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嫁に当たってはいけません‥倒産の手続き。

義父の事業をたたむことにしました。倒産です。義父個人も自己破産することにしました。

今からもう20年以上も前のことです。その時の詳しい手続などは忘れてしまいましたが、
牧師先生に紹介していただいた弁護士の先生に「書類の制作など自分たちで出来るからやってごらん、わからないことは教えてあげるから」と励まされ、アドバイスをいただきながら申請書を作成し地方裁判所に破産の書類を提出したことを覚えています。

申告漏れがあると借金が残ってしまう為、義父の負債先や負債金額の漏れがないように、事業を整理しながら調べていきます。
銀行保証協会が2社と民間の金融業社など全部で10社もなかったと思います。
これが何十社とあると本当に大変なことになるため10社内でよかったと思ったことと、ほとんどが事業資金でつくった負債だったので金額もわかりやすく綺麗な借金で助かりました。

自己破産手続きで気を付けることは、
負債の全てを申告することです。
手続きが進むと申告漏れを追加で申請できない事があり注意が必要です。
後から「こちらも出てきたので、追加でお願いします」と都合よくは出来ないことがほとんどなのです。
実は、わたし達も数ヶ所の企業の負債を発見し、慌てて弁護士さんに相談したところ「無理かもしれないが諦めずに地方裁判所に追加申請の相談してごらんなさい」とアドバイスをいただきました。

夫とわたしは徹夜で書類を準備し、今度こそ抜け落ちた負債はないかと
確認に確認を重ねて、出来た書類を眠たい目を擦りながら提出したことを覚えています。
幸い、最初に申告した日から日にちを置かずに追加申請したい旨を地方裁判所に書類を持って相談しに行ったことで追加の申告を受け付けて下さったのかもしれません‥わたし達のケースは稀なケースだと思います。

1回自己破産すると7年間は出来ないと当時の情報で言われていたました(現在もその様ですが断定出来ません。必要であればご自身で調べていただくか専門家に伺ってみてください。) 
追加申告が間に合った時には安堵しました。
わたし達夫婦で、義父の事業負債を調べきれないものは
督促状などの有無で判断しました。

逆を言うと督促状が来ていなかった民間企業が一社だけあり、結局そちらはわたし達が細々と毎月10000〜30000円ずつ返済して対処しました。
負債額が大きく、利率も18%と高いため完済することは難しく
再度弁護士さんに相談すると
「お父さん(義父)が7年後にまた自己破産するか、お父さんが亡くなる時に息子さんが遺産放棄したらいい」と教えてくれました。

今は無職のわたし達も、事業を畳んで落ち着いたら再就職もするだろうし、家族も増えているかもしれない‥。
7年後に、歳をとった義父が一人で破産手続きをすることは現実的には難しく‥今はわたし達がお父さんの代わりに借金を返済しつつ‥
お父さんが寿命を全うしたその時は、遺産を放棄したらいいと思い
『遺産放棄』を選びました。
その選択が、後に親族から総スカンを喰らう大変なことになるなって、その時は思いもしなかったのです‥。

(義父とはその後、同居して最後を看取るまで
笑あり、涙ありの日常を過ごすのですが‥そちらは後ほど日記に書きます‥)

義父の遺産放棄の手続きを進めていく日がやってきました‥。
お父さんの葬儀には、離婚していたお母さん(義母)もお父さんと疎遠になっていた妹夫婦も来てくれました。

夫が「実は、お父さんが自己破産した時に申告漏れの残った借金があって、遺産放棄の手続きをしようと思うんだけど‥」
妹さん「相続するプラスの遺産もないからね‥いいんじゃない‥」
夫「多分、僕もはるえ(妹)も放棄の手続きをしないといけないと思うからその時は連絡するから‥」
妹「うんわかった、待ってるね」と軽い会話

その時すでに病で倒れ障害を負っていた夫に代わり、
手続きの方法などを調べて動くのは‥わたしなのです‥あぁわたしはどこまで良い人なんでしょう(と言葉に出来ない皮肉をつぶやくわたし‥)

