【ライブレポ】MyDearDarlin' 4th ワンマンライブ~君の声~
ありふれた言葉ですが、6人にまだまだついていけば、今までとは違う景色が見られるような気がしました。
2023年2月27日(月)、6人組アイドルグループ・MyDearDarlin’(通称マイディア)が4thワンマンライブ~君の声~を開催しました。
会場は中野サンプラザ。
格式高さ
ワンマンではマイディア史上初めて「声出し」が解禁となるライブでした。
開催のお知らせがあったのは、これまでもそうだったように一つ前の3rdワンマン、東京国際フォーラムのラストでした。
9月末から半年近くにわたり、マイディアは東名阪ツアーやゲストアイドルを複数迎えての主催ライブ、あるいは結成3周年記念ライブなど開催してきました。
その間メンバー2人の卒業により、3rdワンマンのときの8人で立つことが叶わなかったのは残念でしたが、6人で中野までじっくりと歩を進めていった印象があります。
先立ってワンマンのビジュアルも公開されました。
中野サンプラザのステージでポーズを決める6人と、背景には無人の座席。
やけに目立つ固定式の深い赤をした座席と、同じ色をしたカーペットをバックに、白衣装を着て華やかな照明を浴びる6人の姿は、これまでのワンマンと同様ゴージャスではありましたが、今まで以上の格式高さを誇示していました。
これまではプリンセスのような、寓話的な雰囲気があったのですが、今回はそれとも少し異なります。
2021年末に1srアルバム「Dearest」をリリースして以降、2022年はライブでの新曲披露はあっても音源リリースは一切ありませんでした。
一年以上の期間を開け、立て続けにライブ映像やサブスク音源が解禁されだしたのはワンマン直前。
2月16日の3周年ライブの映像を使ったMVが上がり、前回ワンマンで初披露された曲で、今回ワンマンのタイトルにもなっている「君の声」はMVとサブスク音源が解禁されました。
色合いとしてはモノトーンにもかかわらず、キラキラとした装飾のおかげで地味さはなく、むしろ2色しかないだけに今までより洗練した感じのする3rdワンマン衣装は、新たな衣装へと切り替わって旧衣装になってしまう4thワンマンを前にして、MVという形でしっかりと残りました。
発表が随分と前で、早めにチケットを手にしたライブは、待つまでの間が冷却期間になってしまい、いざライブに向かおうとするとチケットを取ったときほど意欲が高くなくなってしまっていることがたまにあります。
5ヶ月待ったにも関わらず、この4thワンマンに関してはそれとも無縁でした。
待ちくたびれた感じが不思議としなかったのは、火柱やCO2ガスが吹き上がった3周年ライブが直近にあったからなのかもしれません。
平日であり、4thワンマンまで10日ほどだったにもかかわらず、演出やパフォーマンスともに手抜きのない、気合の入ったパフォーマンスを見て目が覚めたような気がします。
予想外の甘いステージ
中野サンプラザはモーニング娘。のコンサート以来、10年ぶりに行く会場でした。
まず出迎えてくれたのは、こちらにまでせり出してくるような大きな舞台装置でした。
通常であれば平面ステージのところに高さ2~3mの足場を作り、2段構成のステージにしつらえていたのでした。
両脇には黒い階段が設けられ、足場のフロアに面した側には6枚のドアがありました。
ドアごとに色の違うハートが濃淡さまざまに描かれています。
下手側から赤、紫、黄、オレンジ、水色、緑。
メンバー6人の担当カラーです。
飾りだけのドアではないはずですから、そこから登場してくるシーンもあるのかもしれません。
ドアに次いで目立つのはデコレーションのハートの多さ。
階段を上がってすぐそばにある風船もハート形をしていたり、足場にも何かとハートが散りばめられています。
もっとも、いま改めてステージの写真を見てみると、ドアや風船以上にハートの飾りがあるわけでもなく、ハートに溢れているというほどではありませんでした。
過去のワンマンのステージセットがきらびやかな感じだったことや、前撮りの画像もあって今回はよりゴージャスなのだろうと想像を膨らませていたところからのギャップでそう錯覚していたのかもしれません。
