々な場所で聞くように、一定の地域内の調整は必要になり、ある個人の利益優先に近い話は普通に関係性で生まれています。そこは組合に協力的でない人を除名する仕組みも一緒に組み込めば良いのではないな、と思ってます。

■組合員制度に関するご意見

組合員制度に関する各内水面漁協(組合長や職員より)のご意見も載せておきます。

・実情に合っていないと感じている人は多い。(住所要件のみで日数要件無しにしようとしても、県に認められなかった事例あり)
・組合員概念を広げるや加入要件下げる等融通を利かせられる必要性。
・組合員制度自体の重要性を感じてる人はいる(地域の守り人としての仕組みとしては重要だと思ってます。個人としては増殖と遊漁料徴収は内水面漁協から切り離したらいいとは思ってますが。)
等が複数上がっている声でしょうか。

後、1件だけですが
・海面と内水面は別の制度にした方がいい(これは常々感じてます。生業である海面と違い、内水面での活用は今の時代基本生業ではなくレジャーが大半)

■組合員制度に所感

組合員制度自体を考える上で、そもそも内水面漁協が何のためにあった方がいいのか、から考えるべきだと思ってます。

個人的には、基本条件として
[国]魚資源管理を地域に任せつつ、適切に管理されるようにしたい
[地域]川の資源は優先的には地域住民のもの。外部者は一定のルールの元に使うようにしてもらうなら良い。
[前提条件]魚資源管理・運営のためのリソース(人・モノ・金)は必要
が満たせれば良いと考えていて、かつ
[必要条件]運営にも水産と経営(出来れば+河川環境)のノウハウ・経験・スキルが必要
がある状態を作れれば良いと考えてます。

そう考えると、
①今の内水面漁協制度から、増殖義務と遊漁料徴収は切り離し、それが出来る組織が担えるようにする
②内水面漁協は地域の調整役と協力者という形に制度変更
③②役割の内水面漁協が①役割の組織と人を認定(最近よく行政運営で出てきているPFIを、地域住民で選定してもらうイメージ)
④行政が抜き打ちチェックで資源管理が出来ているかチェックする機能を各都道府県の水産研究所に持たせ(または②が実施)、資源管理出来ているかの実態で認可継続判定する
といった点がポイントかと。

そのような観点で考えると、
・組合員制度自体は漁協の役割変えて残す
・組合員要件の「地域要件」は一定人数は確保(理事にも一定人数は確保)、「日数」は無し(代わりの川の魚資源に対して便益を持つ人は皆入れるような組合制度にする)
みたいな組合員制度に出来るといいのではないか、と思います。
(そうなると、すでに「漁業法」の中ではなく、別の地域管理団体になるかもですが、、林野庁も「森林サービス」といって林業以外を取り込んじゃっているので、それぐらい概念拡張しちゃっても良いと思いますが。)

。。すでに出来ていたアンケートの考察だけだったのに、アンケート分類1つ目で2時間かかってしまった。。
ちょっとこれぐらいで、次の記事に行きたいと思います。。

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