【ライブレポ】転校少女* LOVE IDOL TOUR 2021 東京ファイナル公演
4人組アイドルグループ・転校少女*は、2022年1月16日のライブをもって解散します。
グループの公式アカウント名の後ろには、解散までの日数がカッコ書きされています。
この記事を上げた12/3の段階では、あと44日しか残されていなく、ゼロになる日までもう2カ月もありません。
そんな転校少女*が、11/28に恵比寿LIQUIDROOMにてライブを開催しました。
「LOVE IDOL TOUR 2021」と銘打たれた秋ツアーの、全国6箇所を巡った後の千穐楽でした。
ライブの感想をざっくりと書くと、ここにきて、グループとしての完成を観てしまった気分です。
転校少女*は、2014年の結成当初からのオリジナルメンバーである松井さやかさん、塩川莉世さん、そして昨2020年11月に加入した佐々木美紅さん、成島有咲さんからなります。
7年も一つのグループで活動してきたメンバーと、まだ一年程度しか経っていない新メンバーで構成されているということです。
それに加え、塩川さんと松井さんは、パフォーマンス、特にその歌唱力でもグループの枠を越えてかなりの評判です。
そのため、経験と実力が備わった塩川さんと松井さんのみをフロントに、新メンバーは後ろに、という構図が自ずと出来上がってしまってもおかしくはないはずなのですが、この恵比寿公演での4人は対等でした。
誰が突出しているというわけではなく、劣っているわけでもなく。
おしなべてハイレベルなステージだったのがこの日の恵比寿でした。
とはいえ、成島さんと佐々木さんのパフォーマンスについてはいまに始まった話ではなく、加入直後やこれまでの活動でもその実力には驚かされていたのですが、より高みに上っていました。
各都市を巡った「LOVE IDOL TOUR」では、メンバー仲がより深まったといいます。
前からよそよそしい感じがあったとは見えませんでしたが、確かにこの日のMCのやりとりを観ていると、オリジナルメンバーと新メンバーとの距離感がほとんどないと感じました。
こんな素敵なステージが、もう2カ月も待たずに失われてしまうことが残念でなりません。
パフォーマンスの良さと、グループの存続とは別の次元にあります。
同じ土俵で語られるべきことではないのでしょうが、素晴らしいパフォーマンスを見せられると、解散なんて無かったことになるのではないかなんて妄想を抱いてしまいます。
ライブの中身に入っていきます。
◆セットリスト
「NEVER ENDING STORY」
この曲が描くのは終わりなき夢物語ですが、アイドルとは時間が限られているものです。
いつかは、音が止んでしまいます。
この日は転校少女*史上最後のツアーのそれもラスト公演でした。
それを踏まえ、序盤からメンバーの感情はピークに達していたようです。
松井さやかさんと塩川莉世さんは、ステージの真ん中で大きく抱き合っていました。
松井さんは直後のMCで「やばかった」と言っていました。
この時点で既に、様々去来する思いは高まり切っていたのでしょう。
「じゃじゃ馬と呼ばないで」
忘れないうちに書いておきたいのが、最後のパートでの塩川さん、松井さんの掛け合いでした。
このパートに、歌詞はありません。
音楽用語的にはスキャットだったりヴォカリーズだったりと呼ばれるらしいのですが、自らを楽器のようにして2人は歌います。
抜けていくような歌声は非常に綺麗で、伴奏を無視してもっと長く歌ってもらいたいと思うほどでした。
これが、「さやりせ」の一端です。
オリジナルメンバーについてここまでピックアップしましたが、とはいえ、冒頭にも書いたように、転校少女*を支えているのは、この二人だけではありません。
加入から1年経った佐々木美紅さんと成島有咲さんの伸びがあります。
その歌声にフォーカスします。
佐々木美紅さんの、鼻にかかったような歌声は、誰と混ざってもはっきりと聴こえてきます。
他の3人はハイトーンの出が良い傾向にあるので、低めが効いてくる佐々木さんがより前に出てくるということなのでしょう。
最大瞬間風速では、並んで歌う塩川さんを越えると思うときがあります。
成島さんは逆に、高めにとにかく強いので松井さん・塩川さんとの相性が抜群です。
塩川さんと混ざると、もうどちらの歌声なのか分からなくなります。
とらっちとは?
中盤戦では、初期曲「恋はカムフラージュ」「私の絶対領域」が披露されました。
さらにはスペシャルゲストとして、転校少女*の英名「Transfer Girls」にちなんだ、虎のゆるキャラ「とらっち」が登場しました。
公式アカウントではライブ前に「スペシャルゲスト登場!」と告知されていて、その後ろには意味ありげに虎の絵文字が差し込まれていました。
このツアーの発端となった「LOVE IDOL PROJECT」は、2010年代前半のアイドルシーンを盛り上げた名曲を転校少女*がアレンジの上カバーするという企画で、11月30日?にはミニアルバムがリリースされました。
ここには℃-uteの「ダンバコ」など5曲が収録されているのですが、そのうちの1曲が「ベイビーレイズJAPAN」の「シンデレラじゃいられない」でした。
虎ノ門にゆかりがあることからファンが「虎ガー」と通称されていたり、虎といえばベビレをイメージてしまいます。
公式アカウントの絵文字を観たとき、元ベビレメンバーがだれか登場するのかと思ったのは、かなりの深読みだったようでした。
とらっちは、フォーメーションの移動までは流石にできませんが、センターに立ったまま周りを取り囲む4人に負けじと振りをつけていました。
動きづらそうな見た目に反してかなり器用に手を動かす着ぐるみの存在感に目を奪われてしまいますが、塩川さんの動きも、注目すべきところだと感じました。
業界きっての歌声だけでなく、そもそもアイドルとしての経験値が高い塩川さんは、ダンスも出色だと思います。
バリバリと伴奏が空気を裂き、雷のように照明が激しく点滅する「絶対領域」での塩川さんの動きはそうした演出の中で力感に溢れていました。
「With You」「銀河列車」「星の旅人」
解散宣言ライブや、その直後の対バンライブでも続けてかかった3曲が、中盤に披露されました。
エモーショナルな、まさに転校少女*を象徴する曲です。
さして動きもなく、ボーカルワークというところがとにかく見せ場になるのですが、終わった後にはメンバーの息が上がっているようにも見えました。動き回った後と同じくらいにも見えます。
曲に気持ちを込め、とんでもないエネルギーを消耗していることが伺えました。
具体的なシーンを思い起こして書けるのはこれくらいです。
あとはとにかく、4人の魅せる圧倒的なパフォーマンスに釘付けになっていました。
「記憶に残るアイドルになってみせます!」
松井さんは最後にこう言い残し、この日のライブは終わりました。
見出し画像:転校少女*公式ツイッターアカウント(@tenkoushoujo)画像を参照
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