見出し画像

【ライブレポ】サンダルテレフォン定期公演「エス・ティー Vol.9」

6/18(金)に恵比寿CreAtoで開催された表題のライブに行ってきました。
4人組アイドルグループ・サンダルテレフォンの、月一回開催の定期公演ですが、昨2020年10月から始まってはや9回目の公演です。

ダルフォンメンバー紹介

210618_ダルフォン見出し_2

早速ライブレポに移ります。

①充実の「ステバイ」

この日一曲目に披露されたのは「Magic All Night (Kenichi Chiba Remix)」でした。
元々、オリジナルの「Magic All Night」自体テンションの上がるダンスナンバーなのですが、リミックスバージョンはそこからさらに一、二段階テンションを引き上げた曲です。
いきなり熱気のかたまりが伝わってくるようなスタートだったのですが、それに続いたのが「Step by Step」でした。

非常に不思議なのですが、ここで一気に満たされていくような感覚が訪れました。
開始まだ2曲目にも関わらず、極端な話ここで終わってしまっても十分なのではないかと思ってしまうほど満足のゲージがグッと上がっていったのでした。

誰の歌が響いたとか、歌詞のここが一層入ってきたとか、そんな具体的なことよりも先に、ただ感激が勝っていました。

この曲、ステージとフロアの動きがリンクする瞬間がいくつかあります。
イントロからAメロにかけての手拍子や、サビの「キミと大好きな地球に生まれて いま巡り会えた奇跡を」のところで手を左右に振りながらクラップするシーンなどです。
ステージとフロアで手を振り合ったときは、手の動きとともに空気が揺れて良い雰囲気がかき回されているようで、これにより満たされていく感じを受けたのかもしれません。
今こうしてレポを書きながら音源を聴いていても、この日の感覚がうっすらとよみがえってきます。

この「ステバイ」、初めて音源を聴いたときはそこまで引っかからなかったのですが、ライブで聴く回数を重ねると徐々に存在感が強まり、今やセットリストに無ければ物足りないと思ってしまうほどになりました。

②バランスの良いセットリスト

サンダルテレフォンの曲には、先に書いた「Magic All Night」のように、既出の曲をリミックスバージョンに展開した曲がいくつかあります。
グループの持ち曲としてはまだ12曲程度なのですが、リミックスバージョンのバリエーションや、ライブ中の曲間のイントロマッシュアップなどの趣向によって曲数の少なさを感じさせず、毎回目新しさを生んでいます。

この日は特にオリジナルとリミックスバージョンがいい塩梅で配置され、セットリスト全11曲をそれぞれしっかり楽しめました。
しょっぱなの「Magic All Night (remix)」、充足感を生んだ「Step by Step」、後述するラストの「かくれんぼ」、地響きのように鳴らされるリミックスの音の間を吹き抜けるような「Follow You Follow Me」の爽やかさなどは場面場面で効果的でした。

③対照的な新曲二曲

サンダルテレフォンは2019年のデビュー以来、わりとテンポよく新曲をリリースしており、この6月には2nd EP「碧い鏡/ It’s Show Time!」をリリースしました。
この表題2曲、曲のスタイルがまるで違っており、それを反映してか2パターンあるCDのタイプは、ジャケット写真のみならず曲順までもそれぞれで違います。
個人的には生で聴くのは3回目なのですが、ようやくこの対照的な2曲の輪郭が見えてきました。

まず「碧い鏡」。

この曲はサンダルテレフォンの持ち曲史上最もテンポの速い曲なのですが、音源を何回聴いてもそこがあまりピンときませんでした。
この曲よりも「Magic All Night」やもう一つの表題曲「It’s Show Time!」と言ったノリの良い曲のほうがよほどスピードに乗っているように聴こえました。
おそらく、「碧い鏡」には先の2曲のノリノリになるような明るさはなく、ふと立ち止まり自分自身に問いかけるようなイメージの曲なので、これらが体感を遅く感じさせていたのだと思います。
ですが、いざライブでしっかり見るとメンバーの動きに目を奪われ、音だけでは掴めなかった速さを感じました。