ともかくワンマンの演出としてはかなりラブリーで甘く、「MyDearDarlin’」の「Darlin’」感が一層強いような雰囲気です。
開演前の場内にはマイディアの曲が延々と流れています。
予定時刻の18:30になるころ、咲真ゆかさんによる影ナレがありました。
浮足立つフロアは大声で応えます。
その裏で流れていたのは「アイスクリーム」。
という歌詞は、今の状況をまさに示しているような気がしました。
後ろを見上げると2階席がはるか高いところにあります。
娘。のライブを観た10年前はまさにあの位置、それも今自分がいるところからだと死角になってしまう、さらに奥の座席でした。
あの頃の1階席はいわゆる”おまいつ”でいっぱいで、まさか1階席前方に自分がいられる日が来るなんて思ってもみませんでした。
マイディアメンバーは、サンプラザのステージに立てたことに喜びを感じていたと思うのですが、自分は自分で10年越しにかなりいい位置の客席を確保できたことに喜びを感じていました。
やがて「アイスクリーム」の音量が上がっていきました。
どの会場でも開演直前にBGM音量が急に上がって幕開けを予感させるものですが、今回はじわじわと上がっていった印象でした。
「絶対叶えたいな」アウトロにかけた東條ゆりあさんパートでマックスになります。
「右、左、クラップ4回」
フロアの大多数も気付き、声量もまた増していきます。
可愛らしいステージ
開演時間となり、ステージ2段目のさらに上のスクリーンに、メンバーの紹介VTRが流れました。
ギターから始まる渋みのあるメロディーです。
全員分の紹介が終わるころ「Are you ready?」の文字が。
6枚の扉が開き、「ようこそ~」とマイディアメンバーが飛び出してきました。
解禁が予告されていた新衣装は、ピンクや桜色が淡く入ったいかにも王道アイドルのデザインで、水玉模様が効いています。
一曲目は「告白」。ブラス隊の音が響くタイトル通りの恋愛ソングです。
ラストで右手を差し出して頭を下げ、OK待ちのポーズをするシーンが印象的でした。
これまで節目では一曲めに「MyDear」を披露することが多かったと以前のライブレポで書きましたが、「MyDear」ではなく「王道かわいいキラキラチューン」の「告白」から始まったことがライブの先行きを暗示していました。
続く「恋するトップノート」もラブリーなステージのコンセプトに違いません。
2番頭の夢実あすかさんと葉山かえでさんの”2期メン”がくっつくパートもあり、開演前の盛り上げBGMだった「アイスクリーム」ではファンの人達がガタガタっと動き出した音が聞こえるようでした。
あくまで個人的な基準ですが、マイディアのステージのバロメーターは東條さんの表情にあると思っています。
マイディアは特にエースやセンターをはっきりと決めているわけではないのですが、歌割が多めでフロアを見ればオレンジのサイリウムが燃えるように光っている東條さんの調子は、個人のみならずグループにとってもかなり重要なはず。
その時の表情が硬かったり真顔に近かったりすると(そんな場面は少ないですが)、あまり調子が上がっていないのかなと思ったりするのですが、この日はとても緩やかで、ここから20曲近く続いていくであろうライブの成功を予感しました。
マイディアに入った3年前から徐々に眉毛が下がってきているという”タヌキ顔”(タヌキというよりげっ歯類っぽいなと自分は思っています)の水城梓さんがこの日は一段と可愛く見えました。
何をいまさらという話ではあるのですが、いつもの自称する”ヘラヘラ”という感じではなく、照れもなくキラキラアイドルになりきっている姿がとりわけ輝いていました。
水城さんのフォーメーションは下手に偏りがちで、水城さん推しの「たぬたぬくらぶ」の方々は下手に固まっているのが恒例なのですが、「ワガママHOLiDAY」で袖の階段を上げる前、投げキッスの方向は上手側でした。
駆け上がるときも上手階段だったので、はっきりとしたフォーメーションは思い出せませんがこの曲は恐らく上手メインだったのでしょう。
