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【ライブレポ】MyDearDarlin' LIVE TOUR2022 東京公演(2022.5.16)

分厚いページをめくり、長編の夢物語を読んでいるかのような1時間半でした。

5月16日(月)、8人組アイドルグループ・MyDearDarlin’(マイディアダーリン、通称マイディア)が「LIVE TOUR 2022 GIFT -ANEW-」の初日公演を開催しました。
2カ月の間に東京/横浜/大阪/福岡/横浜/北海道/岩手の7都市を巡るツアーの東京・Spotify
O-EASTでのライブです。
8人組ですが、この日は体調不良により美咲優羽さんがお休みでした。

◆お出迎え

この日のことは入場前から振り返ってみようかと思います。
この時期にしては気温は低めだった一日、朝から降っていた雨は昼過ぎあたりから小降りになって弱まっていき、開場の18:00前に止みました。

マイディアを観るのはこれで2回目です。
初めましてが3月13日開催のサーキットイベント「IDORISE!! FESTIVAL」。
生で観る前から、グループのことはちらほら耳にはしていました。
ライブが熱く評判のあるグループは、そういうアンテナを立てていなくともツイッターなどで自然と目に触れます。
2月26日には2ndワンマンをZepp Hanedaにて盛況のうちに終えたことも入っていました。
その時点では気にはなっているけど一曲も知らないという状況だったので断念しましたが、タイミングがもう少し早ければ行っていただろうと思っています。

観る前から期待が高まり切っていたまま迎えた「IDORISE!!」のステージは実際、評判に違わず素晴らしいものでした。
フロアを巻き込んで熱に変えていくのはこういうライブなのだと、身体のほてりが収まらなかったのを覚えています。
次はいつ行こうかと考える間もなく、すでに数カ月先の大きなライブ予定が告知されていました。
7月11日に東京国際フォーラムにて開催する3rdワンマンライブ、そしてそれに向けて7都市を巡っていくツアーのお知らせです。

すぐ行けそうな東京圏で日程を見てみると、3rdワンマンもツアーの東京公演も月曜開催でしたが、自分のなかで火照りはまだ収まっていなかったようでした。
ド平日だろうと関係ないという頭に既になっていました。
IDORISEの後、何も考えず申し込んだこのツアー東京公演から、急速にマイディアの深みへとハマっていくことになります。
仕方ないとはいえ2ndワンマンライブに行かなかったことの後悔が少しずつ、本当に少しずつやってきている実感があります。

話を当日へと戻します。
抽選の結果、用意された番号はなんと10番台。
2種類ある券種でいいほうのSチケットでの10番台なので、最前列か2番目の位置はもうほとんど確約されているようなものでした。
まだ振り付けとかライブの乗り方とか完全に頭に入っているわけではないので、そんな自分にこの番号はもったいないとも思いつつ、開場よりやや早めに入りました。

アイドルやバンドファンなどにとってはおなじみのO-EASTは、duoやO-crestといったライブハウスが入るビルの2階に位置します。

会場外にある1階の溜まりかららせん半周くらいの大きな階段をのぼり、壁沿いに進んでいくと右手にフロアの下手後方に繋がるドアがあります。
入場前、Sチケットの人達は2階踊り場を先頭として、階下に何列かの列を作って待機するということになっていました。
3,4列目あたりで入場を待ちます。

何かに気付いたのは開場時間の少し前でした。
フロア入り口に繋がる2階の踊り場は、物販や特典会などに使われるくらい広いスペースになっています。
階下からだと死角で全く様子がわからない奥のスペースから、大きめの話し声が聞こえてきたのでした。
女の子の声のようです。
ドリンク交換のスタッフのお喋りでしょうか。
にしてはやけにテンションが高いような気がしたのですが...
鈍感な自分は、階下がざわざわしだすまで何が2階で起こっているのか全く察せませんでした。

