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大人用危うい玩具・ポッピンとは

 「危うい」という言葉があります。文語的な言い回しですが、「危ない」では伝わらない「ちょっとしたことで何かが起こる」といった感じを伝えますね。その危うさを感じさせる玩具があります。「玩具」もオモチャじゃない玩具だという感じで使っています。
 しかも、この玩具、明らかに大人用。続けて書くと「大人用危うい玩具」ですね(笑)。正直、書いている本人も怪しさを感じます。
 玩具の名は「ポッピン」とか「ポピン」「ポッペン」などと呼ばれています。何やら舶来品ぽい名前です。でも、この呼び名は擬音の表現で和製。この玩具に息を吹き込むと、思いも掛けない大きさでポッピンなどと鳴ります。そうです「それだけです」(笑)

 「ポッピン」はガラス管の先をラッパ状にして、薄いガラス膜を付けたような形状。ガラス管から息を吹き込むとガラス面がへこんでから戻り、そのとき音を立てます。そのため鳴らすには、ちょっと緊張しますね。
 実際はそんなに危うくはないと思いますが、薄いガラス製でそこに息を吹き込むのですから、子どものオモチャには不向き。それで大人用玩具です。

 このポッピン、南蛮貿易が盛んであった時代にポルトガルからさまざまなビードロの品とともに伝わってきました。ビードロはポルトガル語でガラスやガラス製品のことを言います。江戸時代には日本でも作れるようになり江戸、大阪、長崎などで「ポッピン」が作られました。産地が限られていたため当時は珍しく高価なものだったようです。 

 喜多川歌麿の美人画で「ポッピンを吹く女」という浮世絵があります。小さなラッパ状の物を口にしている女性の絵ですね。歌麿は1806年に亡くなっていますから、200年以上前に摺られた版画というわけです。浮世絵はその時代の世相や流行をうまく取り入れていますから、ポッピンがこの時期流行していたようです。
 江戸時代でも日本人は珍し物好き、早速、暮らしの中の取り入れ、何とポッピンは正月の厄払いに使われたという話も残っています。ポッピン!と鳴らして正月を祝ったなんて愉快ではないですか。 

 ところで、タイトル画像のポッピンの絵は近年、意匠をこらして作られたもので、光に当たったときの影がとても美しいものです。

 ※タイトル画像はMarukimaruの自作ですが「しちゃうおじさん」プロデュースの「みんフォトプロジェクト」経由で自由にお使いいただけます。背景色のバリエーションも揃っています。その他にもMarukimaru作品が「みんフォトプロジェクト」にギャラリー展示されいます。


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