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【ライブレポ】NAGOYA IDOL SUMMIT (7/10,DAY2)

7月9、10の土日2日間にわたり、名古屋港にて「NAGOYA IDOL SUMMIT」が開催されました。
ステージはすべて屋外の、いわゆる夏フェスです。

名古屋港東側の公園やガーデンふ頭ひがし広場を使ったステージは全部で4つあり、埠頭では縦長の敷地内に3ステージが設置され、もうひとステージは道を挟んだ西側の公園内にありました。
こちらは観覧無料です。

自分は2日目、7月10日開催のライブに行ってきたのでそちらの感想になります。

季節は7月も半ばに入ろうかという頃、例年であれば長く続いた雨がちな天気からようやく抜け出し、観測上はまだ先でも体感では梅雨明けを迎える頃かと思うのですが、今年は梅雨が記録的な短さで6月のうちに過ぎ去っていったせいで本来感じるはずの時期に雨っぽさを一切感じず、かわりに梅雨明け宣言後に天気が崩れ気味になるという、不規則な天気でした。
計算がまるでできません。

この週末の名古屋は、戻り梅雨と高気圧で生まれた雨雲とが手を組み、予測の出来ない気まぐれな天気に覆われていました。
さえぎるものがない野外フェスにあって、雨は出来れば縁遠いものであってほしいものです。
それによってしか生まれない思い出もありはしますが...
しかしながら名港に行こうと決めた金曜夜に見た天気予報では、思いもむなしく土日は雨や曇り予報となっていました。
ものすごく嫌な予感がします。

行きはしないものの雲行きが気になり、ツイッターで検索しながら一日目・7/9開催のライブを追いかけていましたが、どうやら予報通り雨は降ったようです。
やってきたのは15時過ぎ。
しかもスコール級の雷雨でした。

220709天気図1_ピン

名古屋市内は一部警報が出たとも聞きます。
パラパラ降るくらいならまだ続けられたのでしょうが、公式ツイッターが「名港駅付近に避難してください」とアナウンスを出すレベルの豪雨でした。
ステージはおろか特典会も中断。
激しい雨の中、メインステージに立ったあるグループは1曲で打ち止めとなってしまったのですが、たった一曲のパフォーマンス中、フロアでひたすらツーステを踏んでいるファンの動画がツイッターに流れてきていました。
一曲やっただけでもうストップがかかったくらいですから、まともな人は雨をしのげるところにとうに逃げていてメインステージといえど人はまばらなはずなのですが、意に介さずみ続けている様子はシュールでもありますし、一方ではステージが止まるまでは絶対に足を止めないという、アイドルとの一蓮托生のようなカッコよさもあります。
真似の出来ない名人芸を見せられたような、尊敬に似た感覚も覚えました。

しばらくして雨は小康状態となり、1時間半程度押してステージは再開しました。
途中で打ち止めとなったグループも、時間は空きましたが再度仕切り直しでパフォーマンスを終えることができたようでした。

ただ雨はこれで終わらず、夜にかけてもう一度豪雨が襲ってきたらしく、一日目に行かれた方はかなりしんどかったのではないでしょうか。
カンカン照りはもちろんしんどいですが、大雨も体力をすり減らします。

7/10 朝

そうしてやってきた翌日の7/10。
改めて天気予報を見ても、昨日よりは若干持ち直してはいるもののはっきりとしない天気で、しかも現地にいる方からの話では朝の段階では雨が降っているということです。

対照的に関東エリアはいい天気だったのですが、だからこそそこから400km離れている地の天気がどうなっているかがわからず、追えば追うほど不安になっていました。
まだ一日目のような惨状にはならないだろうとは思いましたが、蓋をあけるまでわかりません。

名古屋にはお昼に着く予定でした。
行きしな、ツイッターや雨雲レーダーを気にしながら向かっていましたが、何回見ても自分が観る予定の午後の時間帯がすっぽりと雨雲に覆われています。
外を眺めていても、浜松くらいまでは晴れ間が覗くくらい天気が良かったのに、愛知に入り安城を過ぎてくるころには一気に空がどんよりとしていました。
レーダーはやはり正確なんだなとかいらないことを考えながら、名港のTLにほんの20分前くらいのツイートで「雨が強い」という書き込みを見つけてしまいました。

レーダーなどを眺めての楽観的な予想では、午前中は降っていても13時には止み、そこから降ることはない。
そう思っていましたしそうあってくれと願っていました。
その見立てからすれば、実際午前中に降っているのは想定内ではあったのですが、だかといって午後止んでいる保証はどこにもありませんし、午前中から降っていないに越したことはありません。

しかし向かう先はどんどん雨の降るほうに近づいています。
どうみても雨雲を迎えに行ってしまっています。
そうしてお昼、名古屋につきました。

ここからは当時の雨雲レーダーとともに、ライブ前後のことも含めて振り返っていこうと思います。

12:00 名駅

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ホームに下りてみるとやはり雨が降っています。
霧雨のような感じで、激しいものではありませんが予報通りあと1時間後に本当に止むのだろうか?と思ってしまうくらいには無視できない降り方です。
風を感じなく、空気が動く気配がありません。
それなのにやや寒い。

これは果たして大丈夫なのかと思いながら名古屋港に向かいました。
嫌なシナリオがよぎります。
名港線の存在は知っていたので、それに乗れば良いのだろうと思っていたのですが名駅からは繋がっていないらしく、金山だとか久屋大通だとかを一旦経由しなければなりません。

