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エウレカ! 〈詩〉

思考は言葉にならない
言葉は旋律を生まない
旋律は孤独を払えない
孤独は球の形に押し固められて
放った球は網をかすめて跳ねた

夜を焼き尽くす様な焦燥を貴方は「些細だね」と言った
頷いたポケットには私の全てがある
鍵と古びた財布と折れた煙草
それだけ

夜を塗り変える様な葛藤を貴方は「下手糞だね」と笑った
鬱蒼とした部屋には私の全てがある
塗装の剥げた机と空っぽの本棚
それだけ

いつ終わるとも知れぬ肝試し
日々過ぎずとも終える気も無いし

貴方は頬を撫でながら窓の外で呟く

「世界の果てには石碑があって、背の低い木が立っていれば良い」

私もそう願っている
心の底から、そう願っている

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