MVのダンスショットでは、メンバーが踏むステップによって床の水たまりからしぶきが跳ねるシーンがあります。
この日は床の水たまりこそ当然ながらありませんでしたが、MVからそっくりそのまま出てきたようなメンバーのダンスからは、跳ねる水しぶきが見えるようでしたし、静→動への変遷を巧みに表現しているように感じました。

そして、もう一つの表題曲「It’s Show Time!」。

これも、映像との絡みという観点で新たな発見というか、気付くところがありました。
「It’s Show Time!」にはMVがなく、次々と歌詞が浮き出てくるリリックビデオがあてがわれているのみです。
この日、ステージ背景のスクリーンには、そんなリリックビデオを改変した特別バージョンの映像が流れていました。
メンバーはそれをバックに歌い踊っていたのですが、VJとこのステージが合体することでリリックビデオからMVへの完成を見たように思いました。
映像としては残らない、その場限りのMVです。

④最後に効いてくる「かくれんぼ」

終盤、定期公演恒例のお知らせコーナーの後、「後2曲です!」という夏芽さんのコメントを合図に、「ワンダーランド」が披露されました。
ワンダーランドにもリミックスバージョンが作られており、これが直近のEPに収録されているためか、最近のライブではリミックスのほうを聴く頻度が高かったのですが、久々に聴く「無印」のワンダーランドの鍵盤音は心地よく刻まれていました。

そして最後に披露された「かくれんぼ」。
先の「Step By Step」しかり心の中に染み入ってきます。
記憶をたどって「かくれんぼ」が初めて披露された時のことを思い返すと、確か3回目の定期公演でしたが、その時のMCトークでメンバーがこの曲を「明るいけれど闇っぽい」と評していました。
確かにその通りで、曲調やはないちもんめの振り付けなど表向きは明るい曲なのですが、歌詞に目を転じると、心の黒い部分に触れるような側面があります。

でもまだ帰れない 何も見つかってない
終わりの見えないかくれんぼ
正解は見つからない

かといってあくまでガワは明るめな曲なので、暗さをそこまで意識することはないのですが、さりげなく歌詞に盛り込まれた穏やかならざるワードは印象付けられます。
表面上の明るさと内部の暗さというのは人の複雑な心情を現わしているように思え、共感できるところが多い曲です。

この日は、夏芽さんが「逃げ隠れしたくなる時もあると思いますが...」と切り出してから披露されたのですが、夏芽さんのこの前振りもあってか印象付けられました。

終演後ツイッターを開いたら、ラストに持ってこられたかくれんぼでグッと来ているファンの方が何人かいらしたようですが、僕もその一人でした。

メンバーの高音はチャイムの鐘のように響き、楽しかったライブがいよいよ終わってしまうという実感も同時にありました。

⑤最後にー西脇朱音さんの表情ー

ライブレポのどこに挟みこもうかなと思いつつなかなか挟めませんでした。
最後に、メンバーの西脇朱音さんについての話です。
前々回のライブレポにて、西脇さんの表情がすごく良いと書きました。
それまでこちらが抱いていたイメージとは異なる顔つきが、大きなギャップと共にゾクゾクとするような雰囲気を感じさせてくれていたのですが、改めて注目してみるとこの日も際立っていました。
時にフロアをにらみつけているのではないかと思うような目の鋭さや、「碧い鏡」の最後背を向けたまま顔だけ振り返ったとき、暗がりの中で光る目は、かなりの迫力を持ってこちらに訴えかけてきました。

以上がライブレポです。

サンダルテレフォンは、7月より東名阪ツアー「タイニー・ターン」を7/1(木)のTSUTAYA O-WEST公演を皮切りに開催します。
歩みを止めないサンダルテレフォンは、ツアーを終えてもなお止まることが無いと思います。
個人的には名阪公演に行けなさそうなのが惜しいのですが、これからのグループの動きを非常に楽しみにしています。

見出し画像:サンダルテレフォン公式ツイッターアカウント(@sandaltelephone)画像を改変


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?