12:43 名古屋港

地下鉄名港線の3番出口を上がった先が「ふ頭交差点」になっていて、交差点を挟んで右手側、つまり西側に見えてくるのが名古屋港水族館で、左手、東にあるのがガーテンふ頭。
今回の目的地です。

名駅から名港までは直線10kmもありません。
上がっていくエスカレーターの先には前を歩く人の姿が見えてきました。
名駅での雨を目にしているので、流石に雨を覚悟しました。
しかし意外なことに、誰も傘をさしていません。
それでも気にならない程度に小雨は降っているのだろうと思い、上がり切ったところで空を見上げましたが一滴も落ちてきません。
助かりました。
午前中は降っていたのかもしれませんが、午後になってみればほれみたことかと言うように止んでいます。
レーダーの情報はかなりの精度でアテになるものです。

特設会場は名港駅から交差点を左に入り、大きな駐車場を外周して道なりに5分ほど歩いたところにあります。
道中、路肩に鈴なりになったバンの数々を目にし、同時に耳にはスピーカーから流れてくるいかにもといった歌声が入ってきました。
停車しているバンは言わずもがな、アイドルさんが乗ってきたものなのでしょうし、聞こえてくる音はまさに今ステージに立っているアイドルのものです。

埠頭の3ステージはアスファルトかなにかで固められた地盤の上に立っていて、その窪みにできた池や柵に付いた水滴が、先ほどまでの少なくない雨量を物語っていました。
本来ならば白っぽいグレーになっているはずの地面は黒ずんで、地べたに荷物を直接置くのもためらってしまいます。

220710ステージ構成

ふ頭にある3ステージは大きいものからSHACHIHOKODAGAYA(名古屋の人に「だがや/どえりゃあとか言うんでしょ」と言ったら怒られました。)、MISO(中日の蔑称でもあります)STAGEと愛知にまつわる名前がつけられていました。

13:00 SHACHIHOKO STAGE(Pimm’s)

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到着を午後一に合わせたのは、7人組アイドルグループ・Pimm’sのメインステージからこの日を始めたかったからでした。

220709ピムス集合


今年5月まで2年近く6人体制で活動してきたPimm’sは、9(!)周年記念ライブを開催した5月24日に7人目のメンバー・立仙愛理さんを迎えました。

もとはAKBのメンバーだった立仙さんは、2021年のグループ卒業後は女優や「AILI」名義でラッパーとして活動をしているらしく、すでにラッパーとしてはいくつものステージに立ちその名を上げているようです。
2ヶ月以上ぶりだった自分にとって、新生Pimm'sを観るのはこれが初めてでした。

9周年ライブでは新曲「Anthem」を披露したといいます。
8月末には「Anthem」を擁した新アルバム「RELIGHT」をリリース予定で、今はリリースイベント期間の真っ最中です。
この日も名港を終えた後、ヴィレバン名古屋でのインストアライブを行うことになっていました。
その前日は大阪。
ほとんど初めての遠征の地だったり帰り道だったり、それぞれのグループに名港へ至るまでの背景があります。

新体制とともに新しくなったSEで登場したメンバーの姿には、颯爽という言葉がよく似合います。
衣装はこの夏場にかけてよく着ているというベースボールシャツ。
それぞれのメンバーカラーに彩られたシャツを、メンバーは前を開けたりぴたっと閉じたりとそれぞれのスタイルで着こなしていました。

この日は中日のユニフォームを着た人をよく見かけました。
落合やドアラや荒木など…
都内ではあまり見かけない光景に、一時より下火になったとはいえ、未だ野球が文化として根付いていることを感じていたのですが、Pimm'sメンバーの格好はそんな光景にうってつけでした。
一曲目、光が差し込んできそうなイントロが流れ、それが何であるかを察したフロアからは声にならない声が上がります。
自分もその一人でした。
小林智絵さんが「kimi to boku」とフロアの方に指を指しながら曲振りをしました。
小林さんのユニフォームは真っ赤で、後ろには背番号の「2」が大きくプリントされています。

ミクスチャーロックアイドル」というだけあって、Pimm'sのライブはロック色が濃いです。
自分が立っていた下手側でよく見えた高橋真由さんを筆頭に拳を固め、東京から遠くはなれた港の波止場に存在感を主張していました。

アイドルのロックというと、割れそうなくらいの音圧や勢いでグイグイ押してくるというイメージがありますが、何というかPimm'sのステージはロックという語感から連想される岩石のような硬さだけでなく、どこかにゆとりがあるようにも感じます。

雨で濡れないようにステージ上のあらゆる機材には半透明のビニールがかけられ、だからなのかアンプから出てくる音には少々の粗雑さを感じずにはいられませんでした。
ホールやライブハウスなど閉じ籠った空間で聴こえてくる音の綺麗さは、潮風が当たる野外のステージには期待できそうもありません。
そうした意味では、この日のPAはおしなべて歌えるメンバーが揃ったこのグループの特性を活かしきれてはいなかったのかもしれませんが、その分メンバーの動きが目立ちました。
2m弱くらいあるステージに立つと、巨人に見下ろされているかのような感覚に陥る長身の高橋真由さんと川崎優菜さんが両サイドから腕の長さを活かして滑らかに踊る様子はひたすらにカッコよく、背丈では対照的な小林智絵さんや早川渚紗さんは、その分身体を大きく使っていながら遊びも残しています。

小山星奈さんの動きが以前観たときより格段に細かくなっているように感じました。
歌うまメンバーぞろいのグループの中でも落ちサビや歌いだしを任されることが多く、歌唱力を武器としている小山さんは、久しく見ないうちにダンスや表情の切り替えがはるかに良くなっています。