ようやく分かったのは、入場時間の18時を5分くらいすぎたころ、列が一つ二つと動き出したときでした。
ドリンクチケット交換の先で、マイディアメンバーがお出迎えしてくれていたのでした。
しかも自作のフライヤーを手渡ししてくれます。
ライブ前の立て込んでいるであろう時間にメンバーが出てきて、しかも無料でのお出迎えなんてよもやまさかという話です。
今までに経験がありません。
平日にO-EASTを埋められるレベルのグループがここまで手厚く歓迎してくれるのは相当なことです。

恐らく前後半でメンバーは交代となったのでしょう。
前半組の4人が出てきていて、誰から貰ったものかと思いながら結局咲真ゆかさんから頂きました。

2220516マイディアフライヤー

じきにパンパンになりましたが、入場したときは当然ながら人はまばらでした。
ガラガラのO-EASTに入れるなんてこの先もうないでしょう。

高さのあるO-EASTのステージうしろには今回のツアー用にデザインされた大きなピンクの垂れ幕が掲げられています。
照明はピンクに寄った紫色で、はるか上の天井にはピンク色のレースが飾られています。
BGMにはグループの曲が次々と流れ、広い会場はガーリーな印象の強いマイディア色にすっかり染め上げられていました。

時間は流れ開演5分前くらいになったころ、舞台袖にいるメンバーの一人がマイクをとり、場内での注意事項などを改めて読み上げていました。
影ナレをしているそのメンバーが誰なのか、ようやく最近全員の顔と名前が一致した程度の自分は全く分かりませんでした。
「以上、葉山かえででした!」
若さを通り越して幼さすらある元気な声の出所は、パープル担当の葉山さんでした。

◆本編

19時、いよいよ開演時間です。
この日は上手側の2列目に座っていたのですが、その位置からだと図らずも下手側のステージ袖がよく見えます。
影ナレあたりからメンバーが出てきている気配は感じていました。
袖で待っている様子もちらちら見えます。
緊張感がにじみつつも何か笑っているようにも見え、あくまで遠巻きからだとガッチガチに緊張しているという風ではありませんでした。

やがて場内BGMがボリュームを増し、途切れたころにOvertureが流れてきます。
メンバーが一人ずつ「オイ!オイ!」と叫びながら飛び出してきました。

アイスクリーム」で始まった全15曲、充実の1時間半で起こったことを一曲一曲思い出しながら書きたいところなのですが、文字通り夢の様であった空間の全てをまだ掴めておらず、書ききれそうにありません。
順を追っていくのは開演までとして、ここからは途切れ途切れな記憶をたどりつつ印象的だった部分を抜き出していこうかと思います。

マイディアのライブには、「トーキョーガール」「MDDシンドローム」といった定番曲に代表されるアッパーな曲でひたすらに押してくるというイメージがついています。
グループの公式アカウントがよく、フロア最後方から撮ったと思われるその日のライブの模様をTwitterに上げているのですが、日ごとにフロアの顔ぶれは全然違うはずなのにここの光景は毎度変わらずすさまじいです。
前も後ろも関係なく8色のサイリウムがあたりに広がり、ステージの動きに合わせて上下に規則正しく揺れています。
8人の歌声もまた響きます。
スマホからこの様子を録っているのだと思うのですが、一番後ろのスマホでも十分集められるくらい、しっかりと歌声が届いています。

広い会場を沸かせられるということは、例えば遠くまで見えるように振り付けをおおきくしてみるだとか、見えていないだろうとファンが油断してしまうようなところにまで目線を配るだとか、メンバーがそういうことを念入りにしているというのがあるのでしょう。
一方で、この日自分が立っていたのは前から2列目。
O-EASTのステージは高さがあるので、こちらからだとメンバーの足元から見上げるような感じになります。
そこで初めて分かりました。
マイディアは近づいてみても隙がありません。
遠くだけを観ていればいいやという感じではなく、足元で死角になってしまうであろう手前まできっちり見ていました。

思えば、過去ライブのアーカイブでは、フロア後方からズームしてくるカメラの動きを読んでいたかのようにここぞというタイミングでカメラを真正面からみてアピールしていました。
近くで見ると表情の多彩さにも目を奪われます。