そうしたこともあってより表情を捉えられました。
少し遅れたバレンタイン、私たちからのプレゼントを受け取ってくださいと言わんばかりの甘いパフォーマンス。
是枝さんの声は儚く可愛らしく、葉山さんの強い曲の時との声の使い分けに驚かされます。
もともと葉山さんはメンバーの中でもキーが高く「ワガママ」のような曲向きの声質だと思っているのですが、歌割やパートに占める割合が多くなった現体制で聴くと際立っていました。
長めのアウトロにかけてメンバーは両サイドの階段を駆け上がり、スクリーンにはラブレターのようなおもむきでメンバーそれぞれからの個性たっぷりのメッセージが映し出されました。
「かえ沼注意報」「火星つれてくからな」(火星でのライブを夢実る夢実さんのコメントです)、咲真さんが「たくさんの鳩(ヒト)集まってくれてありがとう」と書いたのは、中野の告知で「人」と「鳩」を打ち間違えて「たくさんの鳩に来て欲しい」とツイートした事がきっかけでした。
唯一の親友は鳩というくらい鳩好きな咲真さんらしい間違いです。
インスタのストーリーで鳩の良さを10個挙げてほしいと振られたとき、難なく10個出していたのを見て本物だと思いました。
鳩が寒い時に足を引っ込めて丸くなるなんて知りませんでした。
会場の暖まり方は、中央を震源地としてふわっとしたコールが発生するというイメージ。
数年ぶりの声出しライブに何度か行き始めると、お客さんの歓声はストレートに届くというより、フロアにたまる熱気のようにもうもうと上がる印象を受けました。
まだそこまで張り上げるような曲が並んでないとは言え、声出しを許されたことで開放的な雰囲気は広がっています。
全体的に気が大きくなったような感じ。もちろん自分もそうです。
声はやはり必要な舞台装置なのかもしれません。
「みんなまだドキドキ不足じゃない?」夢実さんが確かそう言って「Doki
Doki ロングバケーション!!!」が始まりました。
ここまで5曲、どれも陽気さや元気に溢れ、気分は高揚していきます。
まさかこんな構成だとは、当初は思いもしませんでした。
「party night」と手を上げるところでは一緒に回りたくなります。
この曲でも葉山さんの歌声が見事でした。
ラスサビ前には長めのフレーズがあります。
「君と」のロングトーンは、マイクから口を離しても音が場内に残っていました。
曲が終わるころ、メンバーは背後にあるそれぞれのカラーのドアを開け、中から赤い風船を取り出しました。
最後は風船を手にポーズ。
しかしすぐに手を離してステージ下に放り出してしまいます。
次は悲恋の曲「ポケット」でした。
冒頭の是枝優美さんのソロパートで、音は一気に低くなりました。
テンポは落ち、バレエのような動きを見つめる時間です。
縦一列になり、前のメンバーから順番にリズムに合わせてソロダンスを披露していくところは非常に綺麗。
光に手を伸ばしたり、腕を畳んだり、首を伸ばしたりなどしていくのですが、最後の東條さんだけはテンポをゆっくり取ります。
「ポケットは」同じく別れの曲でも「SAYONARA」のように大きな動きで感情を表現するものではなく、ポツポツと語り始めるようないわゆるバラードなので、扱いが難しい曲だろうなとは思います。
前の曲から一気に繊細な表情に切り替えないといけませんし、テンポが落ちるだけについていきづらい。
しかしそんな曲をちゃんと歌いこなせているのはやはりマイディアの凄さといいましょうか。
同時中継用のカメラが下手からやってきたとき、咲真さんはちらっと見ながらソロを歌っていました。
この意識も抜かりありません。
「ポケット」はまた、次の曲への振りにもなります。
いつもはなんとなく「一生涯オリジナリティ」が続くイメージがありますが、この日は「ナノLOVE」でした。
またもや「Darlin’」感たっぷりの曲です。
この曲にかんしては夢実あすかさん。
アウトロでの目線を落とした切なげな表情は、この曲になんとなく感じていることを表してくれたような気がします。
伴奏のシンフォニックな雰囲気に華やかさを覚える一方で、アウトロにかけて音がだんだん引かれていくところに寂しさを感じます。