それでも一番気になるのは新メンバーです。
立仙愛理さん。
得意のラップを活かし、前体制でラップ担当だった川崎さんの後を継いで主だったラップパートを任されています。
恐らく加入の経緯はラップの腕を請われてのことだとは思いますし、上手いのだろうなとは観る前から思っていたのですが、生で聴いてみると確かに素晴らしい。
アイドルを追いかけているだけにラップという分野はあまりなじみがなく、アイドルだと自分が見ているグループではそれこそPimm’sくらいしかラップらしいパートがあるグループはないのですが、そんな自分でもすごいことは分かります。

「内容」「フロウ」「話し方」
これがラップの3大要素なのだそうです。
ただ、一曲がラップそれのみで完結するわけではなくあくまで曲の調味料に過ぎないPimm’sのラップにおいては、エッセンスこのは3つだけでなくもう一つあるのではないかなと、ステージを奥から手前、あるいはセンターに座り込んでリズムを刻む立仙さんを観ながら思いました。

それが、身体の動きです。
他のメンバーは周りでダンスに徹するなか、立仙さん自身もただ突っ立っているだけでなく動き回ってメロディーに溶け込み、時に軽く振りをつけながら語るように唱えています。
この溶け込み方が、たった1カ月と少しで身に着けたとは思えないほどとても自然でした。
グループアイドルのラップパートという、団体競技の中の個人戦をどう戦うのかという方法を見せてもらった気分です。
自らのラップパートを終え、背を向けた時背中に見えたのは「AILI」の背ネームに、「7」の背番号。
今の中日で、背番号7をつけているのはあの根尾昂です。
加入間もなく自分の居場所を作り上げた立仙さんに、頭が良くてスキーもでき、選んだプロ野球の道ではついこの間までショートを守っていたと思ったらある日突然マウンドに立って150km/hの球で勝ち試合のリリーフを務めてしまう、地元球団のプロスペクトの姿が重なりました。

メンバーの動きが目立ったとは書きましたが、後半にかけて浮かび上がってきたのは小山さんと林茜実里さんの歌声でした。
特に林さんは観ていない期間でかなり伸ばしたのか、シャウト気味の歌声や歌い終わりの語尾を上げる歌い方が様になっています。
単純に声として太くなりました。

「Pimm’sが雨を吹き飛ばしました!」
川崎さんはこう言いました。
実際の天気はPimm’sの30分のステージが終わるころまでまだグズグズしていて、ラスト「YES」では雨がパラっと降ってくるシーンもあったのですが、このころにはもうどうでもよくなっていました。
天気そのものではなく、雨に気をもむ不安な気持ちを払拭してもらいました。

現場に来てしまったからには、逃げも隠れもできません。
ステージのたびに著しく体力が削られていく野外ライブでは判断も鈍ります。
野外特有の暑さはなくとも、そうした開放的な心持ちにPimm’sがさせてくれました。

◆7/10 Pimm’sセットリスト
M1. kimi to boku
M2. 99.9
M3. SKY’S THE LIMIT
M4. Anthem
M5. Light My Fire
M6. GekiヤVacation
M7. YES

とはいえライブの間隙には空模様がやはり気になるもので、潮の匂いすら運んでこないほどピタッと止んでいる風がもどかしく、もう少し頑張ってくれないものかと思いながら続くグループを待っていました。

13:30 SHACHIHOKO STAGE(透色ドロップ)

Pimm’sは一般エリアの3列目くらいで見ていたのですが、グループの入れ替わりとともにその前にいた方たちが捌けて、そのおかげでスルスルと最前列に行けました。

下手から出てきたメンバーの衣装は、新曲「だけど夏なんて嫌いで」の白衣装に3月の単独公演「瞬間的記憶」の白Tシャツを合わせた格好でした。
前日も同じくメインステージに立ちましたが、この時のトップスはこの5月から6月にかけて開催された「2nd Birthday Live Tour」の黒のツアーTシャツだったそうです。

橘花みなみさんをセンターに置いたフォーメーションを観たとき、一瞬「君が描く未来予想図に僕がいなくても」かなと思いました。

「予想図」の最初の立ち位置は確かにセンターこそ橘花さんですが、他のメンバーは橘花さんを間に挟んだ縦2列となっていたはずで、一人一人の間隔が空いてバラバラに立っているように見える目の前のフォーメーションはどうも違う気がします。
では何の曲だろう。
メンバーの表情を見ても、明るい曲なのか切ない曲なのかすら読めませんでした。
やっとわかったのは、全員がその場に腰を下ろしたとき。
姿勢正しくすっとしゃがんだのを見てようやく「衝動」なのだと知ったのでした。

何度も書いて恐縮なのですが、透色ドロップの良さはド頭に「衝動」のような曲を持っていけるところにあると思っています。
「心が叫ぶ(揺れる) それが衝動」
「迸った希望の予感を ただ確かめていけばいい」

難しいことは後回しでいいから心が叫ぶままに走り出せと、全編前しか向いていないような歌詞ではありますが、メンバーはこれを訥々と語り掛けるように表現します。
おかげで雰囲気は必ずしも明るいものではなく、それだけにラスサビにかけての「降り出す雨が祝福してる」というフレーズが一層希望を帯びてくるのですが、陽か陰かでいえば陰のほうに分けられるこの曲を、野外フェスの一曲目にチョイスできるところがらしさであり最大の武器です。