同じ曲でも歌詞ごとに表情をスイッチしたり、その変わり方がメンバーごとに違ったりしているので、見ているだけで楽しいです。
仕草は細かく「設計」され、「青の君」のイントロで腕をゆらゆら揺する振り付けのところでは、あえてだと思うのですが弱々しい感じの動きにしていました。
シリアスな曲でも、ふとメンバー同士で目を合わせたときに微笑むところも、すごいというか演出として上手いなと感じていました。

◆メンバー各論

中でも直感的に惹かれたのが葉山かえでさんでした。

影ナレをしていたメンバーです。
早々から汗で顔を光らせた葉山さんの表情には、優しいとか安心するとはまた違ったたぐいの親しみやすさがありました。
前説の影ナレでこそ可愛らしい声ですが、ライブとなると豹変し、それもまた魅力です。

先に書いたように、マイディアのライブではサイリウムを持って応援する方が他グループより多いという体感があります。
会場の一体感にはこのサイリウムも間違いなく効いているはずです。
すっかり振ることがなくなってしまった自分も、マイディアでくらいなら光らせようかなと思いつつ「推しメン」というのを出来るだけ決めずみんな平等に観たいという思いもあり、何色を振ろうかあるいは振るまいか決めかねていました。
ここにきて、その色が決まったような気がします。

漠然とし過ぎですが、何かが下りてきたような感覚です。
信仰深い人ならそれを「お告げ」と呼んだりするのでしょうか。

ギャップのあるということで言えば、是枝優美さんもその一人です。

配信でのヒーリング効果のありそうなゆっくりとした喋り方からは考えつかないようなボリュームがお腹の底から出てきます。
実際配信でもライブと普通に喋っているときとのギャップについてファンの方から話題に出されていました。
テンポの速い曲を踊りながら被せなしで歌い切れるということは、伴奏に負けない音量があってこそだとは分かりますが、だとしても第一印象は大きく裏切られます。

いかに表面だけでものごとをみているかという自分の薄さも感じますが、同じことはダンスにも言えます。
ここでは水城梓さんに注目してみます。

水城さんのダンスからは、「角張った」と表現したくなるような、力強くてどこかごつごつとしたような印象を受けました。
動きにはキレがあるのですが、関節の使い方とかが凄く重々しく感じます。
本人のツイッターのトップに今のところ固定されているのは猫耳メイドの画像ですが、キレあり重さありのダンスだとはここからは全く予想できませんし、他のメンバーについても言えるのですが、こんなに細い身体のどこにエンジンが積まれているのか不思議でなりません。

この日の最初のMCで、いつか火星でライブがしたいという夢実あすかさんが「宇宙一熱いライブにしたい(意訳です)」と言えば、東條ゆりあさんは「ここのところのライブで一番楽しい予感がする」と予言めいたことを口にしていました。
この時点ではまだ3曲を終えたのみです。
でも、言霊というものは間違いなくあるはずです。
そうした思いは、発されたときから空気中をただよい、あちこちに伝染していくくらいの力があるのだと思います。
こちらとしても東條さんのこの言葉を聞き、良いライブの予感しかしてきませんでした。

ツアーで回る7都市には、定番の都市圏である東名阪福・北海道に加え、横浜と岩手が入っています。
少々意外なこれらの都市が選ばれたのには、一部メンバーの凱旋公演という意味合いが込められていました。
対バンライブはちょこちょこ開催されるもののツアーでという印象はなかった横浜は水城さんの地元、そして岩手は篠崎麗さんの地元です。
話題はこのことに移り、篠崎さんが「これまでのツアーでは岩手の文字はなかったけけど、行きたいってずっと言ってたんだよね...」と話しだしたとき、不意に篠崎さんの目から涙がこぼれました。
後ろの垂れ幕に岩手って書いてあるよ!と誰かが念押しのように口にしていたのも胸を打ちました。

