見出し画像

【ライブレポ】塩川莉世(転校少女*) SHUGAR ONE MAN LIVE 1/16㊗成人式公演

1月16日(土)に、アイドルグループ・転校少女*の塩川莉世さんのソロ名義「SHUGAR」のワンマンライブに行ってきました。
先日成人式を迎えたばかりという、2000年生まれの塩川さんの成人を祝した公演でもありました。
バックには豪華なガールズバンドセットも控えています。

セットリストはこちら。
バンドカバーで定番の曲も多いため、誰でも何かしらの曲はピンとくるかもしれません。

2000年の代表曲から2020年リリースのシングルまで揃っており、塩川さんが生きてきたこれまでの20年間の音楽シーンをダイジェスト形式で振り返っているような構成とも捉えられます。

M1. Shout Baby / 緑黄色社会
M2. 阿吽 / ポルカドットスティングレイ
M3. 若者のすべて / フジファブリック
M4. 眠り姫 / SEKAI NO OWARI
M5. タマシイレボリューション / Superfly
M6. 愛のレンタル / 私立恵比寿中学
M7. ママへ / AI
M8. unravel / TK from 凛として時雨
M9. 新曲
M10. LOVE 2000 / hitomi

ライブレポに移ります。

転校少女*としてメインボーカルを張っている塩川さんの歌唱力の高さについては、グループでのパフォーマンスを観ている時点で相当なものなのだなという印象でした。
以前のライブレポでも「グループどころかアイドルを見渡しても抜けているのかも」と書いたくらいです。

そのため、僕にとっては初参戦となるSHUGARのライブを前にしてもそれなりの期待はあったのですが、その期待に違わず、それどころか悠々と超えていったな、といった感想が真っ先に出てきました。

塩川さんの歌声はどうすごいのか?

「良かった」「すごかった」とここで締めてしまったほうがライブレポのまとまりとしてはいいのかもしれませんが、塩川さんの歌声の魅力を表現するのにそれだけで終わらせるのはあまりにもったいない気がします。

とはいえ、どう言ったらいいものか。
ここからはかなり主観が強く、イメージの部分も多分にあるのですが、ライブを通して感じた雰囲気をできる限り言葉にしてみようと思います。

正しく形容できているかは分かりませんが、塩川さんの歌声からは、楽器から奏でられる音色のようなものを感じました。

本来楽器というのは人間の発する唇の振動や運指によるシグナルを綺麗な音色に変換、そして増幅する媒体としての役割を持ちますが、塩川さんの歌声はそれ単独で楽器としての役割を果たしているような気がするのです。

もちろん我々の耳に届くのは変換器であるマイクと増幅器のアンプを介した音声であり、生の声というわけではないのですが、ともかくバンドセットに負けないどころかグンと伸びていくその歌音は、元来狩りに使われていたというホルンの音色のようにどこまでも広がっていくようですし綺麗です。

ホルンといってもカタツムリの形をしたフレンチホルンというよりは、アルプスの山々が目に浮かびそうなアルペンホルンのようなイメージでしょうか。

音程についても正確です。
もっと言葉を加えるのであれば、歌詞もしっかりと聴こえ、つながりのある文章(詩)として聞き取れます。

先ほどのホルンのたとえの文脈で言うと、塩川さんはメロディに乗っかっている歌詞をまるで楽器のレバーやピストンバルブを押すかのように忠実に届けてくれるイメージで、そのおかげで歌詞がすんなりと届いてきます。
そのため、少々知らない曲であっても安心して身をゆだねられる気がして、これこそがいわゆる「曲の世界に入り込む」ことの助けになっているのだと確信します。

そうしたイメージをライブ中に抱いたことから、ライブの編成もボーカル+ガールズバンドの4楽器(ドラム、ギター、ベース、キーボード)というよりも、バンドセットにボーカルという楽器が加わったように思え、5重奏を見ているかのような感覚にもなりました。

ここには、塩川さんが歌いながらもしきりにバンドメンバーと目を合わせたりエアーで弾いてみたりと、バンドメンバーとのコミュニケーションを取っている様子が目立っていたから、というのもあるのかもしれませんが。

オリジナルをほのかに残しつつ個性も出す

続いて、塩川さんのパフォーマンスに加え、披露された曲についても触れようかと思います。

SHUGARとしてのオリジナル曲は今回初披露となった新曲(タイトル未定)のみであり、ほとんどが有名曲のカバーだったわけですが、全体の雑感としては、ほのかにオリジナルのかおりを残しつつ、オリジナルともまた違ったベクトルで曲にマッチさせているような感じがしました。

これは、例えるなら外界の環境に色を合わせつつ生存戦略をとる生き物のように思えます。
そうした生き物たちは岩や草などと一瞬見分けがつかなくなりますが、あくまで「擬態」であって「コピー」ではないため、よーく目を凝らせばその存在は分かります。

「擬態」ではあるが「コピー」ではない。
これがまさに、様々なタイプの曲をこなしながら自分の色を出している塩川さんの歌にも言えるのではないかと思っています。

一時期を境に皆がカバーしだし、散々こすられた曲である「若者のすべて」についても、サビの低音「ないかな ないよな きっとね いないかな」のフレーズにはフジファブリックの当時のボーカルである志村さんっぽい切なさこそ感じましたが、息を押し出す様子までマイク越しに伝わってくるような塩川さんの歌声はしっかりと伝わってきます。

タマシイレボリューション」でも、越智さんの底から押しあがってくるような低音も、サビの異様なまでの高音も、上手いこと再現されているだけでなく、塩川さんの放つアイドルらしさは残っています。

最後に披露されたhitomiの「LOVE 2000」。
hitomiさんがこの曲をリリースしたのはタイトルにもあるように2000年です。
オリンピックのイメージもあるこの曲ですが、リリースから20年の時を経て、2000年生まれの塩川さんが成人式公演でこの曲を披露したというのがグッときます。

披露された曲の中では、塩川さんの声質に一番合っていた曲ではないかと思います。
塩川さんは高いキーに本当に強いですね。

塩川莉世も、やまなし

そんな素晴らしい歌声の塩川さんですが、MCなどでのキャラは一転して若干の抜けがあるというか、自由さが見え隠れします。

転校少女*のライブMC中もトークで引っ張るというタイプではなく、どちらかというと自由な発言をメンバーに突っ込まれているようなイメージがありました。

そのため、突っ込んでくれるメンバーも居ない今回のライブ中のMCでは、何を喋ったらいいんだろう?となって、バンマスの方に急に振ってみたりというシーンがあったりもました。

このくだりはそれはそれで面白かったのですが、そうした多少の不安さがあるMCだろうと、そんなことを気にしないくらいには歌声が雄弁で、強い説得力を持っています。

むしろ、見守りたくなるようなMCや、自由な塩川さんのキャラクターがあるからこそ、それとの対比で歌声がより引き立っているのかなとさえ思います。

ライブ終了後、帰りの渋谷駅で、「星空・夜景・温泉も、やまなし」という広告を見かけました。
JR東による観光PRポスターが貼られていたのですが、山梨出身の塩川さんに魅せられたライブの熱が残った状態でこのポスターを見ると、「塩川莉世も、やまなし」と思わずにはいられませんでした。

今回のライブは配信もなされたのですが、こちらは1月23日(土)までアーカイブが残っているそうです。

見出し画像出典: 塩川莉世さんツイッター(@rise_0731)画像を一部改変


この記事が参加している募集

#イベントレポ

26,388件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?