夏の野外フェスという、字面を観ただけで楽しくなってしまいそうなイベントを迎えるにあたり、テンションをハイにする盛り上がり曲だけで埋めるのがセットリストの定石かなと思います。
そうした曲は普段の対バンライブでもかかることから耳なじみがあります。
見た感じ多くのアイドルはそれを狙ったセットリストの組み方をしていたようでした。
ステージで圧倒してしまうのではなく、ファンと一緒に作り上げていくということです。

そこにあってチョイスされた「衝動」は異彩を放っていました。
極めつけは続いた2曲目「アンサー」。
「変わりたい」けれど「変われない」、そんな「臆病なココロ」は他人のせいでもない、他でもなく自分自身の心にあるのだと言い聞かせる、これまたメッセージ性の強い曲で、メンバーの表現は衝動に輪をかけて迫真です。

ただ以前はもっと真顔でにらみつける表情が目立っていたのが、この日は見並里穂さんなどに笑顔が覗いたりしていて、これまでともまた表現方法を変えてきたようにも見えました。

立仙さんがPimm’sに加入したのとまさしく同じ日にちに、透色ドロップにも新メンバーが加わりました。
岡山県からやってきた最年少、梅野心春(こはる)さんです。

その直後から始まった東名阪福を巡るツアーからグループに帯同していますが、梅野さんもまたこの1カ月とちょっとの間にすっかり透色ドロップに溶け込んでしまいました。
この日は表情のつくり方が非常によく馴染んでいました。
以前のライブレポで「メンバーの表情が互いに似てきている」と書きましたが、見た感じでは梅野さんもそこに違和感なく加わっています。

衝動」「アンサー」ときて、25分枠の残り3曲はがらりと雰囲気が変わりました。
ライブ仕様の長めのイントロが流れてきたところで「ネバーランドじゃない」と分かります。
先ほどまでの表情はどこへ行ったのかというような明るさでメンバーが一人ずつ元気に自己紹介をし、真ん中の花咲りんかさんが振り付けをレクチャーします。
「サビで私たちが『夢の中~』と言ったら右手を出して右、左と振ってください!」
このセリフは、以前の単独公演「瞬間的記憶」あるいはその前の「透き通る衝動」のアーカイブにも観ることが出来ます。
花咲さんの導入のセリフには続きがあります。
「皆さんを夢の世界にご招待します!」

この曲はレクチャーされた振り付け以外にも簡単な動作が多く、ちょこまかした動きは真似しているのが楽しいです。
全部で17曲ある持ち曲のレパートリーは豊かで、そのおかげでセットリストの前後で全く別物の空気が生まれます。

次の曲のイントロは「ネバラン」のアウトロにかぶさって流れてきた気がしました。
心のどこかでこの曲が来ることを期待していたのかもしれません。

4曲目は「夜明けカンパネラ」。

ここ最近の透色ドロップのライブを見てつくづく思うのが、メンバーの総合的なパフォーマンスが素晴らしいということです。
この日の高いステージは目線の動かし方が難しいものの、メンバーは遠くのほうを見つつ手前に固まったファンにもちゃんとレスを送っています。
歌声も強弱が分かるくらいにしっかりでています。

グループとしてフェスや対バンでのメインステージの経験はまだ多いほうではないものの、この先増えていくのだろうなと予感させられたライブでした。
この「NIS」で、出演する3ステともにメインステージであることが決まったときのメンバーのツイートには、そうそうたるグループと同じステージに立てることへの新鮮な喜びがありましたし、まさかメインステージに、という驚きも含まれているような気がしました。
しかし、ステージを観てしまえばそれも必然だったのだと感じます。

最後は「だけど夏なんて嫌いで」。

もうすぐ透色ドロップの時間が終わってしまう名残惜しさは、晩夏の気配を感じさせる「だけ夏」で増幅されます。
サビの振り付けには両手を振りながら上げ下げし、ステージを前後に移動する動作があります。
下手側にいた佐倉なぎさんの表情がここで目に止まりました。
6月26日開催の2nd Birthday Live Tour、ファイナル東京公演のアンコールラストに披露されたとき、ここのパートで佐倉さんは泣きそうな顔をしながら手を振っていました。
アーカイブ用のカメラは上手から中央を抜いていて、上手いことその姿は映っていなかったのですが、後で直接確認したらやはり感極まっていたようです。
泣いたのは6.26だけだと言いながらも、少しうつむき、唇をかんだような佐倉さんの顔つきは、あの日のデジャヴかのようでした。

他のメンバーは泣いてこそいませんが、自分は佐倉さんの気持ちがすごくわかる気がします。
この曲を聴いていると、心のどこかに眠り込んでいるノスタルジーが呼び起こされる感覚があります。
ぽつんと立った古民家でのソロカットや、橘花みなみさんが自転車をこいで田んぼを横切っていくシーン、あるいは夕陽を背中に受けならが全員で踊るシーンなど、画質は令和のそれなのにどこか懐かしいです。
ライブの終盤で披露されるときには名残惜しさが加わり、何とも言い難い寂しさが募ってきます。
そうして出てきたのが佐倉さんのあの表情なのかなと、勝手な予想ですがそう思っています。

フリコピメインの曲が続き、気が付いたら背中にすっかり汗をかいていました。
心なしか空も明るくなってきている気がします。
上を向けば何層もの雲にさえぎられてはいるものの、その向こうには太陽の存在を認めることができます。
もう雨は降ってこないのかもしれない。
名駅についたときには見るからに雨の空気で、雨の下しばらく外にいたら身体が冷えちゃうんじゃないかと思うくらい涼しかったのですが、今背中を濡らしているのは汗のみです。
暑いという感覚を得たのは、名港に来てこれが初めてでした。

