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【ライブレポ】Merry Merry Idols in 仙台PIT

今年のクリスマスはちょうど週末に重なったこともあり、ライブアイドル界は一層熱を帯びていたように思います。
名古屋、大阪、あるいは川越、もちろん都内も。
メンバーの生誕祭に始まり対バンライブ、ワンマンライブなどが競るように組まれました。
TLを観るにどこも最強寒波を押し返すような熱いライブだったようですが、杜の都・仙台でも負けないくらいホットなライブが開催されました。

12月25日(土)、仙台PITにて@ JAMと仙台の芸能事務所STRATEGYがタッグを組んだ「Merry Merry Idols」が開催されました。

STRATEGY所属のグループ「chairmans」も含む、11組のアイドルが出演しました。
前半6組だけにはなりますが、ライブの感想をここから書いてみようと思います。
グループごとに濃淡があることはお許しください。

開演前のステージには、とてもゆるやかな時間が流れていました。
オルゴールバージョンのクリスマスソングが流れ、テンポが抑え気味なので落ち着いた雰囲気を場内に醸し出しています。
ステージ上手にはツリーがぽつんと立っており、この日が特別な一日であることを今一度強調してくれています。
会場の仙台PITは広く、それぞれのスペースも十分にあります。
スタンディングで1500人近くも収容できるのだそうです。
気分もゆったりとしてきて、ここから始まるライブがいいものになりそうな予感がしてきます。

PASTELL

この日一発目の出演者、PASTELLは「オープニングアクト」という扱いになっていました。
出演時間は15分と、他よりも5分10分も短いのですが、フロアの盛り上がりで観るとオープニングアクトなんてものではありませんでした。

どれほどPASTELLのファンの方があそこにいたのかは分かりようがありません。
推測での話ですが、おそらくフロアには始めましての人が多かったのだと思います。
他グループの名前やメンバー名がプリントされたTシャツを着ている人の姿がどうしても目立っていました。

でも、始まってみれば、知っている知らないの垣根はどこにもありませんでした。
千代田流季さんが伴奏に被りながら小刻みに呼びかける言葉に従い、フリコピやクラップの波が起きていました。
曲が動いていくにつれ、フロアの揺れは明らかに大きくなっていきます。
極めつけは「Seed of Departure」 のラスサビでした。
マサイが何個も発生していました。
一体感があったという書き方で嘘はないと思います。

この日を振り返ると、東京での対バン以上に、みんなでこの場を盛り上げていこうという雰囲気があったように感じます。
多くの人にとって仙台の地は遠征だったと思います。
ちょっとした旅行で生まれてくる高揚感や非日常感を、仙台PITという会場は大きな懐で受け止めてくれました。
大船に乗ると、なんでもできそうな気がしてきます。

デビューからまだ半年ほどしか経っていないことからくるPASTELLのフレッシュさも、会場には暖かい目で迎え入れられたような気がします。

メンバーは緊張していたかもしれません。
しかし、感じた手応えは大きかったの確信したのではないでしょうか。

◆セットリスト

M1. ドリームパレット
M2. Seed of Departure
M3. Evergreen

グループを観たのはなんやかんやで約半年ぶりになりました。
パフォーマンスのことで書くと、メンバー皆明らかに上手くなったと思います。
グループの先頭を切っていく千代田流季さんのややハスキーがかった歌声には、ほんのりと切なさがあります。
七川叶憂さんは、青色の照明の下「Evergreen」の落ちサビを丁寧かつ堂々と歌っていました。
小日向美咲さんは癒される笑顔もなのですが、高音に入ってミックスボイスぽくなるところは聞き応えがあり、今後が非常に楽しみです。
グループの和としてみても、その後の5組含めて振り返ったとき、一番聴きやすかったように思いました。

MCでは会場名の言い間違いもありましたが、あの日初めてPASTELLを観た、あくまでたまたまその場にいただけという方の記憶に残ったということではむしろよかったのかもしれません。
意図しない爪痕だと思います。

Fragrant Drive

一曲目に代表曲「胸の奥のVermillion」がかかり、照明は真っ赤に会場を照らしました。
曲名にあるVermillionはいわゆる朱色であり、赤はまたグループのカラーでもあります。
板橋加奈さんが挨拶をしながら会場を煽った途端、空気がFragrant Driveの味方になった気がしました。

時間の限られている対バンライブでは、単独公演以上に「ツカミ」が大事だと思います。
この日、フラドラの掴みは完璧でした。
パステルの流れをそのままに、会場の心を引き寄せました。
どういうわけか、大きく花柄があしらわれた真っ赤な衣装は、いつも以上に赤く映りました。