それが表情に現れていました。
楽屋を垣間見たバラエティ
続いてはバラエティ企画コーナー。
振り付け・ダンスの先生が進行して対決企画を行ったのですが、くどくど書いていても仕方がないので「内容は省略します。
印象的だったのは、「モノボケ告白」で信楽焼や長ネギなどおよそ告白に使えそうもないアイテムを持たされた時、その場に座り込みながらもセンターのゼロ位置に割とすぐに向かっていたところでした。
無駄に時間を延ばさず、腹を決めて位置についたのはバラエティ慣れしているなと感じました。
バラエティコーナーは計30分くらいだったでしょうか。
割と時間を取っていました。
人によっては「曲やらないんだ...」と思う方もいたかもしれませんが、場が冷えることもありませんでしたし、「アイドルだから」というエクスキューズも要らないくらいには企画として成立していました。
水城さんと是枝さんなど、自分のキャラを出しつつ落とすところは見事でした。
モノボケのとき、長い棒を持った夢実さんが周りからの「なんか持ち慣れている」という声に気をよくした結果、棒を振り回しながら舞台狭しと走り回り、ピコピコハンマーをもった東條さんが追いかけ、バドミントンラケットを持った水城さんが参戦しようとしていたところは楽屋のノリを垣間見た気がします。
長ネギを持っていた咲真さんは、振り付けの先生に制されなければ加わっていたのでしょうか。
おそらく先生が止めていなければこのくだりが延々と続き、是枝さんはニコニコと眺めて最終的には唯一のまとも(そうに見える)な葉山さんがストップをかけていたのかな、などと想像していました。
堕ちる意識
コーナーの後は後半戦。
前半のファンシーな感じからがらりと雰囲気が変わります。
まずは「Kaleid0scopE」。
3周年ライブで初披露された曲です。
この一曲だけで、甘い恋愛ムードは完全に一掃されました。
角張った感じのこの曲はそれほどの威力があります。
「イキれるところが好き」とは咲真さんの言です。
のり方としては、アイドルというよりバンドのライブっぽく身体を揺らすような楽しみ方がちょうど良さそう。
レーザー光があたりかまわず走っていました。
そして「Symphony #5」。
個人的にはここがハイライトでした。
自分すら愛せず、心のドアを固く閉ざした日々。
「自分が一番好きで嫌いな”誰か”の声がした」ことをきっかけに立ち上がり、ドアを開けていこうとする過程が描かれている曲です。
“誰か”とは自分の声に他なりません。
この日限りの特別な演出により、詞の世界が再現されていました。
イントロなく始まるこの曲は、是枝さんの歌いだしから東條さん、咲真さんへと続きます。
見慣れない光景が現れたのはその直後でした。
1番が始まるまでの間奏で、突如メンバーが舞台を右へ左へと無軌道に走り出したのでした。
走ったというより、まるで見えない力に引っ張られているように見えます。
フォーメーションは崩れ、見知ったダンスもありません。
奥では転ぶメンバーもいたり、ステージ上段に上がるメンバーもいました。
それまでカラフルだったスクリーンは、茶色っぽいエフェクトがかかってくすんでいます。
「堕ちる 堕ちる 意識の中で」
是枝さんパートでは他の5人が倒れ込みました。
まさしく堕ちていく意識です。
序盤の打ちひしがれるパートが、およそダンスというよりボディーパフォーマンスのような徹底した表現によって表されていました。
こんなに激情に溢れていたのは初めて観た気がします。
咲真さんがいつもよりもはき捨てるような歌い方になっていましたし、水城さんは力が入ってマイクを持つ手を2回ひねっています。
後半にかけて自分の内なる声と本能に気付き、希望を見出していった時には、フロアに青白い光が放たれ、稲妻が走りました。
夢実さんはラスサビで一回転しています。
最後は背後のドアに手をかけ、一回わずかに開けてからまた閉じて終了。
「Kaleid0scopE」も「Symphony #5」もダンスでの身体の動かし方で魅せるような曲で、マイディアのアスリート的な部分が存分に出ています。