◆7/10 透色ドロップ セットリスト
M1. 衝動
M2. アンサー
M3. ネバーランドじゃない
M4. 夜明けカンパネラ
M5. だけど夏なんて嫌いで

ところで、この日のセットリストは、もし自分選べたとしてもそっくりこの並びにするだろうなというくらい自分好みでした。
ワンマンライブに次いで、多くの人が押し掛けるこうしたフェスもグループにとっては大事なイベントのはずです。
特に経験の少ないメインステージでのライブともなればなおさらです。
チョイスされた曲はグループの顔や看板としての役割を担っているはずで、それに選ばれた曲が自分の嗜好と同じだったのは、今こうして透色ドロップのツアーや遠征などについていっている理由の一つなんだろうなと思っています。

13:55 SHACHIHOKO STAGE(#2i2)

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透色ドロップについで登場したのは「 #2i2 」。
女性モデルやタレントを多く擁する芸能事務所「ゼロイチファミリア」から2020年12月にデビューした、現在4人組のグループです。
今やゼロイチファミリアの勢いはすさまじく、SNSに流れてくる綺麗なグラドルやモデルさんを目にし、プロフィールをたどるとその多くが「ゼロイチ」所属となっている体感があります。

フォローしていなくてもたびたび見かけるということは自分以外の同じような趣味嗜好の人が少なからず注目しているということで、なるほどフォロワーの数も目を見張るほど多かったり「万バズ」を経験した所属タレントもかなりいます。
ビジュアルにもSNSにも強いタレントさんたちが吸い寄せられるように集まり、強固になった地盤をもとにフォロワーを伸ばしていく。
するとそれを見たニューカマーが厳選の上に入ってくる。
令和のアイドル界において、ゼロイチファミリアという事務所は組織の成長のお手本を示しているかのようです。

そんなゼロイチファミリアは、コロナ禍に立て続けに3つのアイドルグループを立ち上げました。
2020年コロナ直前にお披露目となった「 #ババババンビ 」にはじまり、「落ちこぼれ6人組」として2021年末に始動した「 #よーよーよー 」、そしてこの「 #2i2 」です。
自撮りを上げれば4桁のいいねをアベレージで叩きだすゼロイチアイドルのことですから、第一印象はどうしてもビジュアルに持っていかれてしまうのですが、ライブアイドルたる彼女らの凄いところはビジュアルの破壊力にも胡坐をかかず、ライブパフォーマンスがとても熱いということです。

むしろ、ライブの感想や記録にはビジュアルをことさらに取り上げた文というのはほとんどなく、ライブがいかに熱を帯びていたかが詳細に書かれています。

自分と同じようにライブに行った先で欠かさずレポを残している方を知っていますが、その方は#2i2のライブに足しげく通われていて、以前「今追いかけるべきグループ」だと評していました。
対バンで味見をして良いなと思うグループは多くても、ほとんどの場合はそこで満足してしまい、ワンマンや遠征についていこうと思わされるグループはごくわずかです。
年間200以上のライブに足を運び、良いものをたくさん目にしてきて目の肥えたであろう方のフィルターにも捉えられるくらいライブが素晴らしい。
ゼロイチファミリアとは、#2i2とはそういうアイドル集団なのでした。

自分がグループをまともに観るのは、昨2021年の2月末に都内で開催された「白金高輪横丁祭」というライブでした。
その時はまだデビューから2カ月くらいしか経っておらず、持ち曲を全て披露しても予定時間を余らせてしまうような状況でした。
間をつなぐため、ライブ中にトークタイムがあったことを記憶しています。
会話の内容もなんとなく覚えています。
たしかここに来る前に寄ったイベントが神田明神でのライブかなにかで、着物を着たことだとかを話していました。

それからライブを重ね、曲や知名度をじわじわと増やし、2021年の終わりには白金高輪の地にワンマンライブの舞台として立っています。
決して小さくないこの会場、もともとの知名度があったとはいえ1年間でそこに達することが出来たというのはライブアイドルの進歩の単位からすると目覚ましい発展です。
複数ステージにわたるフェス形式のライブでは、メインステージじゃないことのほうが珍しくなってきました。
もちろん今日もメインステージです。

今の #2i2 の衣装は、きわめてシンプルです。
白のノースリーブのロングワンピース。

その前には同じデザインで紺色の衣装も見かけたことがあります、
装飾をふんだんにまぶし、素材の良さを最大限に引き上げた衣装にすることはできたでしょうし、そうでなくともここまで簡素なデザインにするのはどうしてなんだろうか、何か理由があるのだろうかとずっと不思議でした。

しかし生で見てみて思いました。
もしかしたらこれは、ビジュアルが強い4人をパフォーマーに見せるための隠れ蓑となっているのではないかということです。
身体を反り返らせたり、前にかがんで髪を大きく乱れさせている4人の様子は、ダンスというよりも演舞、群舞のように見えます。
そこにはやはり衣装の力は見過ごせないはずです。
ビジュアルに目が行ってしまいます(この文章で何回ビジュアルと書いたか分かりません)が、それだけでなくいざライブとなってからはパフォーマンスを見てほしいというメッセージを、シンプルな衣装からは感じました。