M1. 胸の奥のVermillion
M2. Dance Flight
M3. Snow Dust
M4. ふたりのストーリー

今シーズンの初披露がつい1,2週間前だった「Snow Dust」を除けば、下の動画と全く同じ流れでした。

各メンバーについて書いていきます。

動きをより大きく、力を込めているメンバーが多い中で、伊原佳奈美さんの動きや表情の柔らかさには心が休まります。
ただ、伊原さんの所作の柔らかさ・なめらかさはこの日披露されなかった別の曲のほうがより出ていると思っていて、その曲が披露された際に詳述しようと思っています。
なにももったいぶるわけではないのですが、ここだけは字数を使って書きたいと思っているところです。

片桐みほさんは、いつもステージ上からファンとのコミュニケーションが多く、とりわけ下手側に対するレスがものすごいのですが、この日も一層でした。
飛び跳ねてもいましたし、非常にテンションが高いのだと思いました。
片桐さんの見どころの一つは「Dance Flight」だと思っています。
ソロパートを歌う辻梨央さんを、他4人が倒れ込むように囲むとき、片桐さんはほぼ90度、綺麗にに身体を曲げます。
最後に両腕を天に伸ばすときには、ここまでかというほどいっぱいに伸ばしたり、伸ばせるところまで身体を伸ばしている姿は毎回目に留まります。
特に最後のシーンは、照明が落ちてシルエットになると一本の細い棒かのように見えました。

歌で言うと、前半パートは、落ちサビやメインのパート割が多いこともあって辻梨央さんが支配していました。
外向けのライブでは特に、辻さんの歌声はとても頼もしいです。

一方で、後半になってからは三田のえさんの存在感が目立ちました。
この二曲での三田さんは、かなり重要なパートを歌っています。
先に書いた、Fragrant Driveに味方した会場の雰囲気は、三田さんの歌う「Snow Dust」の落ちサビで象徴的に現れました。
この日、仙台PITのステージ後ろには大きな大きなスクリーンが掲げられており、ステージでのメンバーのアップやフォーメーションを捉えた俯瞰の画を綺麗に映し出していました。

「心から祈るのは君のことなの」

三田さんのソロの時、カメラは引いた目線でステージ全体を映し出しました。
センター前のほうで歌う三田さんが画面の中央にあり、画面下にはフロアの最前数列が映るという構図です。
スクリーンに目をやったとき、三田さんのほうに手やサイリウムの数々が一斉に伸びていました。
リアルタイムの感覚としては、来場者全員に配られたサイリウムが一斉に折られ、主役のアイドルに光が集まる、生誕祭のワンシーンかのように見えました。

ライブを少し後ろから見ると、スタフィオ、アプガ(2)、クマリデパート、POEMなど他グループのファンの方が手拍子やフリコピをしているのが分かりました。
PASTELLに引き続いてのこの光景は、こういう言い方をしていいのか分かりませんが本当に安心しましたし、うれしかったです。

今回のような何組も出演するライブは、出演者が多いだけにファンが散らばってしまいます。
各グループのライブを成立させるにはそこのファンだけではなく、他のファンの方がどれだけ乗ってくれるか、これが大事なんだと東京を離れた地で改めて思いました。
時間によっては雪が降り、予報通り寒くてしょうがない天気ではありましたが、ライブでは暖かさに触れました。

アップアップガールズ(2)

アップアップガールズ(仮)はもう数年も前に通っていたのですが、妹分として結成されたアプガ(2)については恥ずかしながら全くの初見でした。
ただ、「鼻リコーダー」という言葉だけはかすかに漏れ聞こえていて、読んで字の如くではあるとは思うのですが気になっていました。

この日それを初めて観ることができました。
二の足Dancing」という曲でした。

作詞は児玉雨子さん、作曲はmichitomoさんと、2010年代からのアップフロントを支えてきたクリエイターの力作です。
落ちサビに入るとき、鍛治島彩さんがステージセンターに向かって腰をかがめました。
いつの間にかそこに置いていたリコーダーを手にしたとき、ああこれかと少しテンションがあがりました。
落ちサビをかわるがわる歌うメンバーの横で、鍛冶島さんが鼻リコーダーを吹いていたのですが、もう他の人は見慣れているのでしょう。
何事もなかったかのように過ぎていくことが逆にシュールでした。

吸い込まれるように観てしまったのが、吉川茉優さんでした。
全く前知識もないグループを観る時、目が行くメンバーに偏りが出てしまうのですが、アプガ(2)の場合は吉川さんでした。
グループの全体像を知るにはあまり個人にばかりフォーカスしてもと思うのですが、不思議と目が行ってしまいます。
直感的な、反射に近いものかもしれません。

アプガ(仮)同様、アプガ(2)は結構弾ける曲が多いという印象で、8人という人数はかなりにぎやかです。
それでも、ソロパートで一人一人の歌声にフォーカスすると、かなり歌えていて素晴らしかったです。

綺星★フィオレナード

◆セットリスト
M1. Shu★parklinG!!×Ⅱ
M2. Eterna⁂Tenere
M3. Stella Ding-Dong
M4. La mia adolescenza.

