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アクアマン2感想~だから笑顔でさよならを~

 アクアマン2観てきました。DCEU最後の作品、とはいえ大きな区切りはザ・フラッシュでついているのでこれは消化試合のような空気が漂っていました。しかし、それでも最後の作品。何より前作アクアマンが好きなので続編で完結編でもある本作を劇場で見届けたいという気持ちもあり、観てきました。やっぱ映画館で見るということで姿勢が変わるんですよ。ちゃんと腰を据えて向き合う必要があると思いました。もちろん、ソフトやサブスクでも運命の出会いはあるし、そっちは真剣じゃないわけではないんですけど。
 では感想を、まず最初に言うことは面白かったということです。前作が好きな人なら楽しめる出来です。特にいいのは関係性の進展、前作では描き切れなかった側面を描き、物語を拡張し深みを与えてくれる描写がいっぱいで続編かくあるべしというものでした。敵だったオームの隠された心情、歩み寄ろうとするアーサー、ブラックマンタの狂気とアクアマンとの決着、そして因縁の果て。そしてアクアマン、アトランティスの王としての新たな道と目指す未来を描き、前作の、陸と海の間に生まれ二つの世界をつなぐヒーローであり王であるアクアマンのその先を見事に描き切ってくれました。DCEU全体では回収していない伏線はいっぱいですが、アクアマンのシリーズとしてはきれいに完結しているので映画館を出たとき、すっきりとした気持ちになれました。そう、これが大事なんです。見る前少し心苦しい気持ちはありました。DCEU最終作という重荷をアクアマンに背負わせていいものか、本来ならザックスナイダーがやらなきゃだめなんですよ。でも、こうなっちゃった。だから、最終作としてみるしかないんです。ちゃんとさよならを言える自信がなくて、見に行くかどうか何度も迷いました。でもすっきりしたんです。その理由は、まず何より面白かったというのがありますが、ちゃんとアクアマンであってくれたこと、そして、アクアマンが好きな気持ちを守ってくれたことです。こう思ったんです。俺なら大丈夫だぜって映画を通していってくれた気がしたんです。もちろん色々とごたごたはあって大丈夫なわけじゃないんですけど、そう言ってくれたんです。アクアマンの世界はこれからも大丈夫なんです。アーサーがいて、アーサーが愛する家族がいて、アーサーが愛するみんながいる。世界をアーサーのでっかい愛で包み込むようなラスト。だから大丈夫だと、これから先あの世界に何があっても大丈夫だと思えたんです。
 これは持論ですが、物語とは私たちが見ている外にも広がっているものだと思うんです。物語の終わりはその世界を追うカメラが回らなくなったということで、カメラの外でずっと世界はあり続けるんです。だから、今回アクアマンとDCEUからカメラは外れてしまうけど、ずっとそこにあるんです。
 打ち切り、と言うとネガティブなイメージを持ってしまいますけど、私はいい打ち切りと悪い打ち切りがあると思います。いい打ち切りは出し切った打ち切りで、悪い打ち切りは不完全燃焼です。DCEUはジャスティスリーグザックスナイダーカットでよくも悪くも天井を見せてくれたと思います。なので全力出せばああだったとかそういうたらればを言わなくてもよくなったと私は思っています。あれがザックスナイダーの限界です。そしてアクアマンもまた出し切ってくれました。もちろん色々削られた部分はあるんですけど、制限がある中で出せる全力を見せてくれました。それにアクアマンとして回収する要素は全部回収しています。なので出し切ったと私は認識してます。出し切ったならもう不満よりも頑張ったねというねぎらいの気持ちが勝るんです。もちろん面白くなかったらだめですけどね。全力出して詰まらなかったら文句もしこたま出ますよ。
 また、そんな心境で受け入れることができたのにはある作品の恩恵が大きいです。それは、フラッシュポイントビヨンドです。今度邦訳されるので興味ある方は是非見てほしいのですが、フラッシュポイントという作品の続編であり、そっちは邦訳が絶版になっているのがネックですね。まあ、トムキングバットマンとインフィニットフロンティアの方を見ていれば背景は大体わかります。そっちは小プロなのでお求めやすいです。詳しくは過去記事で解説したのでそっちに任せるとして、
https://note.com/cute_quince391/n/nd84153a95ad3その作品は私にあることを教えてくれました。それがカメラの外でも物語は続くということです。その考え方が、物語の終わりというものへの捉え方を変えてくれた。ゆえに、DCEUの世界は、未来は明るいんです。ダークサイドが来たって何とかなります。絶対に。
 すこし話はそれますが、シリーズ最終作、メインストリームより少し外れたタイトル、アメコミ映画、ということでガーディアンズ・オブ・ギャラクシー3と比べずにはいられませんでした。どっちも大好きですがアクアマンの方が勝っている部分があると思います。それはギミックの活用です。ガーディアンズ3は最高の完結編だと思ってますが一つ不満があります。それは、スターロードのマスクが出てこないことです。特に終盤のアダムウォーロックがスターロードを救うシーン。あそこマスクすればよかったじゃんと思ってしまいました。1、2ではスターロードが命を顧みずガモーラにマスクを被せるシーン、2ではヨンドゥがスターロードに被せるシーンと印象的な使い方をしていますし、ビジュアル面でもスターロードのマスクはトレードマークになっています。そんなマスクの出番がない、というのはかなり大きなポイントですし、プロットホールでもあります。総合的には名作なので大好きな作品ですがそこはずっともやもやしてます。一方アクアマンはそういうツッコミどころがなかったんですね。アクアマンの印象的な能力、コスチューム、アクションを全部見せてくれました。そこもきれいで見ててすっきりする部分です。まあ不満がないわけでもないです。上のごたごたは別として、アクションの並べ方は前作の方がよかったと思います。序盤のアトランナの異次元カメラワークアクションでこちらのテンションとハードルをぶち上げてからそれを超えてくるという強気な姿勢から、高品質ながらも終盤に向けての溜めが見える構成に代わってしまった分前作に劣ると言わざるを得ません。もちろんブラックマンタ戦は最高だったんですけど。あとドラマ面だと前作の貯金がある分説明に尺を割かずに進められる分2の方がいいと思います。新キャラもそんなにいないしね。
 あと、明るい善と暗い正義、助けたいから助けると責任感みたいな対比。ザックスナイダーがスーパーマンとバットマンでやろうとしてたやつですよね。こっちが完璧にできちゃってるじゃん。
 そんなこんなで不満もあるけど概ね楽しめて、アクアマンが大好きなまま、笑ってお別れできそうって話でした。やっぱね、一番大事なのは作品なんですよ。フランチャイズの未来なんかより作品一つ一つが面白いか、それが一番大事です。なのでアクアマン2は名作! これでよし! ありがとうジェームズワン。そして、これからがんばれジェームズガン。これが言いたかっただけですね。それではやる気があればまたお会いしましょう。


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