既に「Symphony #5」であったバキバキ踊るマイディアの一面をさらに補強するという意味で、3周年ライブから仲間に加わった「Kaleid0scopE」の存在は大きいのだと感じました。
この曲があったから「Symphony #5」がより深くなったと思います。
それとの対比で、いつも以上にはっちゃけた気がしたのが「一生涯オリジナリティ」でした。
生まれて死ぬまで自分のオリジナリティなんだから楽しいことで埋め尽くせという、底から元気が出てくる曲です。
「知らんけど」なんて合いの手も気持ちよく、頭を空っぽにして馬鹿になっているように見えますが、心を貧乏にしないためのヒントが散りばめられている名曲だと思っています。
ラストはドアの向こう側に行って少し開けながら顔を出して終わりました。
ここでもドアを使った演出です。
いつもは最初の曲が
「僕らの詩」では夢実さんの身のこなしが炸裂しています。
以前の3周年ライブで観た上手側のターンは気のせいではありませんでした。
メンバーの卒業によりくしくもソロとなった「ドラマの主人公だ」というパートです。
ストリングスの音が響いていました。
そして今回のライブのテーマでもある「君の声」。
「もっともっと熱くなっていきましょう!」
ワンマン直前にサブスクとMVが公開されました。
音源を聴いた感触では、ドラムはじめ伴奏が奥から聴こえてくるような、空間的な広がりを感じる曲です。
2サビ「震える朝にもずっとそばにいよう」誰の声だと思っていたら東條さんでした。
耳に馴染んでいたこれまでの音源とは微妙に違う気がします。
MVでダンスシーンを見ると、ライブではマイクを持っているほうの右手も、左手とは違う動きで振り付けに参加していました。
例えば右ひじを曲げて上下する振りの時、左手は何かを求めるように伸ばしています。
せっかく右手にも振りがあるのであれば、ヘッドセットでのパフォーマンスをぜひ見てみたくなってきました。
マイディアなら色々な意味で出来そうな気がするのですが。
本編ラストは「MyDear」。
いつも一曲目にかかることの多いこの曲が、この日は一番最後でした。
汗だくでの「MyDear」を見るのも初めてです。
葉山さんが最近やり始めた高めのハモリ、この曲ではラストの「君の心震わすLove Song」で見られました。
待望の曲
メンバーは捌けてアンコールへと向かっていきます。
もちろんアンコールの声も初めて。
最前の方の号令で「マイディア」コールでした。
Tシャツを着て出てきたメンバーは、新曲を持ってきました。
「君色ダイアリー」という、非常に爽やかな曲です。
ここ最近の曲にはなかった、序盤の曲みたく原点に立ち戻ったような恋愛ソングでした。
早速あちこちの対バンで披露されていますが、夏にかけてどんどん育っていくのでしょう。
やがてMCに移ったとき、スクリーンに動きがありました。
「アイドルといえば」
「夏といえば」
「野外」
ものものしく、数秒の間隔をあけて立て続けに出てきた文字列。
初めの一行で、次回ワンマンライブの告知だとは察しました。
マイディアは毎回ワンマンのたびに次の目的地を用意しています。
「アイドルといえば」を見て、武道館がよぎりました。
アイドルの多くが目指す、具体的なゴールはここでしょう。
ライブアイドルが武道館でワンマンをすることは夢のまた夢でもなくなりました。
マイディアならいけるはずです。
しかし武道館の予想は「夏といえば」「野外」であっさり否定されました。
野外でワンマン。
じゃあ日比谷野音かと思ったのですが、さらに外れました。
会場は、河口湖ステラシアター。
白キャンが、声出し解禁の突破口を開くライブを開催した場所だと記憶しています。
古代ローマ劇場に似た半円形の、すり鉢状をした野外ホール。
中野も正面だけでなく斜めから見るような座席もありましたが、河口湖はさらにステージをぐるっと取り囲むような構図になりそうです。
日程は7月15日。
つくづく、半年に一回のペースで大きな会場でワンマンが出来ているところに勢いを感じます。
ひとしきり喜びを共有したところで、咲真さんが切り出しました。