クリスマスのイルミネーションに負けじと光を放つ曲で振り切ってきました。
つい先日開催された4周年ライブで披露されたばかりの新曲「Stella Ding-Dong」は3曲目に披露されました。
これもまさにキラキラとした曲です。

雰囲気を異にする「La mia adolescenza.」は最後に披露されました。
それまでの3曲の流れのまま浮ついた感じで終わってしまってもおかしくないところを、この曲の空気感に戻していた末永香乃さんは素晴らしかったです。
新メンバーの「りなさーん」こと猫宮りなさんも、前のめりになった乗り方が観ていて気持ちいいです。
ソロパートの歌い方は末永さんを彷彿とさせました。

この日のスタフィオメンバーの衣装は、それぞれの個性が出たクリスマスコスプレで、橘すずさんは白いウサギ?を模したような格好でした。
真っ赤なサンタさん風の衣装が多かったメンバーの中で、真っ白な橘さんは目を引きました。
そんな橘さん、所作の細かい所にも気を配っているのがよく分かります。
La mia adolescenza.」で頭を大きく下げたときなど、動きと一緒に下りてきたフードが頭にかぶさるシーンが何度もありました。
視界や聴こえ方の邪魔になるから外したいはずなのですが、橘さんはすぐには外さず、自らのパートを歌い始める直前にふっと下ろしていました。
フードを戻すことでスイッチを入れるかのようです。
この使い方にはしびれました。

POEM

この日は、数カ月ぶりのライブだったようです。
グループのツイッターは9月以来止まっていましたが、今回のライブを前にして再び動き出しました。

前後に出演したグループがそれぞれのカラーで賑やかだったこともあり、黒くて輪郭のわかりにくいPOEMの衣装はいわば異彩でした。

一人、目を引いた人がいます。
佐乃千夢さんです。
乃木坂系の強いビジュアルで、齋藤飛鳥さんみたいな雰囲気を感じていたのですが、それに加えて、表情や動きの少なさが印象的でした。
これはこれで、感情を込める系の水咲爽さんらとのグラデーションがついていいなとは思っていたのですが、後々調べてみると、どうやらこの日がステージデビューだと分かりました。
おそらく緊張によって、あまり表情などが硬く見えたのだと思うのですが、
ツイッターを観てみたらハンギョドンが好きとのことで、親近感を覚えています。

クマリデパート

曲の幅が結構広いと思いました。
シャダーイクン」みたいな電波ソング系もあったり、「ゴイリョクタラズ」のような本気で心を震わせていく、聴かせる曲もあります。
ワンマンライブのライブ映像が上がっていますが、声量とほどよく混ざるハーモニーを両立させているのが素晴らしいです。

極LOVE浄土」のMVには、寺田曲時代のハロプロ、もっと限定すればモーニング娘。の雰囲気があるというコメントを多く見かけました。
確かに、シンセの音がニュイーンと伸び、どこからか合いの手が聴こえる感じだとかは似ています。
極端なまでに開脚する振り付けも、ハロプロにいかにもありそうです。

真ん中に大きく「ク」の丸文字があしらわれた衣装は、これだけで派手なのでハデハデの照明や、この日特別にステージ上手に立てられたクリスマスツリーとも調和が取れていました。

後方で観ていましたが、七瀬マナさん推しの方が、七瀬さんパートの振り付けを完璧にコピーしていて、愛を感じました。
アイドルの動きよりも、ダンスのレベルが近いからかオタクの動きを見ているほうが意外と参考になるもので、振り付けが頭からなかなか抜けません。

クマリデパートのダンスを見ていると、先に書いたように足を大きく開く動きがあったりと、運動量が多いように見えます。
ただ、雑多なように見えてもステージ上ではかなりまとまっているので、一つの「デパート」には収まっていることが分かります。

正直、ほとんど予習もしないまま観た当初は少しの戸惑いに似たものもあったのですが、中毒性のある曲や振り付けは頭の中でリピートされ、だんだんと好きになっていきました。

偶然にも、翌日に行ったリルネードのライブでは、クマリデパートとの2マンライブ開催が発表され、行こうかなという向きに傾きつつあります。

以上がライブレポです。
いつもに増してまとまりが行方不明なのですが、ご覧いただきありがとうございました。

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