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私の中の西洋コンプレックスー2009年4月ヨーロッパひとり旅 No6 アントワープ編「朝食あれこれ」 

*この記録は、2009年4月から1か月弱のヨーロッパ1人旅から帰った後、作成した小冊誌の内容を、旧ブログで公開し、その記事を再構成してnoteに移動した、ものである。

現在とは、ユーロ円の相場も、物価もかなり違う。日本でのアイフォン発売が、2008年にはじまったばかりで、スマホもなかった。ガラケーも電源を切ったまま旅行中は使わなかった。現在の海外旅行事情とは、状況が異なることを、お知らせしておきたい。


ブリュッセル中央駅から、北へ約45km、インターシティに乗ると1時間弱でアントワープ中央駅に到着する。

まず、ガラスと鉄骨の大ドームに覆われたホームに圧倒される。駅は、19世紀の終わりから20世紀にかけておよそ10年かけて建造され「鉄道の大聖堂」とも呼ばれているらしい。

このネオバロック様式の重厚な駅舎を出て、旧市街の中心までは歩いても20~30分ほどでたどり着ける。

アントワープに着いて2日目の午前11時頃、ルーベンスの銅像が手を広げて立っているフルン広場で、朝食を取るために、カフェを探した。
広場は旧市街の中心にあり、その北側は、ネーデルラント地方最大の
ゴシック建築、ノートルダム大寺院がそびえたつ。

塔の高さは約123メートルで、「石のレース編み」とガイドブックに書かれている通り、目も眩むような彫刻に埋め尽くされている。内部は「フランダースの犬」の少年ネロも魅了されたルーベンスの祭壇画で有名である。

広場をぐるりと囲んでぎっしり立ち並んでいるカフェのメニューからは、当然朝のメニューは消えている。 店員達は、ランチメニューの看板を出し、
手早くテーブルを拭き、ナプキン、ナイフ、フォークを並べ、ランチの準備に余念がない。そんな中、
「朝ごはん食べられますか」
と聞いて回る日本人観光客に対して、彼らは
「オムレツならできるけど…」
「サンドイッチは注文できるよ」
などと親切に答えてくれる。

だが、その中の一軒で
「ジャムバター付きで、パンとカフェの朝ごはんが食べたい!」
と主張するわたしに答えてくれた*カフェがあった。
*Brasserie De Kleine Post /Groenplaats 23 2000 Antwerpen

Tシャツにジーパン姿のラフな印象の若者が、籐の籠に盛ったおそらくランチ用のハードパン、バター、カプチーノを運んできた。
「ごめん、ジャムはないよ」と言いながら。

クロワッサンはないはずなのに、持ち手がついたガラスのカップの受け皿に
ミニクロワッサンが載っている。

「クロワッサンあるじゃない?」
と嬉しそうに聞くわたしに
「そうだね、これクロワッサンだよ、
でもこれはコーヒーについているサービスなんだ」と彼。

ブリュッセル、アントワープ、アムステルダムのカフェでは、コーヒーを注文するとチョコ、焼き菓子などのおまけが付いてきた。中でも、このミニクロワッサンはボリュームがあり、得した気分になった。

朝から何も口にしていないわたしは、パンにバターを付けて口にほおばり、
コーヒーで飲み下すという一連の儀式を繰り返した。

そして「これぞ、ヨーロッパの朝食だ」と自分勝手に納得し「妥協しないでよかった」と思う。食べ終わって、レシートを見ると2.5ユーロとある。
「これ、間違ってない?」
と確認すると
「いいよ、いいよ、パンだけだから、メニューにないし…」
とこちらをまっすぐ見据えた包み込むような優しい表情が印象的だった。

アントワープ食べたものメモと、続きはこちら!


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