音楽のスタイルは、各人が声を張り上げるラウド系とも言うべき歌い方なのか、奥ゆいさんの太い声が目立ちます。
十味さんは全てで安定していて、森嶋あんりさんは反り返り具合に目が行きました。
恐らく背筋をかなり鍛えているのでしょう。
いつも笑顔のイメージがある天羽希純さんは、声も想像通り細くて可愛らしいのですが、どこかの曲で深い低音をソロで発するパートがありました。
本人の出せる一番低いところまで出ていたかもしれません。
#2i2メンバーの声質は、聴いてみると得意とする音域がそれぞれ違って、高低差が大きいように感じていたのですが、高音ボイスの天羽さんがあえて最低音を歌ったところが良かったです。

1日目のステージで、雷雨により一曲だけで中断させられてしまったメインステージのグループとは #2i2 でした。
比較的雨に降られるグループとのことですが、この日は一切降られませんでした。

◆7/10 #2i2 セットリスト
M1.SUPER FIRE
M2.だってさ。
M3.どうでもいいじゃんか
M4.Shutter speed
M5.SCAR
M6.せめて月のように

#2i2の出番の後、お客さんが一斉にある場所に向かいました。
向かった先には、ゼロイチファミリアの物販レーンがあります。
早送りのように列がみるみる伸びていきます。

ライブと並行して行われる特典会の会場はメインステージと正対する位置にあり、海を背にしたこのエリアにはテントが横並びでずらっと並べられていました。
さながら地域のお祭りのようです。
テントの下には長机が置かれ、ブースの目印となるアーティスト写真やレギュレーションの書かれた紙などは、テントや机の脇に貼られて賑やかしとなっていました。

ただ、ゼロイチ勢の列はそのテントに向かって出来てはいませんでした。
どうもそこから少し離れた南側のスペースに特典会場を設けていたようです。
目当ての人の多さのあまり、列が伸びた挙句他のグループの列に食い込んだり、メインステージの客席にはみだしてしまうことを危惧してなのか、独立したところにテントが立っていました。
その予想通り、他アイドルの物販列に対して垂直に走ったゼロイチの列はどこよりも長かったです。

15:00 特典会場(透色ドロップ)

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透色ドロップの特典会は、14:40ごろに始まりました。
つくづく、汗も引かないままライブ直後に立ちっぱなしの特典会に臨まなければならないアイドルの大変さを感じます。
透色ドロップの特典会はメンバーごとに待機列を作るという形式なのですが、向かって左側の天川美空さん、梅野さん列のところには池のような大きな水たまりが出来ていました。
もう止んだとはいえ、こんなところにも大雨の影響があります。
メンバーの履いてきた白のローカットが泥で汚れているのを見て、たまらない気持ちになりました。

池に足を取られそうになりながら順調にチェキを撮り、橘花みなみさんの番になったときのことです。
晴れてきたね、推しに感謝したほうがいいよ」と言われ、視線を外に向けて気付きました。
ほんのわずかですが陽の光が覗いています。
隣の無人の特典会テントに出来た水たまりには光が反射していました。

来た時まで間違いなく雨模様だったのにもう晴れてきています。
結局雨雲をすんでのところで避けられたよう。
この日に限ればついていました。
テントの下の水たまりまでは消えませんが、到着した頃は黒ずんでいたメインステージのフロアは本来の色を取り戻し、白っぽく光るグレーに変わっていました。
もう荷物を置いても濡れなさそうです。

15:22 SHACHIHOKO STAGE → DAGAYA STAGE

メインステージは特典会場の正面にあるため、様子が気になるアイドルがたびたび首を伸ばしてライブを観ていました。
橘花さんなど隣のテントのほうまで身体を傾けて観ています。
アイドルだけでなくファンも同じでした。
待機列にいる時はステージに背を向けているわけですが、並びながらどうしても気になって後ろを振り返ったり小さく沸いている人もいたりして、みんなの心が特典会ではなくステージのほうにふわっと流れているようでした。
あるいは推しと話す緊張を紛らわすためのポーズだったのかもしれませんが...

自分が透色ドロップ列に並んでいた時に出ていたグループは、「Devil ANTHEM」と「なんキニ!」という、人気実績共に高い2組でした。
自分はなんキニ!の「青空交差点」がかかるころに特典会を終えました。
しばらくメインステージを観ながら「この人がマアヤチャンか」と思ったり、自分が今推しているグループ・Fragrant Driveの元メンバー・坂下雅さんをはじめて生で観られたことに感慨深くなりつつ、次の目的のために南西側のステージに向かいました。

続いて観るグループは、タートルリリー
ライブは15:30開始です。

出番直前の1時間は、真向いのステージでトークコーナーがあったためか、ライブがないブランクでした。
早めに行って休憩しようかなと思っていると、右手側の入り口からタートルリリーメンバーがてくてくと歩いてくるのが見えました。
敷地の裏側に関係者用通路を通せなかったようで、一般のファンと同じ所から入ることになったようです。
ステージ前のアイドルと鉢合わせることはたまにあります。
いつもそのたびに見てはいけないものをみるような変な後ろめたさを感じてしまい、目線を外して気付かない振りをするようにしています。
考えすぎかもしれませんが。

今回も一度見てしまった後はもう入り口側を観ないようにして、気にしていない風にしながら下手側の柵に陣取りました。
その位置からだとステージの後ろまで見通せるようになっていて、真後ろにあった結婚式場、さらにはその先に海まで一望できます。

15:30 MISO STAGE (タートルリリー)

トラックの側面をパカッとあけて作った即席のステージ(ステージトラックというらしいです。見た通りの名称です)にメンバーが登場しました。
お目にかかるのはこれが初めてのつもりです。
さっきのは見ていません。

