短歌まとめ_8
直近の採用歌や賞の結果などについて書きます。
※敬称略
1. 新聞歌壇
読売歌壇 俵万智選 入選 2021.10.4
迷わずにいられるように人生をあみだくじだと思うことにする
毎日歌壇 加藤治郎選 入選 2021.10.25
掃除機をかけてる家がどの家かわからないまま秋になったよ
東京歌壇 東直子選 入選 2021.11.7
水たまりを踏み抜くときの迷わなさ今なら会いに行ける気がして
毎日歌壇 加藤治郎選 入選 2021.11.16
カレンダーが残り2枚になっていてひかる小石をまださがしてる
東京歌壇 東直子選 入選 2021.11.28
ほどいてもほどいてもある結び目の先はおそらく臍の緒だろう
日経歌壇 穂村弘選 入選 2021.12.4
きみとふたりコイン精米機のなかで暮らせないかと本気でおもう
東京歌壇 東直子選 入選 2021.12.5
賽の目に切った豆腐を眺めつつアンダルシアの片隅に立つ
2. 『Meets Regional』岡野大嗣と詠むレッツ短歌!
偽物のサンタからもらうティッシュには”高額バイト”がぎらぎら踊る
岡野大嗣さんより評をいただきました
【評】クリスマスの欲望の化身めいた「高額バイト」に、魔法が解けていく臨場感が宿っている。
『Meets Regional』2022年1月号より引用
3. 『ダ・ヴィンチ』 短歌ください
第164回 穂村弘選 テーマ「納豆」
親戚が帰ったあとに残された納豆巻きがすごくおいしい
穂村弘さんより評をいただきました
【評】お鮨のような御馳走の中では残されたりもするけど、単体で食べるとやはり「すごくおいしい」。そんな独特の存在感が伝わってきます。
『ダ・ヴィンチ』2021年12月号より引用
4. うたらば
月刊うたらば テーマ「耳」
うさ耳をつけたまんまで店長がバイトを叱るバイトは黙る
月刊うたらば テーマ「独」
レトルトのカレーがからだに沁みてゆく独身最後の日の夜のこと
5. 角川短歌賞
第67回 角川短歌賞 予選通過
『角川短歌』2021年11月号 2首掲載
道端に診察券が落ちていて知らないひとよ元気でいますか
16時からは暮れゆく空を見てました定時の5分前まで
「旅だと思う」木村槿 より
6. 全国短歌大会
第五十回 全国短歌大会
楠誓英選 佳作
ぽつねんと佇む月に寄り添えるたったひとりの暗闇がいる
楠誓英さんより評をいただきました
【評】光(月)と闇。「ひとりの暗闇」は作者自身の姿であろうか。
『第五十回 全国短歌大会選歌集』より引用