そんな篠崎さんの歌声には、少し前に流行った美爆音という言葉が似合いそうです。
パワーがあり、なおかつ音が綺麗です。
音の出方は後半にかけて良くなりました。

もう一つ篠崎さんで思い出すのが、ステージの端っこギリギリのほうまで出てきたシーンでした。
高さのあるO-EASTのステージふちにはフロアと隔てるようにアンプが並べられていて、その横には白線が引かれています。
ステージから落ちてしまうかもしれないので演者さんはこれより先に出ないで下さいという目印だと思うのですが、篠崎さんは少々の怖さもかえりみず何度かその白線を越えてきていました。

確か「トーキョーガール」「MDDシンドローム」「一生涯オリジナリティ」といった上がる曲では、一番の盛り上りとなるところでCO2ガスが噴射され、とくに「一生涯オリジナリティ」の冒頭では視界がしばらくふさがれてしまうくらいの出方でした。
さすがの咲真さんもびっくりしていました。

咲真さんもフロアの様子をよく見ているメンバーで、下手側にいてもななめを向いて上手にアピールしてくることがあります。
そんな咲真さんつながりで書きたいのが、本編ラストの「SAYONARA」です。

落ちサビでは東條さんと咲真さんが背中あわせになり、東條さん→咲真さんの順にソロパートを歌い継いでいくのですが、メンバーのなかでただ一人フロアの方を向いた東條さんは真後ろに居る咲真さんに身体を預け、咲真さんは東條さんのスカートのすそをギュっと握っていました。
ここまでは今までのライブでもあった光景のようですが、この日咲真さんは東條さんにもたれつつ、ちょうど正面の位置にいた是枝さんと手を握っていました。
誰と誰の組み合わせかは忘れましたが、他のパートでもこうしたとっさの交わりみたいなシーンがあり、太くてほどけない信頼関係や一心同体を観た気がしました。

そしてラスト、アウトロで横にいた是枝さんと手を合わせたとき、咲真さんはこらえきれていませんでした

この日ここで泣いていたのは咲真さんだけでしたが、表立って見えなくともそれぞれのメンバーにも上がってくるものはあったはずです。
それが形となった、大サビでの7人のコーラスは圧巻でした。
人数が多いだけに音は不思議な動きを見せます。
互いにぶつかって震えたような声が生まれ、それが泣き声にも聴こえて胸が締め付けられました。
あるメンバーはかがみこみ、またあるメンバーは手を伸ばし、全員が出せる限りを出しているこの様子を観て何も思わないわけがありません。

◆アンコール

本編が終わり、アンコールへと入りました。
開演前にはあらかじめ「アンコール1曲目の始まりから1サビまではビデオに限って撮影可能」だと告知されていました。
トップスを白のツアーTシャツに着替えて出てきたメンバーが披露したのは「My Dear」という曲でした。

階段を駆け上がっていくようなイントロから心を捕まれる名曲です。
上手の固定した角度で撮りましたが、せっかくのいいポジションなのにカメラが下手なせいで上手く撮れていません。

二曲目に「僕らの詩」ときて、アンコール3曲目、この日のラストソングは「FLOWER」です。

最後は金や銀色をしたテープが激しく飛び出し、大団円となりました。

全てが終わったとき、「楽しい予感がしている」としていた東條さんは「気分が顔に出やすくて、楽しくないときもすぐ出ちゃう。でも今日はみんなからみてブサイクに見えちゃうんじゃないかってくらい楽しかった」と言っていました。

あとはここに、体調不良で欠席している美咲優羽さんが復帰して8人へと戻ればパーフェクトなのでしょう。

マイディアというグループは、すでに相当人気がありますが、ここからまだまだ上がっていくと思います。
「地上」といわれるところにまで足がかかっているはずです。
そんなグループのライブを広い会場のかなり前で観られるなんてことはもう今後ないでしょう。
売れてはほしいけど遠くにいっちゃうのは…というのはアイドルに限らず何においても聞く言葉です。
知ったのがつい最近のくせにこんなこというのも変な話ですが、間違いなくもっと売れていくだろうということを予感しながらも、少しだけそんな気持ちが芽生えた自分もいました。


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