前日に引き続きの出演で、衣装を両日で変えてきました。
昨日は3周年ライブ「Fun Time」からお披露目となったオレンジ系の新衣装で、この日は「真夏の空とキミ」。
青のチェック柄が涼し気です。

1曲目はクラップするパートが多く乗りやすい「イチコイ」からでした。

ライブ終わりの特典会で有川奏絵さんは、「悔しかった」と感想を漏らしました。
5人が立っていたMISO STAGEは有料チケットで入れる3つのステージのうちで一番小さいということもさることながら、照明がついていないという致命的な欠点がありました。
日が傾いていくころにかけて演者の顔が影になって見えにくくなり、昼間でも見栄えが少々寂しいです。
メインのSHACHIHOKO STAGEや向かいのDAGAYA STAGEでは、大きな信号機のようなカラフルな丸い照明がパフォーマンスを後押ししていましたが、この照明がMISOにはありませんでした。
タートルリリーの出番はまだ三時で、天気もちょうど回復したため、この日の中ではまだ明るい時間帯だったかもしれません。
ステージが影になるほどの暗さはなかったのですが、向かい合っているDAGAYA STAGEの様子はステージからよく見えたはずです。

ステージトラックでのパフォーマンス中、ファンの後ろに見える反対側のステージが豊かな色を放っていた時、心にはいくつもの感情が生まれてきたのだろうと思います。

有川さんはそれを「悔しい」ことだとストレートに言い表しました。
3周年ライブの時のMCコメントでも思ったことなのですが、有川さんは多分に負けず嫌いなのかもしれません。
そして、そうした性質を持つ人が皆そうであるように、悔しさを原動力としてここまできたのでしょう。

ステージトラックは照明だけでなく足元も悪かったそうで、ぼこぼこなあまり「穴を開けちゃったかと思った」と思ったそうです。
見えるところ、見えないところで引っかかるところはありました。
しかし有川さんはステージ場では顔に出しません。
目尻を下げた優しげな表情でフロアを見つめていました。

きよりんさんの大きな目は、アイドルにフィルターをかけるキラキラした照明がたとえなくとも際立ちます。
その目は自由に動き、レスをこれでもかと送っていました。
目の前にいたのに全然見てくれていなかった
ライブ後にこう言われました。
なにも見ていなかったつもりはないのですが、思っている以上にきよりんさんがフロアをよく見ているということなのだと思っています。

ラスト「真夏の空とキミ」にて、後半のソロパートを歌う清藤恵さんの首には大粒の汗が光っていました。
この姿は絵になっていました。
ステージトラックの背面も取っ払い、屋根なしの開放的なステージにしてしまえばもっと涼しくなってそこまで汗をかかなかったかもしれませんし、なにより奥が式場なのでより素敵な景色になっていたかもしれません。

◆7/10タートルリリーセットリスト
M1. イチコイ
M2. ダイヤの翼
M3. Fun Time
M4. 真夏の空とキミ

ライブレポとしてがっつり書くのはこの4組までですが、17時過ぎに会場を後にするまでに滞在していたメインステージ周りでの出来事を少し書いてみたいと思います。

16:05 特典会場(タートルリリー)

220710天気図6_ピン

ライブ後、再びメインステージ正面にある特典会場に向かい、タートルリリーの特典会を待ちました。
メインステージは予定されていた時間通りの進行になっているようです。
16時5分、列に並んでいるとき、周りがザワザワしてきました。

注目の的はメインステージにありました。
メインステージ12組目、照明の色がより映えてくる時間帯に「 #ババババンビ 」が登場したのでした。
ゼロイチファミリア発アイドルの第一弾グループである7人組の噂は、生で一度も目にしたことがない自分のところにまで届いていました。
ビジュアルを売りにするゼロイチ勢ゆえ「圧倒的な顔面偏差値」と称されるグループですが、ライブも圧倒的だと評判です。
Zeppレベルの会場を着実に埋め、10月には中野サンプラザでの単独ライブを予定しています。
少ないマスを取り合っている今のライブアイドル界で、サンプラザを満足に動員できる見込みのあるグループが他にどれほどあるでしょうか。
いかに圧倒的なビジュアルがあろうとそれだけではここまで到達したとは思えません。
#ババババンビ が、今のライブアイドルを引っ張っているグループの一つであることに疑いはないでしょう。
いざライブが始まると、特典会列にあっても多くの人が心ここにあらずで、それどころか実際に列を抜け出してメインステージのほうに向かう人もいました。
自分は多少気にしつつ特典会を順調に消化していたのであまり見られていませんでしたが、周りの反応だけでその人気ぶりをはかり知れました。

16:35 SHACHIHOKO STAGE (SUPER☆GIRLS)

#ババババンビ の出番が終わるのと、自分が特典会でタートルリリーの5人を回り切るのはほとんど同じタイミングでした。
特典会で列が進んでいく時間は読めないため、予定を組んでいた時点で観られるかどうかは怪しかったのですが、できることなら是非観てみたいなと思っていたグループがありました。
それが、この次に登場する「SUPER☆GIRLS」(スパガ)です。
特典会が早く終わり、図らずも間に合いました。
スパガは結成12周年を迎えたばかりです。
長く続いているだけにメンバーの移り変わりも激しく、今は6期生のオーディションをしているということです。
自分が知っているのは最初の頃に在籍していたメンバーだけで、現メンバーで知っているのは元GEMだった金澤有希さんのみです。