それは今から10年以上も前の話し、
携帯電話でインターネットで調べものをするよりも、
電話などで問い合わせるのが手っ取り早く感じていたわたしは、
区役所で、『法律相談』が出来る案内を見つけて相談すると‥。

弁護士さんは過酷にも‥
「遺産相続権は配偶者やその子どもだけではなく(離婚している義母は除く)
血の繋がった義父の兄弟姉妹。
更に兄弟姉妹が亡くなっている場合はその子どもにも権利が及びます。
対象になる親族は全員遺産放棄する必要があるのです。」と仰った‥。
わたしは受け止めきれず、
別日に夫も伴ってもう一度同じ相談にいきました!!
もちろん結果は同じ、
当たり前田のクラッカーです(すみません衝撃すぎて壊れてしまいました‥)

「えぇ、伯父さん伯母さんにも手続きしてもらう必要があるの!!」
「めんどくさい」と「どうしよう」が入り混じるわたしの頭の中‥。
夫の親戚一同は、もう風貌がやくざさんで、義母をいじめて離婚にまで追い込んだ面々なのです。
しかも、義父が雇っていた職人でもあったために、倒産の時には迷惑をかけた一人でもあるのです‥(実際にお兄さんと弟さんの二人を雇っていました。)
ちなみに、義父の兄弟は7人兄弟姉妹です。
しかも伯母様方もやくざのお姉さん風なのです‥。

伯父さん伯母さんはもちろん、亡くなった弟さんもいるから
従姉妹のみなさんにも手続きをしていただく必要がある‥。

もう絶対怒られる‥。

わたし達は、親族に迷惑を掛けては申し訳ないと、丁寧にことの次第をお話し、遺産放棄の手続きをお願いしたのですが‥。
伯父さん伯母さん従兄弟の皆様は子どもの頃から可愛がった夫には笑顔で話し、血の繋がっていない嫁に、今まで見たことがない態度で激怒し不満のたけをぶつけてくるのです‥

あぁ誰かに当たりたいんだなぁ‥
でも最悪な事態は免れたのに‥と思いながら‥わたしは少し心の風邪をひきました‥。

負の遺産の相続権が親族にもあることを黙っていたら、伯父さん伯母さん従兄弟の皆様は自動的に遺産を相続したことになり、
今度はおじさんおばさん従姉妹の方々それぞれが自己破産しなければならないのです‥責任は義父にある負債を丁寧に対応させていただきました‥嫁は頑張りましたよ‥。
(先にも言いましたが、この時点で夫は病に倒れて障害者でしたので‥嫁が頑張るしかなかったのです。)

遺産相続は、財産があってもなくてもマイナスでもプラスでも親族を巻き込む偉い騒ぎになるのです‥それでも‥。
嫁に当たってはいけません‥。

さて、話を義父が亡くなる前の自己破産手続きまで時間を戻します。

主人も連帯保証人になっていたので自己破産の手続きを進めていきました。

自己破産手続きが受理されると官報に30日間公示されます。
その情報を見てクレジットカード会社はリストをつくっていくのです、
所謂ブラックリストです。
一定期間クレジットカードが作れない、ローンが組めないなどが生じるのがこれです。

ただし情報の登録期間があるようで自己破産の場合の登録期間は、JICC(日本信用情報機構)とCIC(シーアイシー)で5年間、KSC(全国銀行個人信用情報センター)で10年間です。 登録期間が終われば、事故情報が消ると言われています。
(詳しくはわりません。必要であればご自身で調べていただくか専門家に伺ってみてください。) 

わたし達夫婦も義父と夫の手続きが無事に完了し、
夫の仕事先も義母方の親戚の紹介でIT企業に入社することができました。

「これでやっと子づくりができる。」「普通の夫婦生活を送れる。」と安心したのを覚えています。

どこにでもあるようなありふれた夫婦生活を過ごすことを路瑠は心から望んでいたのです‥。

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