「そんなもんやないやろ!」
フロアに最後の盛り上がりを呼びかけます。
呼びかけるたびにドンドンと声量が増していくことに気持ちよくなったのか、「これええな」と満足そうになったところでフォーメーションへ。
察しのいいフロアは、「このフォーメーションは!」と大歓声を上げていました。
どう考えてもこの日最大の声量です。
待ちに待ったあの曲、まずは「MDDシンドローム」でした。
おあずけにされたことで、場内はまさしく爆発しているかのよう。
たしかジェット噴射がステージ前方で起こっていましたが、それすらもかき消していました。
ラストは「トーキョーガール」。
対バンで何度となくかかってきた、マイディアをマイディアたらしめる最強の2曲が最後に連続するという、開演時には想像していなかった終わり方でした。
最後に「おやすみ~」とドアを閉じて2時間ほどのライブは終了。
咲真さんは捌ける時に涙をこらえているように見えました。
少しずつシフト
あまり触れるべきではないのかもしれませんが、序盤にはオケとの音ズレがありましたし、我々の閾下では想定より上手くいかなかったこともあったかもしれません。
しかし、それを踏まえてもなお完璧といえるライブだったと思います。
軽い驚きだったのが、MCで一人ずつ感想を言うシーンがありませんでした。
新衣装のことにもさほど触れていません。
思うことは沢山あったでしょうし、話し出そうと思えば止まらなかったと思うのですが、その時間を今回作りませんでした。
「ワンマンだからといって曲数をかならずしも沢山やるわけではない」
東條さんが告知でこんなことをツイートしていたのを思い出します。
どのグループにも曲の強弱はあるもので、マイディアで言えば「トーキョーガール」「MDDシンドローム」、エモーショナルな曲だと「SAYONARA」「青の君」など引きの強い曲が既にいくつも揃っています。
対バンでかかればかつての自分のように吸い寄せられていく初見さんは必ずいるでしょうし、そうした曲を中心にマイディアはここまで大きくなり、パブリックイメージを形成していったのだと思います。
ワンマンや単独ライブに行くほどではない他アイドルファンにとってみれば「トーキョーガール」や「MDD」などはフリコピが楽しくよく見知った「回収したい曲」でしょう。
ただ、推測ですがマイディアチームはどこかでこう考えたのかもしれません。
変化なきことは衰退だと。
この3年間で付いた、マイディアといえばこういう曲だよね、という固定化されたイメージを少しずつ変えていっていこうとしている気がします。
その具体的な方法が、次々と発表される新曲なのかもしれませんし、セットリストの組み方なのかもしれません。
6人で初めてのワンマンとなった中野サンプラザ公演は、曲の配置やバラエティコーナーの導入、ラブリーなセットなどにこれまでとの変化を見た気がします。
自分自身、マイディアにはアッパーな曲でフロアを攻めていくイメージが定着していたのですが、今回の中野の構成にはものの見事に裏切られてしまいました。
東條さんが触れた、曲数もしかりです。
良い曲が沢山あるマイディアで、出来る限り沢山の曲を放ちたいと思うのが普通だと思うのですが、アンコール入れて16曲と絞り気味でした。
曲をただ多くやるだけがワンマンではありません。
メンバー増員もなく、既にライブアイドルでは高い位置にいるマイディアが今後どう展開していくのでしょうか。
ワンマン前から次の展望をふわっと予想していましたが、中野を経て「まだまだやってくれる」と確信しました。
手の内が明らかになっている中で、そこに安住せず安定や予定調和を壊してきた。
大きく変えるわけではありません。
徐々にシフトしていくという感じです。
その積み重ねで、半年後や一年後など長いスパンで観たらもしかしたら、セットリストのパターンもがらりと変わっているのかもしれません。
帰り道、フワフワと宙に浮いたような気分が抜けなかったのは久々でした。
これからのマイディアが非常に楽しみです。
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