ライブアイドルと呼ぶにはあまりに有名なグループであり、普段自分が行っているところともなかなか重ならず、関わりとしては薄いです。
セットリストに入ってくる曲で知っている曲はもうほとんどありません。
それでも、自分が中学生のころから今まで長いこと看板を守ってきたスパガのことはずっと気になっていました。
夢アドや風男塾に感じるものと似た愛着です。

数少ない知っている曲の中で一番好きな「がんばって青春」が披露されることを期待しながらライブを観ていました。
結果として披露されませんでしたが、懐かしかったのが「赤い情熱」。
もう10年くらい前の曲のはずです。
萩田帆風さんと坂林佳奈さんの歌声が(メンバー違っていたらすみません)非常に良く聴こえました。
恐らくこの2人の歌声は、誰が聴いてもすごいと感じるはずです。

コロナ禍となってから、ライブ中のコールはなくなりました。
最近は部分的に復活しつつありますが、ライブアイドルのコールなんて5年くらい聞いていない自分にとっては、コロナ以前を知らないアイドルについてはオタクの声がどう入ってくるのかもはや想像もできません。
スパガメンバーはライブ中、他のグループ同様フロアを煽りました。
「オイ!オイ!」など、コロナ前には日常的に聞かれたお決まりの合いの手です。
もちろん声はないのですが、後ろのほうからこの様子を眺めていて、どういうわけかコールが聴こえてくるような気がしました。
煽りとともに上がる数々の腕を見ていて、後はここに声が入るだけだなという想像が容易にできたのでした。

評判になっていた新曲も良かったです。
Summer Lemon」。
月並みな話ですが、新曲が良いとライブの感想はえてして良いものになります。
売り出し中ということもあり、たいがいの新曲はリリース期間、定番曲にまざってセットリストに入ってきます。
定番曲は皆が知っているわけですから盛り上がったり良い曲だなと当たり前に感じるわけですが、ニューフェイスとして加わる新曲は別です。

新曲も他の曲と共に受け入れられるかどうか、これはかなり大事です。
新曲パートで心を掴まれればよりライブが魅力を増します。
主催でなく呼ばれた対バンへの出演ともなると、新曲以外は「勝てる」曲で固められる傾向にあるのでなおさらです。
ただ最新曲だからセットリストに入っているだけで、他の人気曲に混ざってしまうと盛り下がって反応に落差を感じてしまうパターンも、各アイドルで生まれてくるたくさんの新曲の中にはあったりします。

しかし「Summer Lemon」はそうではありません。
セットリストに入っているのは最新だからなのでしょうが、曲のポテンシャルだけでも入るに十分な気がします。
華麗なるV!CTORY」、「ギラギラRevolution」といった(恐らく人気の)曲にも無理なく溶け込んでいました。
6期生が入ってきてからもセットリストの主要な曲に選ばれ続ける気がします。
後でMVを調べたら、あの杉山勝彦さん作曲の曲だと知りました。
恐れ入りました。
どうりで良いはずです。

スパガをほとんど最後まで観て、名港を後にしました。
気が付けば腕が赤くなっています。
日焼けしていました。
日焼けなんて、雨をどうするかばかり考えていた昨日までは全く頭に及ばなかったことです。
晴れ間は無くてもしっかりと焼けます。
とはいえ濡れそぼるよりはマシでしょう。
天候に恵まれました。
この運がこれ以降の野外ライブでも続けばいいなと思いながら、5時間弱の観覧は終わりました。

帰り道、浜松あたりで月が見えました。
どうやら静岡西部はこの一日、雨を避けられたようです。

半日を振り返ると、高名なグループはそこに至るだけの理由があるのだなと感じました。
新興勢力・ゼロイチファミリアの知名度と実力を見せつけられ、老舗グループのSUPER☆GIRLSの地力を目にしました。
かといってメインステージでないグループに、そこに立てない決定的な理由を見たわけでもありません。
このラインは非常に紙一重であり、なにかのきっかけでひっくりかえる可能性は大いにあります。
そのうえで、小さな芽を逃さずに掴んで今のこの地位を勝ち得たメインステージのグループはなおすごいなと思ったわけです。

#ババババンビ 、#2i2、なんキニ!、Devil ANTHEM、SUPER☆GIRLS…どのグループも、都内の対バンライブに出ればライブハウスはお客さんでパンパンになり、時に入場規制がかかってしまうことさえあります。
一方でこの日のメインステージは、都内から離れた地であることと野外ならではの広々としたスペースのおかげで人でいっぱいになるということはなく、スペースに余裕をもって観ることができました。
視界はどこからでも申し分ないですし、かなり贅沢な見方をさせてもらっていました。

会場が近づいていくにつれて音量が増していき、心なしか早足になってくる自分に気付いたり、いざ敷地内に入ると常にどこからか音が聞こえてきます。
おかげで特典会はあまり会話らしい会話が出来ませんでしたが...
よそのスピーカーから聴こえてくるメロディーからは、なじみのないグループでも何処かで聞いたような感覚を何度か覚えました。
数こそ多くはないですがライブアイドルを日々見てきたからかもしれません。
お客さんが着ているグッズのTシャツは、グループの人気度の一つの指標です。
#馬馬馬小鹿 」、これは「 #ババババンビ 」の漢字表記ですが、このTシャツはよく見かけました。
偶然が生むこうした体験は、吟味と選択の上で足を運ぶ閉ざされたライブハウスでは得られません。
久々の野外フェスでしたが、雨もなく良いところのみを味わえた一日でした。

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